建設業界の年収は「低い」のか、それとも「高い」のか。「きつい仕事の割に給料が低い」といった過去のイメージと、「人手不足で給料が上がっている」という現在のトレンドが混在し、実態が分かりにくいと感じている方も多いでしょう。
建設業界は今、転換期を迎えています。
特に2024年4月から適用が開始された「時間外労働の上限規制」(いわゆる2024年問題) は、単なる労働時間の短縮に留まらず、業界全体の賃金構造やキャリアパスに大きな影響を与え始めています。
この記事では、建設業界の職種別の平均年収、そして「年収が低い」と言われた背景と、現在の「賃金上昇トレンド」について解説します。
- 建設業界の全体的な平均年収と、他業種や企業規模との比較について
- 施工管理、建築士、専門職人など「職種別」の具体的な年収ランキングについて
- 年収が「低い」と言われた背景と、「2024年問題」以降の賃金上昇について
- 資格取得や転職など、年収を上げるための具体的なキャリアパスについて
1.建設業界の平均年収はいくら? 最新データで見る全体像

建設業界の年収は今、大きな転換期を迎えています。かつては「他業種より低い」というイメージもありましたが、最新の統計データはその認識を覆す結果を示しています。
建設業全体の平均年収と他業種との比較
最新の調査結果(令和5年分/令和6年公表「民間給与実態統計調査」)によると、建設業の平均年収は約565万円となっており、全産業の平均(約477万円)を90万円近く上回る高い水準にあります。
以前、年収が低く見えていた背景には、長時間労働による「時給換算での低さ」や、日給月給制による月収の不安定さといった構造的な要因がありました。
しかし現在、深刻な人手不足に伴う賃上げ競争に加え、公共工事設計労務単価の12年連続引き上げ、さらに「2024年問題」への対応による残業代の適正な支払いが進んだことで、他業種を上回る賃金上昇トレンドが鮮明になっています。
この年収増は一時的なものではなく、国の処遇改善施策と法規制に基づいた「構造的な変化」といえます。建設業界は今、まさに「稼げる業界」へと進化を遂げているのです。
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【年齢別】20代、30代、40代、50代の年収推移
建設業界の年収は、年齢と経験を重ねるごとに着実に上昇していく傾向があります 。
20代は、見習いやアシスタントとして「実務経験」を積む時期であり、年収は平均より低いスタートになることが一般的です。
しかし、この時期に基礎を固め、30代で「施工管理技士」や「建築士」といった国家資格を取得したり、職人としての技術を磨いたりすることで、年収は大きく上昇します 。
40代から50代にかけては、管理職として大規模プロジェクトを率いる「現場所長」 や、高度な専門知識を持つシニア技術者、あるいは独立した「親方」 として、キャリアのピークを迎える方が多くなります。
企業規模(スーパーゼネコン・大手・中小)による年収の違い
建設業界の年収は、企業規模によっても明確な差が存在します 。
いわゆる「スーパーゼネコン」と呼ばれる業界最大手の企業群や、準大手ゼネコン、大手ハウスメーカーなどでは、平均年収が700万円から1,000万円を超えるケースも珍しくありません 。
これらは福利厚生や資格取得支援制度も充実している傾向です。
一方、地域の建設を支える中小企業 では、大手ほどの水準に達しない場合もあります。
しかし、その分、地域に密着した安定性や、経営層に近い立場で幅広い業務を経験できるといったメリットも存在します。
2.【職種別】建設業界の目安と仕事内容
職種別の年収目安
職種1
技術・管理職
(施工管理・建築士)
職種2
専門職人
(とび・大工・電気工)
職種3 重機オペレーター
建設業界と一口に言っても、その職種は多様です。年収は「どの職種を選ぶか」によって大きく左右されます。ここでは、代表的な職種を年収水準の傾向別に見ていきましょう。
技術・管理職(施工管理・建築士)の年収目安
プロジェクト全体を管理する「頭脳」であり、高い専門知識と国家資格が求められる職種群です。
①一級建築士
■年収目安:600万円~700万円以上
あらゆる規模の建物の設計や工事監理を行うことができる最上位の国家資格です 。法的な責任が重い分、年収水準も業界のトップクラスとなります。
②施工管理(現場監督)
■年収目安:450万円~700万円以上
現場の「司令塔」として、工事のスケジュール(工程)、予算(原価)、品質、そして何よりも安全を管理する仕事です 。未経験者の求人も多く 、キャリアアップの王道とされています。
特に上位資格である「1級施工管理技士」を取得すると、大規模な工事現場に必須の「監理技術者」となれるため、需要と年収が大きく上がります。
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専門職人(とび・大工・電気工)の年収目安
ものづくりの実作業を担う、高い技術力を持つ専門家たちです。年収は技術力に応じて変動します 。
①大工
■年収目安:380万円~550万円
主に木材を加工し、建物の骨組みや内装を作り上げる職人です 。
②とび職
■年収目安:390万円~600万円
高所作業のスペシャリスト で、他の職人が安全に作業できるよう足場を組む、建設現場に不可欠な存在です。
③電気工
■年収目安:400万円~600万円前後
照明やコンセントなど、建物に電気を引き込む配線工事を行います 。専門的な知識と資格(電気工事士など)が必要です。
重機オペレーター(クレーン等)の年収目安
高い操作技術と大きな安全責任を担う重機オペレーター。専門職人の中でも高水準な年収が期待できる職種です。
①クレーン運転工
■年収目安:450万円~550万円
クレーンを操作し、重量物を正確かつ安全に吊り上げて移動させます 。
高い集中力と精密な操作技術、そして大きな安全責任 を伴うため、多くの専門職人よりも高い年収水準になることがあります 。
②建設機械運転工
■年収目安:400万円~500万円
ショベルカーやブルドーザーなどを運転し、土地の掘削や整地を行います 。
3.建設業界の年収が「低い」と言われた理由と現在の「上昇トレンド」

「3K」のイメージから「給料が低い」と思われがちな建設業界ですが、現在は2024年問題への対応や深刻な人手不足を背景に、法的な裏付けを伴う構造的な賃金上昇トレンドへと突入しています。
かつての背景と最新の動向を詳しく解説します。
なぜ「年収が低い」イメージがあったのか?
かつて建設業界に「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージと共に「給料が低い」という印象がつきまとったのには、いくつかの構造的な理由がありました。
大きな要因は、長時間労働の問題です 。工期に間に合わせるため、サービス残業が常態化し、時給換算すると低い賃金になってしまうケースがありました。
また、「日給制」や「日給月給制」の存在も一因です。特に屋外作業の多い職種では、雨で現場が休みになるとその日の給与が発生せず、月収が不安定になりがちでした。
2024年問題が追い風に? いま賃金が上昇している法的背景
この状況を根本から変えるきっかけとなっているのが、2024年4月1日から建設業にも適用された「時間外労働の上限規制」です。
これは、残業時間を原則「月45時間・年360時間」以内とし、違反した企業には罰則が科されるという法律です 。この法的拘束力により、企業はもはや「長時間労働」に頼って工期を守ることができなくなりました。
その結果、業界全体で「業務の効率化」(ドローンやAIの活用など)と「適正な工期・労務費の確保」が急務です。
国も「新3K(給料が良い・休暇が取れる・希望がもてる)」をスローガンに掲げ、公共工事の週休2日制を推進するなど、業界全体の待遇改善を強力に後押ししています。
つまり、建設業界の賃金上昇は一時的なトレンドではなく、「働き方改革」という法的な裏付けを持った、後戻りできない構造的な変化です。
参考:厚生労働省|建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
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4.建設業界で年収を上げるための具体的なキャリアパス

では、これから建設業界で年収を上げていくためには、どのようなキャリアパスが考えられるでしょうか。
1. 「実務経験」を積みながら国家資格を取得する
建設業界でキャリアと年収をデザインする上で、最も重要かつ確実な方法が「国家資格の取得」です 。
特に「一級施工管理技士」 や「一級建築士」 といった上位資格は、個人のスキルアップに留まらない価値を持ちます。
建設会社が公共工事の入札に参加する際、これらの資格保有者が社内にいると、企業の技術力評価(経営事項審査)の点数が加算されます。
つまり、資格を持つ社員は「会社の受注能力を高める」存在であり、企業が資格手当や報奨金を出してまで取得を支援するのは、それが企業戦略そのものだからです 。
主要な国家資格の受験には、必ず一定期間の「実務経験」が必要になります。日々の業務そのものが、将来の年収アップに向けたステップとなっているのです。
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2. 専門性を高めて「一人親方」として独立する
専門職人(大工、とび、左官など)の道を選んだ場合のキャリアパスの一つが「独立」です。
見習いから始まり、職人、そして現場をまとめる「職長」へとステップアップし、最終的には「親方」として自身の会社を設立したり、個人事業主(一人親方)として仕事を受注したりします。

会社員としての安定の代わりに、自身の技術力と信頼が直接収入に反映される道であり、大きな成功を収めれば会社員時代を大幅に上回る年収を得ることも可能です。
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3. より待遇の良い企業へ「転職」する
建設業界は、その専門性の高さから、経験と資格が転職市場で非常に高く評価される分野です。
特に、未経験からこの業界に入った場合、まずは「資格取得支援制度」が充実し、未経験者向けの研修プログラムが整っている企業で「実務経験」を積むことが重要です。
そして、例えば「2級施工管理技士」を取得した後、さらに「1級」を目指せる環境や、より大規模なプロジェクトを扱える大手企業へ転職することで、段階的に年収をアップさせていくことが可能です。
転職先を選ぶ際は、給与額だけでなく、「月給制」(天候で給与が変動しない) であるか、「年間休日120日以上」 など、働きやすい環境が整備されているかもしっかり確認しましょう。
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5.建設業界の年収に関するよくある質問(FAQ)

「未経験でも稼げる?」「職種でどう違う?」など、建設業界への転職やキャリアアップで多くの方が抱く疑問を、分かりやすく解説します。
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未経験からでも年収アップは可能ですか?
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可能です。
むしろ、建設業界は未経験者にこそ大きなチャンスがあります。
現在、業界全体で人手不足が深刻化しており、未経験者向けの求人が増えています。
特に「施工管理」の分野では、入社後の研修や資格取得支援 を前提とした「アシスタント」職の採用が活発です。
前職が営業やサービス業であっても、そこで培った「コミュニケーション能力」や「スケジュール管理能力」 は、施工管理の仕事(関係者との調整など)に大いに活かせます。
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「施工管理」と「専門職人」ではどちらが稼げますか?
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キャリアの方向性によります。
「施工管理」は、資格(1級・2級施工管理技士)を取得し、プロジェクト全体を管理する「マネジメント職」としてキャリアアップしていく道です。
年収の上限は比較的高くなる傾向があります。
「専門職人」は、自らの「技術」を磨き上げ、その道のスペシャリストとして価値を高められます。
最終的に独立して「親方」となり、経営手腕次第で大きな収入を得ることも可能です。
どちらが優れているかではなく、ご自身の適性(管理・調整が得意か、ものづくり技術を極めたいか)に合った道を選ぶことが重要です。
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資格を取得すると、どのくらい給料が上がりますか?
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企業によって異なりますが、多くの企業で「資格手当」や「報奨金(お祝い金)」が支給されます。
月々の給与に数千円から数万円が上乗せされる「資格手当」が一般的です。
それ以上に重要なのは、昇進・昇格の条件に「1級施工管理技士」の保有が含まれているケースが多いことです。
資格は、目先の手当以上に、より責任が大きく給与水準の高いポジション(現場所長など)に就くための「パスポート」の役割を果たします。
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6.建設業界の年収は「どの道を選ぶか」で決まる
建設業界の年収は、決して「低い」まま固定化されたものではありません。
2024年問題という大きな変革期を迎え、業界全体が「新3K(給料・休暇・希望)」の実現に向けて、待遇改善と働き方改革に取り組んでいます。
重要なのは、建設業界の年収は、自らの「キャリアデザイン」によって能動的に高めていけるという点です。
どの職種を選び、どの「実務経験」を積み、どの「国家資格」を戦略的に取得するか。平均値に一喜一憂するのではなく、自身の未来に向けた計画を立て、実行することが、10年後の年収を大きく左右します。
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