「測量士はやめとけ」というネット上の評判を目にし、キャリアへの不安を感じるケースは少なくありません。しかし、その多くは過去のイメージや一部の過酷な事例に基づいている可能性があります。
本記事では、公的な統計データや最新の業界動向、労働法規に基づき、噂の真偽を客観的に検証します。
測量士のリアルな待遇や将来性、向き不向きを正しく理解し、後悔のない選択をするための判断材料を提供します。
- 「やめとけ」と言われる理由と現場のリアルな実態
- 公的データに基づく測量士の平均年収と将来性
- 自身の適性判断とブラック企業を避ける選び方
1.「測量士はやめとけ」と言われる5つの理由と現場のリアル
「測量士はやめとけ」と
言われる5つの理由
現場の実情と労働環境のリアル
気温の影響や
虫との接触が起こりやすい
朝が早く
拘束時間が長い
給料が安いと
言われている
きつい・汚い・危険
(3Kのイメージ)
人間関係による
ストレス
測量士の仕事に対してネガティブな意見が挙がる背景には、屋外作業特有の環境や、過去の業界慣習が影響しています。ここでは、主に取り沙汰される5つの理由について、その実態と近年の変化を分析します。
【体力面】「夏は暑く、冬は寒い」虫との戦いは本当?
測量の仕事は、建設予定地や道路、山間部など、屋外での作業が中心となります。そのため、気象条件の影響を直接受けることは避けられません。
具体的には、夏場の猛暑や冬場の極寒の中での作業、山林での害虫(蚊、ハチ、マダニなど)との接触が「きつい」と感じられる要因です。
特に山間部の測量では、足場の悪い斜面を移動しながら機器を運搬する必要があり、一定の体力が求められます。
一方で、近年では空調服(ファン付き作業着)の普及や、即乾性・保温性の高い機能性インナーの進化により、身体的負担は以前に比べて軽減されています。
また、ドローン測量の導入が進むことで、人が立ち入りにくい場所での作業自体が減少しつつあります。
【労働環境】「朝が早く、拘束時間が長い」のはなぜ?
「朝が早い」と言われる主な理由は、測量現場が会社から離れている場合、現場への移動時間が勤務時間に含まれるためです。
始業時間は現場到着時刻を基準とすることが多く、遠方の現場へ向かう際は早朝に出発する必要があります。
また、日没後は視界が悪く測量ができないため、明るい時間に作業を詰め込む傾向があり、これが長時間労働につながりやすいという側面がありました。
しかし、2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間)が適用されました。
これにより、長時間労働を前提とした業務設計は見直されつつあり、法的に労働時間が管理される体制へと移行しています。
参考:厚生労働省|建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
【給料】「底辺で稼げない」という噂は誤解?
「給料が安い」という評判の一部は、資格の有無による待遇差が混同されている可能性があります。
測量業務には、補助的な業務を行う「測量士補」と、計画作成や実施を統括する「測量士」という2つの国家資格が存在します。
未経験や無資格の見習い期間中は、給与水準が低く設定されることが一般的です。しかし、実務経験を積み、測量士の資格を取得して責任ある立場になれば、年収は上昇します。
単に初期の給与額だけで「稼げない」と判断するのは早計であり、キャリアパス全体での収入推移を見る必要があります。
【イメージ】いわゆる「3K」の現場なのか
建設業界には長らく「きつい・汚い・危険」という3Kのイメージが定着していました。測量も泥まみれになったり、交通量の多い道路上や高所での作業があったりと、このイメージに当てはまる部分は存在します。
これに対し、現在は国交省が主導する「新3K(給与・休暇・希望)」への転換が進められています。
i-Construction(建設現場のICT化)により、測量機器のデジタル化や自動化が進み、作業の効率化と安全性の向上が図られています。

かつての泥臭いイメージから、最新機器を扱う技術職としての側面が強まっています。
参考:
国土交通省|新3Kを実現するための直轄工事における取組
国土交通省|i-Construction
【人間関係】職人気質の人が多くて怖い?
建設現場には職人気質の人が多く、言葉遣いが荒い、指導が厳しいといった印象を持たれることがあります。
測量はチームで行う作業であり、土木作業員や現場監督など、多様な関係者との連携が不可欠です。
コミュニケーションにおいて率直な物言いをされる場面はありますが、それは安全確保や精度の高い作業を求めるプロ意識の裏返しでもあります。
近年はハラスメントに対する意識も高まり、理不尽な指導は許されない環境になりつつあります。
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2.データと法律で見る「測量士」の本当の待遇と将来性

噂レベルの情報ではなく、公的な統計データや客観的な事実に基づき、測量士の待遇と将来性を評価します。
【年収データ】実際の平均年収はいくらか
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、測量士の平均年収は501.6万円です。
これは全職種の平均と比較しても極端に低い水準ではなく、いわゆる「底辺」という表現は適切ではありません。
また、国税庁の民間給与実態統計調査などを見ても、建設業界全体の給与水準は上昇傾向にあります。資格手当や残業代が適正に支払われる企業であれば、安定した収入を得ることが可能です。
【将来性】AIやドローンで仕事はなくなるのか?
AI(人工知能)やドローン、3Dレーザースキャナーなどの技術革新により、単純な計測作業やデータ入力作業は自動化される傾向にあり、人手による単純作業は減少しています。
しかし、これは「仕事がなくなる」ことを意味するのではなく、「仕事の内容が変化する」ことを示唆しています。

ドローンで取得した点群データの解析や、3Dモデルの作成、そして最終的なデータの整合性チェックなど、技術を使いこなすための高度なスキルを持つ測量士の需要は高まっています。
従来の「作業員」から、ICT技術を駆使する「技術者」へのシフトが進んでおり、新技術に適応することで市場価値を高めることが可能です。
【働き方改革】残業規制で現場はどう変わっているか
前述の通り、2024年から適用された時間外労働の上限規制は、業界に大きな変革をもたらしています。法律により、企業は従業員の労働時間を適正に管理し、過度な残業を抑制する義務を負います。
これに伴い、週休2日制(4週8休)の導入を目指す動きが加速しています。工期の適正化や業務効率化が進み、プライベートの時間を確保しやすい環境が整備されつつあります。
これから測量士を目指す場合、法改正に対応した労務管理を行っている企業を選ぶことが重要です。
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2024年問題は測量士を含む建設業界全体に影響しています。法改正が業界の将来性をどう変えているか、最新の動向を確認しておきましょう。
3.【適性診断】測量士に向いている人・向いていない人の特徴
測量士の適性チェック
◎ 向いている人
✕ 向いていない人
仕事の性質上、測量士には向き不向きがあります。自身の性格や志向と照らし合わせるための判断基準を示します。
向いている人:几帳面さ、アウトドア好き、数字への強さ
- 几帳面な人:測量はミリ単位の精度が求められる仕事です。細かなズレも見逃さず、正確に作業を進められる性格が適しています。
- アウトドアが好きな人:一日の大半を屋外で過ごすため、自然の中にいることや体を動かすことに抵抗がない人にとっては、開放感のある職場となります。
- 数字や計算に抵抗がない人:測量には数学的知識(三角関数など)を使用する場面があります。計算や図面の読み取りに興味を持てる人は、業務の習得が早くなります。
向いていない人:デスクワークのみを好む、大雑把な性格
- 完全なデスクワークを希望する人:内勤業務もありますが、基本的には現場に出ることが前提の仕事です。空調の効いたオフィスでのみ働きたい場合には不向きです。
- 大雑把な性格の人:「これくらいでいいだろう」という妥協は、建設工事全体の欠陥につながる恐れがあります。緻密な作業や確認工程を面倒に感じる場合、ストレスを感じる可能性があります。
未経験から目指すなら「資格」と「会社選び」が重要
測量士としてキャリアをスタートさせる場合、まずは「測量士補」の資格取得を目指すことが一般的です。測量士補は受験資格に制限がなく、比較的取得しやすい国家資格です。
就職先を選ぶ際は、求人票の条件を詳細に確認する必要があります。
特に注意すべきは「固定残業代(みなし残業代)」の記載です。
※固定残業代が含まれている場合、その時間数(例えば45時間など)が極端に多くないか、超過分が別途支払われる旨が明記されているかを確認します。
また、資格取得支援制度の有無は、人材育成に力を入れている企業かどうかの判断材料となります。
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4.噂に惑わされず適性と企業を見極め道を選ぶ
「測量士はやめとけ」という評判の背景には、過去の業界慣習や一部の過酷な現場実態が存在します。
しかし、客観的なデータや法改正の動向を分析すると、労働環境は着実に改善されており、専門職としての将来性は十分に認められます。
重要なのは噂を鵜呑みにせず、自身の適性を冷静に見極め、法令遵守意識の高い企業を選ぶことです。正しい情報に基づいた判断が、安定したキャリア形成へとつながります。
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