無期雇用派遣で派遣先との契約終了を告げられても、派遣会社との雇用契約はそのまま続くのが原則です。
とはいえ、「次の現場はいつ決まるのか」「その間の給料は出るのか」と不安になる方も多いでしょう。
この記事では、契約終了後の雇用の扱いと待機期間中の給料、退職を勧められたときの対応、やむを得ず辞める場合の失業保険の手続きまで、順を追って解説します。
- 無期雇用派遣で「派遣先との契約終了」が解雇にならない理由と、契約が終わる主なケース
- 次の現場が決まるまでの待機期間中に支払われる給料(休業手当)の仕組み
- 退職を勧められたときの対応と、退職する場合に失業保険を会社都合で受け取るための手順
1.無期雇用派遣で派遣先との契約が終了しても即解雇にはならない

結論から言うと、派遣先との契約が終わっても、派遣会社(派遣元)との雇用契約は続きます。終わるのは「その現場での就業」であり、仕事そのものを失うわけではありません。
「派遣先との労働者派遣契約」と「派遣元との雇用契約」の違い
派遣で働くときには、次の2つの契約が別々に結ばれています。
- 労働者派遣契約
派遣会社(派遣元)と派遣先企業の間で結ばれる、企業同士の契約 - 雇用契約
派遣社員と派遣会社(派遣元)の間で結ばれる、働く人と雇い主の契約
派遣先から「契約を更新しない」と伝えられても、終わるのは派遣元と派遣先の間の契約です。
無期雇用派遣では、派遣会社との雇用契約に期間の定めがないため、派遣先での仕事が終わっても雇用はそのまま続きます。
有期雇用派遣(雇止め)と無期雇用派遣(解雇)の違い
有期雇用派遣(登録型派遣)では、派遣先での就業期間が終わると、派遣会社との雇用契約も期間満了で終わることが一般的です。契約を更新せずに終わらせることを「雇止め」といいます。
一方、無期雇用派遣には契約期間の定めがないため、「期間満了で終わる」ということがありません。
そのため、派遣会社が派遣先との契約終了を理由に雇用を打ち切ろうとすれば、それは法律上の「解雇」にあたります。

解雇は、合理的な理由がなく、社会の常識から見て相当といえない場合は無効になります。
参考:e-Gov法令検索「労働契約法」(第16条・第19条)
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無期雇用派遣の基本的な仕組みやメリット・デメリットをまだ詳しく知らない方は、まずこちらの記事で全体像を押さえておくと、契約終了時の対応もより理解しやすくなります。
2.派遣先との契約終了が発生する主な理由

派遣先との契約が終わる背景には、働く人の側の事情だけでなく、派遣先企業の事情によるケースもあります。
派遣先企業の業績悪化・工事の完了
代表的なのが、派遣先企業の業績の変化や事業計画の見直しです。
施工管理として担当していた工事が竣工した場合や、予算の縮小で外部人材の受け入れ枠が減った場合は、働きぶりに関係なく契約終了になることがあります。

この場合は企業側の経営判断によるもので、働く人に落ち度があったわけではありません。
ミスマッチや求めるスキル水準の変化
現場で求められる実務スキルと実際の経験にギャップがある場合や、職場の進め方との相性(ミスマッチ)を理由に、更新が見送られるケースもあります。

施工管理の現場では、工程管理や安全管理の基準、協力会社とのやり取りの仕方が現場ごとに違うため、調整が必要になる場面があります。
派遣期間の途中で終了を告げられた場合
契約期間の満了ではなく、派遣先の都合で期間の途中に契約が解除されることもあります。
この場合、派遣先は派遣会社の合意を得て、余裕をもって申し入れること、関連会社での仕事のあっせんなどで新しい就業先の確保に努めることが国の指針で求められています。
就業先を確保できない場合は、派遣先が派遣会社に休業手当相当額以上の損害を賠償することとされています。
いずれの場合も、雇用主である派遣会社との雇用契約は続きます。終了の理由と今後の見通しは、派遣会社の担当者に確認しておきましょう。
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派遣先の契約終了と聞くと不安になりがちですが、施工管理派遣自体の実態やメリットを正しく知ることで、必要以上に悲観せず次のキャリアを考えられます。
3.派遣先の契約終了から次の現場が決まるまでの「待機期間」と給料

派遣先との契約が終わり、次の派遣先(現場)が決まるまでの期間を「待機期間」と呼びます。
無期雇用派遣では待機期間中も雇用が続いているため、給料についても労働基準法のルールが適用されます。
待機期間中は休業手当(平均賃金の60%以上)か、会社の規定による給料が支払われる
次の派遣先が決まらず仕事がない状態は、一般に会社側の都合による休業と考えられます。
会社側の都合で休業させる場合、派遣会社は平均賃金の60%以上の「休業手当」を支払わなければなりません。
60%は法律で決められた最低ラインです。就業規則や雇用契約で「待機中も通常どおり給与を支払う」と定めている会社もあるため、自分の労働条件通知書や就業規則を確認しておきましょう。

「待機中は無給」と言われた場合は、休業手当の扱いがどうなっているかを派遣会社に確認しましょう。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」(第26条)、厚生労働省「労働者派遣契約が派遣期間の途中で解除されました。」
次の派遣先が決定するまでの流れと業務命令への対応
待機期間中の基本的な流れは次のとおりです。
- 待機の指示と条件の確認
派遣会社の担当者から自宅待機などの指示を受け、待機中の給料の計算方法を確認する - 新しい案件の打診・面談
スキルや希望勤務地に合った次の現場候補の提示を受ける - 業務命令への対応
社内研修への参加や、提示された案件の検討を行う

待機中も雇用は続いているため、研修の受講や、経験・能力に合った現場の打診など、派遣会社の合理的な指示には応じるのが基本です。
正当な理由なく断り続けると、業務命令違反として問題になるおそれがあります。勤務地や職種など譲れない条件がある場合は、早めに希望条件として派遣会社に伝えておきましょう。
■待機中の給料や次の現場について相談したい方へ
待機期間中の不安や次の現場選びについては、施工管理のお仕事を扱う当社の転職支援担当者に相談できます。
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4.派遣先がないことを理由とする解雇・退職勧奨への対処法

派遣会社から「次の派遣先が見つからない」という理由で解雇を告げられたり、退職を勧められたりした場合は、その場で受け入れず、まず内容を確認しましょう。
「次の派遣先がない」だけを理由とする解雇は認められにくい
国の指針では、派遣が終了したことだけを理由に、無期雇用派遣の人を解雇してはならないとされています。
派遣会社には、別の現場を探す、研修を行うといった解雇を避ける努力が求められると一般に考えられています。こうした努力をしないままの解雇は、無効と判断される可能性があります。

納得できない解雇を告げられたときは、すぐに同意せず、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどの公的な窓口に相談しましょう。
派遣会社から退職届の提出を求められた場合の注意点
現場が終わったときに、「次の案件がないので、一度退職届を出してほしい」と持ちかけられることがあります。こうした退職勧奨はあくまで「お願い」であり、応じる義務はありません。
自分から退職届を出すと、本人の意思で辞めたものとして扱われやすくなります。待機中の休業手当も受け取れなくなるため、続けて働きたい場合ははっきり断りましょう。
退職勧奨に応じて辞めた場合、失業保険では本来「会社都合」の扱いになります。ただし、離職票に「自己都合」と書かれると、ハローワークで経緯を説明して証明する必要が出てきます。勧められた日時や内容は、メモやメールで残しておきましょう。
参考:厚生労働省 確かめよう労働条件「退職勧奨後、離職票に自己都合退職と記載されました。対処法は?」
【退職を勧められたときの伝え方(例文)】
「私の雇用契約は無期雇用で、現場が終わったあとも雇用は続き、待機中は休業手当の対象になると理解しています。
引き続き御社で働きたいと考えておりますので、新しい案件のご紹介や研修などの対応をお願いいたします。
そのため、現時点で退職届を提出することはいたしかねます。」
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解雇が認められるケースや、解雇理由証明書の請求・相談先など、解雇への対処をくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
5.無期雇用派遣を退職する場合の失業保険(雇用保険)の手続き

待機が長引いたり、派遣会社から適切な案件が示されなかったりして、やむを得ず退職する場合は、失業保険(基本手当)の手続きを正しく進めることが大切です。
会社都合退職(特定受給資格者)と自己都合退職の違い
倒産や解雇などで離職した人は「特定受給資格者」にあたり、失業保険で有利な扱いを受けられます。無期雇用派遣の契約終了に関係するのは、主に次のようなケースです。
- 派遣会社から解雇された(本人の重大な責任による解雇を除く)
- 派遣会社から退職を勧められて離職した
- 会社都合の休業(待機)が3か月以上続いたために離職した
- 賃金が以前の85%未満に下がったために離職した(下がることを予想できなかった場合)
自己都合で退職した場合は、7日間の待期期間のあと、さらに原則1か月の給付制限があります(2025年4月1日以降の退職。過去5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を受けている場合は3か月)。
特定受給資格者と認められれば給付制限はなく、7日間の待期期間が終わると支給の対象になります。

年齢や加入期間によっては給付日数が多くなるほか、国民健康保険料の軽減(前年の給与所得を30/100として計算)を受けられる場合があります。軽減の手続きはお住まいの市区町村の窓口で確認しましょう。
参考:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」、厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」、厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
ハローワークでの申請手順と離職票の確認ポイント
退職後の手続きは、次の手順で進めます。
- 離職票の記載内容を確認
退職後に届く「離職票-2」の離職理由欄を確認する。会社が書いた離職理由に納得できない場合は、異議ありの欄に印をつける - 求職の申し込み
住所を管轄するハローワークで、離職票(-1・-2)、マイナンバーカードなどの本人確認書類、写真2枚、本人名義の預金通帳かキャッシュカードを提出する - 事情の説明と判定
待機中のやり取り(メールや案件提示の有無の記録)を示して経緯を説明し、離職理由の判定を受ける
参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
■契約終了後の次の現場や転職先を相談したい方へ
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6.無期雇用派遣には「3年ルール」も適用されない

派遣には、同じ派遣先で働ける期間を原則3年までとする「3年ルール」(派遣期間の制限)があります。ただし、無期雇用派遣の人はこの制限の対象外です。
そのため、派遣先と派遣会社の合意があれば、同じ現場で3年を超えて働き続けることもできます。
派遣先の事情で契約が終わることはありますが、有期雇用派遣のように「3年の期限が来たので終了」となる心配がない点は押さえておきましょう。
参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(第40条の2)
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同じ現場で長く働ける無期雇用派遣ならではの働き方について、正社員との違いも含めて具体的に知りたい方はこちらもご覧ください。
7.データで見る無期雇用派遣の契約終了と雇用の実態

無期雇用派遣で働く人の数や、契約終了時の扱いについては、公的な統計や調査からも傾向がわかります。
人数:派遣で働く人の約4割が無期雇用派遣
厚生労働省の令和6年度の集計では、派遣労働者約220万人のうち、無期雇用派遣は約91万人でした。前年度より7.9%増えており、有期雇用派遣(1.3%増)より伸びています。
契約解除時:雇用まで終わらせる事業所は無期では4.4%
東京都の令和4年度の調査では、派遣契約が途中で解約されたときに派遣労働者との労働契約も「解除している」と答えた派遣元事業所は、有期雇用派遣で33.1%、無期雇用派遣で4.4%でした。
認知度:制度の名称も意味も知っている人は39%
エン株式会社が2025年8月に派遣で働く人などを対象に行った調査(回答者1,381名)では、「無期雇用派遣という制度の名称も意味も知っている」と答えた人は39%でした。
無期雇用派遣への不安としては、「職場が変わる可能性がある」が37%にのぼっています。
3つのデータを合わせると、無期雇用派遣で働く人は増えており、派遣先との契約が途中で終わっても雇用まで切られるケースは少ないことがわかります。
一方で、制度の中身まで知っている人は4割ほどです。契約終了を告げられたときに慌てないよう、労働条件通知書や就業規則で「待機中の給料」などを先に確認しておくことが大切です。疑問があれば、労働局やハローワークなどの公的機関にも相談できます。
■退職勧奨や解雇の不安をひとりで抱えたくない方へ
無期雇用派遣での働き方や次のキャリアについて、当社の転職支援担当者が個別に相談をお受けしています。
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8.無期雇用派遣の契約終了に関するよくある質問(FAQ)

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待機期間はどのくらい続きますか?
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法律で決まった期間はなく、派遣会社が持っている案件の状況や、勤務地・職種などの希望条件によって変わります。
待機が長引きそうなときは、次の案件の見通しを派遣会社の担当者に確認し、条件を広げられるかどうかも検討しましょう。
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待機期間中にアルバイトや副業をしてもいいですか?
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待機中も派遣会社との雇用は続いているため、副業ができるかどうかは就業規則の定めによります。始める前に派遣会社に確認しましょう。
次の案件の連絡や研修にすぐ対応できるよう、予定を入れすぎないことも大切です。
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次の派遣先に移ると給料が下がることはありますか?
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無期雇用派遣の給料は派遣会社との雇用契約で決まりますが、派遣先によって手当などが変わる仕組みの会社もあります。労働条件の変更は、本人と会社の合意で行うのが原則です。
提示された条件に納得できない場合は、その場で同意せず、内容と理由を確認しましょう。
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契約終了をきっかけに、自分から辞めることはできますか?
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できます。期間の定めのない雇用契約は、民法上、退職を申し出てから2週間で終了するとされています。就業規則の退職手続きも確認したうえで、派遣会社に伝えましょう。
ただし、自分の意思で辞める場合は、失業保険で自己都合退職の扱いになるのが一般的です。
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もし退職を余儀なくされた場合に備え、施工管理の転職エージェントの選び方や活用術を知っておくと、いざという時にスムーズに次の一歩を踏み出せます。
9.まとめ|契約終了イコール解雇ではない。冷静に権利を確認しよう
無期雇用派遣での「派遣先との契約終了」は、雇用そのものの終わりではありません。派遣会社との雇用は続き、次の現場が決まるまでの待機期間中も、休業手当(平均賃金の60%以上)や会社の規定による給料を受け取れます。
次の現場がないことだけを理由に退職を勧められたり解雇を告げられたりしても、すぐに応じる必要はありません。やり取りを記録し、必要に応じて公的な窓口に相談しましょう。
やむを得ず退職する場合も、離職理由によっては会社都合として失業保険を受け取れます。契約の仕組みと自分の権利を知ったうえで、次の働き方を落ち着いて選んでください。