消防設備士は、建物の安全を守るために不可欠な「消防法」に基づく国家資格であり、景気に左右されにくい安定した需要が魅力の仕事です。
その一方で、「年収はどのくらいか」「どうすれば収入を上げられるのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、消防設備士の具体的な年収目安、仕事の安定性、そして年収を上げるためのキャリアパスについて解説します。
- 消防設備士の具体的な年収目安と、施工管理など他職種との比較
- 消防設備士の年収が法律によって安定している理由
- 年収を上げるための具体的なキャリアパスと資格(甲種・乙種)の重要性
1.消防設備士の平均年収と給与体系

消防設備士の平均年収はどれくらいで、どのような給与体系なのでしょうか。
以下、具体的な年収目安を施工管理など他職種と比較し、収入の安定性に関わる給与体系(月給制と日給制)についても解説します。
消防設備士の年収目安
消防設備士の平均年収は、一般的に約400万円〜500万円程度が目安とされています。
ただし、これは全体の平均であり、実際の給与は保有する資格、経験年数、勤務する企業の規模や地域によって大きく変動します。
年代別では、20代で約350万円、30代で約430万円、40代〜50代で500万円を超える水準になるのが一般的です。
経験が浅い場合や、業務範囲が限定的な「乙種」資格のみの場合は300万円台からスタートすることも多く、逆に「甲種」資格を複数保有し、現場の責任者クラスになると年収600万円以上を目指すことも可能です。
参考:森田設備|まだ点検・工事だけ?9割が気づいていない消防設備士の「稼げる」キャリアパスとは
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施工管理の年収相場も気になる方へ。地域別・年代別のデータと年収アップの方法をまとめています。消防設備士との比較にもお役立てください。
建設・設備関連の他職種との年収比較(施工管理、建築士など)
消防設備士の年収を、建設業界の他の技術職と比較してみましょう。
建設・設備関連の他職種との年収比較
- 消防設備士:約400万~500万円(経験・資格により変動)
- 施工管理(現場監督):平均約630万円(資格と経験次第で800万円以上も可能)
- 一級建築士:600万~700万円以上
- 専門職人(大工・とび工など):300万~600万円(技術力に応じて変動)
比較すると、施工管理や一級建築士のような大規模プロジェクトの管理・設計職は平均年収のトップ層を形成しています。
消防設備士の年収は、これらに次ぐ水準か、高度な専門職人と同等のレベルに位置します。突出して高いわけではありませんが、後述する「法的な安定性」が最大の強みです。
参考:厚生労働省|job tag 建築施工管理技術者、建築設計技術者、大工、とび
給与体系(月給制 vs 日給制)と働き方
収入の安定性を重視するなら、給与体系の確認が不可欠です。
正社員として働く場合、多くは「月給制」が採用されます。月給制であれば、天候などで現場作業が休みになっても給与は減りません。
一方、職人や一部の小規模事業者では「日給制」の場合もあり、この場合は雨天などで働けないと収入が不安定になる可能性があります。

安定したキャリアを築く上では、月給制の企業を選ぶことが重要なポイントとなります。
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2.消防設備士の年収が安定している理由
消防設備士の年収が安定している理由
消防法に基づく
「独占業務」という強み
景気に左右されにくい
「なくならない仕事」としての需要
消防設備士の年収が安定している主な理由について、以下で詳しく解説します。
消防法に基づく「独占業務」という強み
消防設備士の最大の強みは、その仕事が「消防法」という法律によって守られている点にあります。
劇場、デパート、ホテル、マンションなどの建物には、消防設備の設置が法的に義務付けられています。これらの設備の点検・整備・工事は、国家資格である消防設備士でなければ行うことができません。
これは「独占業務」と呼ばれ、資格を持つ者だけが許可された仕事です。
景気に左右されにくい「なくならない仕事」としての需要
建物が存在する限り、消防法に基づく「定期点検」は必ず実施しなければなりません。
新築工事が減るような不景気の時期でも、既存の建物の「保守・点検」の仕事がなくなることはありません。
このように、法的に守られた安定的な需要があることこそ、消防設備士の年収が景気に左右されにくく、安定している最大の理由です。
3.消防設備士の年収を左右する要因
消防設備士の年収を左右する要因
資格の種類(甲種・乙種)と取得数
実務経験と役職
勤務先の企業規模と業態
消防設備士の年収は、一律ではありません。保有する「資格の種類」や「実務経験」、勤務先の「企業規模」など、いくつかの重要な要因によって変動します 。
以下、年収に影響を与えるこれらの要因を解説します。
資格の種類(甲種・乙種)と取得数
消防設備士の資格は、業務範囲によって「甲種」と「乙種」に分かれています。
資格の種類
- 乙種(おつしゅ):消防設備の「点検」と「整備」が可能。
- 甲種(こうしゅ):乙種の「点検・整備」に加え、「工事(設置・交換)」も可能。
当然ながら、より広範囲の業務(特に工事)を担当できる甲種資格の保有者の方が、年収は高くなる傾向があります。
また、消防設備はスプリンクラー(第1類)、自動火災報知設備(第4類)、消火器(第6類)など、種類ごとに資格が細かく分かれています。
取得している資格の種類が多いほど、対応できる業務が広がり、資格手当などによって給与に反映されます。
消防設備の工事には電気工事が伴うことが多いため、『第二種電気工事士』を併せて取得すると、対応できる業務が広がり、転職や年収アップに有利になります。
実務経験と役職(見習い、技能者、管理職)
建設業界のキャリア形成において最も重要な概念の一つが「実務経験」です。消防設備士も例外ではありません。
見習いとしてスタートし、現場で技術を学び、資格を取得し、やがては現場を任される責任者や、複数の現場を管理する「管理職」へとステップアップすることで、年収は着実に向上していきます。
建設業界における「施工管理」がそうであるように、マネジメント能力を身につけることが高収入への道となります。
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勤務先の企業規模と業態(ビルメンテナンス、防災設備会社など)
勤務先によっても年収は変わります。一般的に、従業員数が多い大手の防災設備会社や、大規模なビルメンテナンス会社の方が、給与水準や福利厚生は充実している傾向があります。
一方で、小規模な会社でも、特定の分野(例:特殊な消火設備など)に高い専門性を持つ場合は、高い給与が期待できることもあります。
4.年収を上げるためのキャリアパス
年収を上げるためのキャリアパス
資格のステップアップ
(乙種→甲種・複数取得)
専門性を高め上位職
(現場責任者)を目指す
好待遇の企業へ転職し
専門性を高める
独立・起業
という選択肢
消防設備士の年収は、資格取得や実務経験の積み重ねによって計画的に高めていくことが可能です。以下、年収アップを実現するための代表的なキャリアパスを、4つのルートに分けて解説します。
資格のステップアップ(乙種から甲種へ、複数類取得)
最も王道なキャリアパスは、資格の「質」と「量」を高めることです。
まずは需要の高い「乙種第6類(消火器)」や「乙種第4類(火災報知器)」から取得し、実務経験を積みながら、より上位の「甲種」資格に挑戦するのが一般的です。

甲種を取得すれば「工事」に携われるようになり、仕事の幅と単価が大きく上がります。
専門性を高め上位職(現場責任者)を目指す
実務経験を積み、現場のリーダーである「職長」や、プロジェクト全体を見る「現場責任者」を目指す道です。
これは建設業界の「施工管理」に近いキャリアで、技術力だけでなく、顧客との折衝、スタッフの配置、安全管理といったマネジメント能力が求められます。
責任は重くなりますが、それに伴い年収も大きく上昇します。
好待遇の企業へ転職し、専門性を高める
消防設備士としての実務経験と、特に「甲種」資格は、転職市場において強力な武器となります。
現在の職場で年収アップが見込めない場合でも、より給与水準の高い大手企業や、大規模物件・特殊な消防設備(例:プラント、トンネルなど)を専門に扱う企業へ転職することで、大幅な年収アップが期待できます。
専門性を高めながら好待遇の環境を選ぶことも、重要なキャリア戦略の一つです。
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独立・起業という選択肢
十分な実務経験と上位資格、そして顧客との信頼関係を築けば、「独立・起業」も視野に入ります。消防設備士の仕事は法的な需要に支えられているため、独立後も安定した仕事量が見込めます。
自身の努力次第で、会社員時代を大きく超える年収を実現することも可能です。
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5.消防設備士の仕事内容と将来性

消防設備士の具体的な業務(点検、整備、工事)と、法律に守られた仕事の将来性について解説します。働き方改革が業界に与える影響も見ていきましょう。
主な仕事内容(点検、整備、工事)
消防設備士の仕事は、大きく分けて3つあります。
消防設備士の主な仕事
- 点検:建物内の消防設備が、法律の基準通りに正常に作動するかを確認します。
- 整備:点検で見つかった不具合や、古くなった部品の交換などを行います。
- 工事(※甲種資格者のみ):新しい建物の設計に合わせて消防設備を設置したり、既存の設備を丸ごと交換したりします。
これらの業務を通じて、万が一の火災から人命と財産を守る、社会貢献性の高い仕事です。
業界の将来性と働き方改革の影響
建設業界全体では、2024年4月から「時間外労働の上限規制」が適用され、働き方改革が法的に進められています。
消防設備士の業界も例外ではなく、長時間労働の是正や週休2日制の推進が進んでいます。
また、法改正による設備の高度化や、既存の建物の老朽化に伴うリニューアル需要は今後も続くため、国家資格を持つ専門家としての需要は、将来にわたって安定していると言えます。
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6.消防設備士へのキャリアチェンジQ&A

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未経験からでもなれる?
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はい、未経験からでも挑戦可能です。
多くの企業が「未経験者可」としており、入社後に「資格取得支援制度」を利用して資格を取るケースが一般的です。
建設業界全体が未経験者採用を拡大しており、消防設備士もその例外ではありません。
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「きつい」「やめとけ」と言われる理由は?
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建設業界の「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージが背景にあるかもしれません。
確かに、点検のために重い機材を運んだり、天井裏や狭い場所で作業したりすることもあります。
しかし、これは「施工管理」が体力勝負ではないのと同様に、技術と知識が中心の仕事です。
また、働き方改革により、従来の「きつい」イメージは急速に改善されつつあります。
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7.消防設備士は「安定性」と「計画的な年収アップ」が魅力
消防設備士のキャリアについて解説しました。この仕事の核心は、消防法に基づく「独占業務」という揺るぎない安定性にあります。
加えて、キャリアコンサルティングの観点では、乙種から甲種への資格取得や実務経験を積むことで、年収を計画的に高めていける点が魅力です。
未経験からでも挑戦可能で、安定したキャリアを設計できる仕事と言えるでしょう。
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