地盤の強さ(地耐力)との関係
建物の土台となる「基礎」。その中でも「フーチング」という言葉を聞いたことはありますか?
本記事では、建築の知識がない方にも理解できるよう、フーチングの役割や構造、そしてよく比較される「ベタ基礎」との違いを、図解を交えながら詳しく解説します。
- 建物全体を支える「基礎工事」の種類と全体像
- フーチングの役割、構造、そして「布基礎」との関係性
- フーチングとベタ基礎のコストや性能の違い、選び方のポイント
1.まずは全体像から!建物の「基礎工事」にはどんな種類がある?
基礎工事の種類とその特徴
① 直接基礎
- 日本の多くの住宅で採用
- フーチング(布基礎)やベタ基礎は直接基礎の一種
地盤が比較的良好な場合に適している
② 杭基礎
- 地盤が軟弱な場合に用いられる
- マンションやビルのような大規模な建築物でよく見られる工法
深い支持層まで杭を届かせて建物を支える
建物を建てる際、地面と建物を繋ぎ、その重さを支える土台部分を「基礎」と呼びます。
この基礎を造る工事が「基礎工事」です。
基礎工事は、地盤の強さや建物の構造によって、大きく2つの種類に分けられます。
①地面に直接基礎を造る「直接基礎」
「直接基礎」は、比較的固く良好な地盤の上に、直接コンクリートの基礎を設置する方法です。
日本の多くの住宅で採用されており、本記事のテーマであるフーチング(布基礎)やベタ基礎は、この直接基礎の一種です。
②硬い地盤まで杭を打ち込む「杭基礎」
一方、地表近くの地盤が軟弱な場合に用いられるのが「杭基礎」です。
建物の重さを支えられる硬い地盤(支持層)が地中深くにある場合、そこまでコンクリートや鋼鉄の杭を何本も打ち込み、その上に基礎を築きます。

マンションやビルのような大規模な建築物でよく見られる工法です。
2.「フーチング」とは?その役割と構造をわかりやすく図解付きで紹介

では、本題の「フーチング」について詳しく見ていきましょう。
フーチングの役割は建物の「荷重」を分散させること
もしフーチングがなく、柱の「点」だけで建物を支えると、重さが一点に集中してしまい、建物が沈み込む「不同沈下」の原因となります。
「布基礎(ぬのぎそ)」と同じもの?
フーチングは布基礎の底盤(建物を支える逆T字型の底の広がった部分)を指す部材名ですが、一般的に「フーチング基礎」と「布基礎」は同じものを指す言葉として使われています。
フーチングは英語の”footing“が語源で、建物の「足」にあたる部分を指します。
一方、布基礎は、建物の壁や柱のラインに沿って、布を敷くように連続して基礎を配置することからその名が付きました。
逆T字型の構造をイラストで理解
逆T字型構造: フーチング(底盤)を広げることで、建物の重さを広い面積に分散させ、
不同沈下を防ぎ、安定性を確保しています。
フーチング(布基礎)は、断面がアルファベットの「T」を逆さにしたような形をしています。
地面に接する底盤(フーチング)部分が、柱や壁からかかる垂直の力を面で支え、そこから立ち上がる壁(立上り)部分で、建物の土台を支える構造です。
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3.【徹底比較】フーチング(布基礎)とベタ基礎、どちらを選ぶべき?

住宅の基礎でフーチング(布基礎)と比較検討されるのが「ベタ基礎」です。
ベタ基礎は、建物の底一面を鉄筋コンクリートで覆う工法です。

それぞれの違いを比較し、どちらを選ぶべきか考えてみましょう。
コストと工期で比較
一般的に、コストを安く抑えられるのはフーチング(布基礎)です。
地面をコンクリートで覆う面積が少ないため、コンクリートや鉄筋の使用量が少なく、その分費用や工事期間を短縮できる傾向にあります。
耐震性や安定性で比較
耐震性や安定性の面では、ベタ基礎に軍配が上がります。
ベタ基礎は、建物の底全体を一枚のコンクリート盤で支えるため、地震の揺れを効果的に地盤へ逃がすことができます。
不同沈下に対しても強い構造です。
湿気・シロアリ対策のしやすさで比較
フーチング(布基礎)は、地面が露出している部分があるため、地面からの湿気が上がりやすく、防湿対策が別途必要です。
一方、ベタ基礎は地面をコンクリートで覆ってしまうため、湿気やシロアリが床下へ侵入しにくいというメリットがあります。
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【一覧表】メリット・デメリットまとめ
| フーチング(布基礎) | ベタ基礎 | |
|---|---|---|
| メリット | ・コストが安い ・工期が短い | ・耐震性が高い ・湿気、シロアリに強い |
| デメリット | ・耐震性はベタ基礎に劣る ・湿気、シロアリ対策が別途必要 | ・コストが高い ・工期が長い |
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4.フーチングを選ぶ前に知っておきたい3つの注意点
フーチングを選ぶ前に
知っておきたい3つの注意点
地面からの湿気・カビへの対策は必須
シロアリ被害への備え
コストメリットのあるフーチングですが、採用する前には以下の点に注意が必要です。
①地盤の強さ(地耐力)との関係
フーチングは、ある程度の強さを持つ地盤(地耐力)があることが前提の工法です。
もし地盤が弱い場所にフーチングを採用すると、建物の重さに耐えきれず沈下してしまう危険があります。
建築基準法では、布基礎のフーチング幅や根入れ深さについて具体的な基準が定められており、これらは地耐力に応じて設計されます。
②地面からの湿気・カビへの対策は必須
フーチングは地面が露出する部分があるため、湿気対策は必須です。
床下に防湿シートを敷いたり、換気を十分に行える設計にしたりするなど、適切な対策を怠ると、建物の耐久性に影響を与えたり、カビの発生に繋がったりします。
③シロアリ被害への備え
湿気と同様に、地面が近いフーチングはシロアリの被害に遭うリスクも考慮しなければなりません。
床下の木材に防蟻処理を施すなど、計画段階からシロアリ対策を講じておくことが重要です。
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5.【専門情報・応用編】フーチングと耐震設計

住宅の基礎として紹介したフーチングですが、その技術はより大規模な構造物にも応用されています。
例えば、高速道路や鉄道の「橋梁」を支える「橋脚」の基礎部分にも、多くの場合フーチングが使われています。
こうした巨大な構造物を支える基礎には、住宅とは比較にならないほど大きな力がかかるため、その耐震設計は非常に重要です。
ここがポイント:液状化対策の重要性
過去の教訓: フーチングそのものが壊れることより、地盤の「液状化」による沈下や流動が、橋全体の傾きや落橋の原因となってきました。
現在の対策: 単にフーチングを硬くするだけでなく、地盤の特性を考慮した設計や、古い基準の基礎に対する耐震補強が日々研究されています。
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6.最適な基礎選びで、後悔しない家づくりを
フーチング(布基礎)は、コストを抑えつつ建物をしっかり支える優れた基礎工法です。
しかし、その能力を最大限に引き出すには、ベタ基礎など他の工法との違いや、建設地の「地盤の強さ(地耐力)」との相性を正しく理解することが不可欠です。
基礎工事は、建物の安全性を左右する重要な工程です。
最終的な工法の選定にあたっては、必ず建築士や施工会社の専門家にご相談ください。