「施工管理はきついから離職率が高い」というイメージは根強くあります。
一方で、建設業界は「2024年問題」と呼ばれる時間外労働の上限規制に対応するため、働き方改革が法的に必須の状況となりました。
この記事では、統計データに基づき施工管理の離職率の実態を分析し、個人が抱える「辞めたい理由」と、企業が直面する「若手が定着しない原因」を両面から深掘りします。
その上で、個人と企業がそれぞれ取るべき具体的な対策を解説します。
- 統計データに基づく施工管理(建設業)の離職率の実態
- 「辞めたい」と感じる個人の理由と、「定着しない」企業の根本原因
- 2024年問題を踏まえた個人のキャリア戦略と企業の離職防止策
1.施工管理の「離職率」は本当に高い?統計データが示す実態

施工管理の離職率は「高い」イメージがありますが、本当でしょうか。
厚生労働省の最新データを見ると、建設業全体の離職率は全産業平均より低い一方、「若手の早期離職率」が際立って高いという実態が見えてきます。
ここでは、2024年問題とも関わる、統計データが示す核心を解説します。
建設業全体の離職率は平均的だが、問題は「若手の早期離職」にある
厚生労働省が発表した最新の雇用動向調査結果(令和6年版)によると、建設業の年間離職率は10.0%でした。
これは、宿泊業・飲食サービス業(25.1%)などに比べると大幅に低く、全産業の平均(14.2%)も下回る数値です。このデータだけを見ると、「建設業の離職率は特別高くない」と言えます。
しかし、問題の核心は別のデータにあります。それは「新規学卒者の就職後3年以内の離職率」です。

厚生労働省の同調査によると、建設業における新規高卒者の3年以内離職率は40%台で推移しており、これは全産業平均(約38%)や製造業(約28%)と比較しても高い水準です。
建設業界が抱える問題は、業界全体の離職率ではなく、「入社した若手(特に高卒者)が3年以内に辞めてしまう早期離職」にあることがわかります。
参考|厚生労働省:令和6年度 雇用動向調査結果、令和6年度 新規学卒就職者の離職状況、令和6年度 新規高卒者の離職状況
(参考)「施工管理」と「2024年問題」の関係性
施工管理の業務は、建設業界の働き方改革と密接に関連しています。
2024年4月から、建設業にも「時間外労働の上限規制」(原則月45時間・年360時間)が罰則付きで適用されました。
従来、長時間労働が常態化しやすい職種であった施工管理は、この「2024年問題」への対応が最も求められる職種の一つです。
この法改正が、個人の働き方や企業の雇用環境に大きな影響を与え始めています。
2.【個人向け】施工管理を「辞めたい」と感じる主な理由
辞めたい理由
責任
若手の早期離職が多い背景には、現場で働く個人が切実な悩みを抱えている現実があります。
若手・中堅の施工管理者の約4割が離職を検討しているというデータもあり、その主な理由は長時間労働とされています。共通する主な離職理由を4点を解説します。
理由1:長時間労働と休日の少なさ(「新3K」への過渡期)
最も大きな理由の一つが、労働時間に関する問題です。
工期を守るためのプレッシャー、書類作成の多さ、人手不足などから、長時間労働や休日出勤が常態化している現場は少なくありませんでした。
業界全体で「新3K(給料・休暇・希望)」への転換が進められていますが、企業によってその浸透度には大きな差があるのが実情です。
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理由2:重すぎる責任とプレッシャー
施工管理は、工事の4大管理(工程、品質、原価、安全)すべてに責任を負う仕事です。
特に「安全管理」は人命に直結するため、そのプレッシャーは非常に大きくなります。若手であっても、現場では常に緊張感を強いられることに心身が疲弊してしまうケースがあります。
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理由3:人間関係のストレス(職人・発注者との板挟み)
施工管理は、現場の職人、発注者、協力会社、設計者など、非常に多くの関係者の間に立つ「調整役」です。
時には、立場の異なる関係者の間で板挟みになり、厳しい要求や意見の対立に対応しなければなりません。この人間関係のストレスが、離職の引き金になることも多いです。
理由4:業務量に見合わない給与・評価制度への不満
上記のような重い責任や長時間労働を負っているにもかかわらず、それに見合った給与や評価が得られていないと感じる場合、不満は一気に高まります。
特に、サービス残業が横行していたり、資格を取得しても手当が少なかったりすると、仕事へのモチベーションを維持することが難しくなります。
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3.【企業向け】なぜ施工管理の若手は定着しないのか?根本的な原因
若手が定着しない原因
原因 1
研修不足
原因 2
旧態依然な労働環境
原因 3
不透明なキャリアパス
一方で、企業側が若手の定着に悩む背景には、構造的な原因が潜んでいます。「手に職を付けたい」という入社時の高い期待と、OJT任せの「研修不足」との深刻なギャップ。
非効率なアナログ業務や、将来像を描きにくいキャリアパスの不透明さが、若手の早期離職を招いています。
原因1:「手に職を付けたい」という期待と「研修不足」のギャップ
ある調査では、若手が建設業界に入った理由として「手に職を付けたい」が約4割を占める一方、半数近くが「研修時間と内容が不十分」と感じているという結果が報告されています。
これは、「スキルを身につけたい」という高い意欲を持って入社した若手が、現場でのOJT任せの指導や体系的な教育の不足により、「ここで成長できない」と感じて早期に離職してしまうという、深刻なミスマッチを示しています。
参考|株式会社ウィルグループ:建設業界で働く若手社員の意識調査
原因2:旧態依然とした労働環境とアナログな業務プロセス
2024年問題への対応が遅れている企業では、いまだに長時間労働が前提の働き方になっています。
また、現場の写真管理や書類作成、情報共有などが紙や個人のPCで行われていると、非効率な作業に時間が取られ、若手の負担が増大します。
こうしたアナログな業務プロセスが、デジタルネイティブ世代である若手の離職を加速させる一因となっています。
原因3:キャリアパスの不透明さ
「この会社で働き続けても、将来どうなれるのかわからない」という不安も、離職の大きな原因です。
どの資格(例:施工管理技士)を取れば、どのような役職に就け、どれくらい給与が上がるのか。そうしたキャリアパスが明示されていないと、若手は将来の目標を見失い、より明確なキャリアを示してくれる他社へ移ってしまいます。
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4.【個人向け】施工管理を辞めたいと考えた時のキャリア戦略
辞めたいと考えた時の3STEP
STEP 1
自身の状態確認
STEP 2
経験を「ポータブルスキル」として再定義
STEP 3
退職についての知識を身につける
もし現在「辞めたい」と悩んでいる場合、感情的に行動する前に、冷静なキャリア戦略が必要です。
まずは心身の状態を基準に「辞めるべきか」を判断し、次に施工管理経験で得た「ポータブルスキル」を整理します。最後に、円満退職の進め方や失業保険というセーフティネットの知識を学びましょう。
STEP1:辞めるべきかどうかの判断基準(心身の不調など)
まず、自身の状態を確認してください。もし「心身に不調が出ている」「サービス残業が常態化している」といった状況であれば、それはキャリアの悩み以前に、自身の安全を守るべき緊急事態です。
その場合は、退職(あるいは休職)を最優先に考えるべきです。しかし、そこまで切迫していない場合は、次のSTEPに進みます。
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STEP2:施工管理経験を「ポータブルスキル」として再定義する
施工管理の経験は、建設業界以外でも高く評価される「ポータブルスキル」の宝庫です。例えば、以下のスキルが挙げられます。
- 計画立案力・工程管理能力:複雑なプロジェクトを期限通りに進める力
- 対人折衝能力・調整力:立場の異なる利害関係者をまとめる力
- 課題解決能力:現場で発生する予期せぬトラブルに対応する力
これらのスキルを言語化できれば、異業種のプロジェクトマネージャーや営業職など、多様なキャリアチェンジの可能性が広がります。
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STEP3:円満退職と失業保険手続きの知識(セーフティネット)
退職を決意した場合、法的な知識を身につけておくことが、次のキャリアへの「セーフティネット」となります。
- 退職の意思表示:法律上(民法第627条)は2週間前までに伝えれば退職できますが、円満退職のためには就業規則に従い、1~3ヶ月前に直属の上司に伝えるのが実務的なマナーです。
- 有給休暇の消化:残った有給休暇を消化することは労働者の正当な権利です。引継ぎ計画と合わせて会社に申請します。
- 失業保険(雇用保険):退職後の生活を支える重要な制度です。会社から交付される「離職票」を持ってハローワークで手続きを行います。自己都合退職の場合、待期期間7日間に加え、給付制限期間(原則1ヶ月)があるため、実際の給付まで時間がかかる点に注意が必要です。
5.【企業向け】施工管理の離職率を下げ、人材を定着させる5つの具体策
離職率を下げる5つの具体策
若手の早期離職を防ぎ、貴重な人材を定着させるためには、企業側の抜本的な取り組みが不可欠です。
2024年問題への法務対応はもちろん、DXによる業務効率化、研修不足を解消する教育制度、透明性の高い評価とキャリアパスの明示、資格取得支援の充実などが求められます。
対策1:【法務】2024年問題への完全対応(残業管理・週休2日制の徹底)
これは「対策」以前の「法的義務」です。
時間外労働の上限規制を遵守するための勤怠管理の徹底、そして国土交通省が推進する週休2日制の導入が、現代の建設会社が存続するための最低条件となります。
対策2:【DX】ICT・アプリ導入による業務効率化
アナログな業務プロセスを改善するため、現場管理アプリやドローン、BIM/CIMなどのICT技術を積極的に導入することが有効です。

書類作成や現場巡回の負担が軽減され、施工管理が本来の「管理業務」に集中できる環境を整えます。
■DXが進む現場で、施工管理としてのキャリアを再スタート
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対策3:【育成】体系的な研修制度とメンター制度の導入
「研修不足」のギャップを埋めるため、OJT任せにせず、新入社員向けの体系的な研修プログラムを整備することが急務です。
また、年齢の近い先輩社員が相談役となる「メンター制度」を導入することで、若手の心理的な孤立を防ぎ、人間関係の悩みによる離職を予防します。
対策4:【評価】適切な評価制度とキャリアパスの明示
「何をどれだけ達成すれば評価され、昇給・昇進するのか」を明確にした、透明性の高い人事評価制度を構築します。
「2級施工管理技士を取得したら主任」「1級を取得したら所長候補」といった、資格と役職・給与が連動した明確なキャリアパスを示すことが、若手の学習意欲と定着率向上につながります。
対策5:【採用】資格取得支援制度の充実をアピールする
「1級施工管理技士」の保有者は、公共工事の入札審査(経営事項審査)において企業の評価点を高める、経営戦略上きわめて価値の高い人材です。

そのため、受験費用補助や資格手当といった「資格取得支援制度」を充実させ、それを採用活動で積極的にアピールすることは、「会社が社員の成長に投資してくれる」というメッセージとなり、意欲の高い若手を採用する上で有効です。
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施工管理の転職で年収アップを目指すなら資格が近道です。2024年の制度改正で取得しやすくなった資格7選と選び方を詳しく解説しています。
6.働き方改革で「施工管理を辞めない」選択肢も現実的に
施工管理(建設業)の離職問題は、「若手の早期離職」に核心があり、その背景には「長時間労働」や「教育体制の不備」といった構造的な課題がありました。
しかし、2024年問題による法的規制は、これらの課題解決を待ったなしで進めています。
現在「辞めたい」と悩んでいる個人にとっては、旧来の環境から脱出し、働きやすく成長できる優良企業へ転職する好機です。
同時に、企業にとっては、DX推進や教育制度への投資といった本質的な改革を行い、優秀な人材から「選ばれる」企業へと生まれ変わる最大のチャンスでもあります。
業界全体が大きな変革期にある今、個人も企業も、現状を見つめ直すことが求められています。
■変革期の今こそ、自分に合った働き方を選ぶチャンスです
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