「土木の年収」に対してどのようなイメージがあるでしょうか。
実は「土木」と一口に言っても、現場で直接作業を行う「土木作業員」と、工事全体の計画や安全を管理する「土木施工管理技士(現場監督)」とでは、その役割も年収も大きく異なります 。
この記事では、この2つの主要な職種に焦点を当て、それぞれの平均年収や年齢による違いを比較しながら、分かりやすく解説します 。
さらに、将来的に年収を上げていくために必要な資格 や、どのようなキャリアを歩んでいけるのかについても解説します。
- 「土木」の年収には「作業員」と「施工管理」の2種類あること
- 「土木作業員」の平均年収とキャリアアップの方法
- 「土木施工管理士」の平均年収(1級・2級の差)と年収アップの方法
- 土木業界の将来性と年収1000万円の可能性
1.「土木」の年収は2種類ある?まず「作業員」と「施工管理」どちらの年収か確認しよう


「土木 年収」と調べると、様々な金額が出てきて混乱することがあります。
その主な理由は、検索結果に大きく2つの異なる職種の年収が混在しているためです。
一つは、現場で実際に手を動かしてものを作る「土木作業員(技能職)」。
もう一つは、現場全体を管理・指揮する「土木施工管理技士(管理職)」です。
この2つは求められるスキルやキャリアの歩み方が全く異なります。自身の関心に近い職種の情報を確認することが大切です。
2.【技能職】土木作業員の平均年収とキャリアパス

まずは、現場の最前線で活躍する「土木作業員」の年収とキャリアについて見ていきましょう。
土木作業員の平均年収はいくら?(月給・手取り・時給)
厚生労働省の「job tag」によると、土木作業員の平均年収は約415万円が目安となります。
国税庁の調査による日本の平均給与(約477万円)や、建設業界全体の平均(約565万円)と比べると、やや低い水準に見えるかもしれません。
ただし、これはあくまで平均値です。手取り額は、ここから社会保険料(健康保険、厚生年金など)や税金が引かれた金額(一般的に額面の75~85%)となります。
参考:
厚生労働省|job tag 建設・土木作業員
国税庁|令和6年分 民間給与実態統計調査
年収はこう変わる(年齢別・地域別・経験年数別データ)
土木作業員の年収は、年齢や経験によって大きく変わります。
- 年齢別:統計によれば、20代(約330万~370万円程度)から経験を積むごとに上昇し、50代でピーク(約470万円)を迎える傾向があります。

- 地域別:やはり都市部の方が給与水準は高く、特に関東地方(約452万円)、関西地方(約438万円)、東海地方(約440万円)などが高い傾向にあります。
地域別 平均年収
- 経験年数別:経験年数が増えるほど、任される仕事の幅が広がり、給与も上昇していきます。

参考:
厚生労働省|job tag「建設・土木作業員」
求人ボックス 給料ナビ|土木作業員の仕事の年収・時給・給料
給料が「きつい割に低い」or「意外と高い」と言われる理由
土木作業員の年収については、様々な意見があります。
「低い」と感じる理由
前述の通り、日本の全産業平均や建設業界全体の平均と比較すると平均値がやや低いことが挙げられます。
また、天候によって仕事が左右される「日給制」の場合、雨が続くと収入が不安定になることもあります。
「高い」と感じる理由
一方で、専門性が高く危険を伴う作業もあること、そして深刻な人手不足による需要の高さから、他の職種と比べて給与が高く設定されているケースもあります。
特に、重機オペレーターなど専門技術が必要な場合は高い収入が期待できます。
土木作業員が年収を上げる3つの方法(キャリアアップの鍵は「資格」)
土木作業員からスタートして年収を上げるには、主に3つの道があります。
土木作業員が年収を上げる3つの方法
重機オペレーターになる
現場監督(施工管理)を目指す
独立する(一人親方)
- 重機オペレーターになる
クレーン運転工や建設機械運転工など専門の資格が必要な重機オペレーターは、高度な技術と安全責任が求められるため、一般的な作業員よりも高い給与水準が期待できます。 - 現場監督(施工管理)を目指す
これはキャリアを大きく変え、年収を上げるための一般的な方法です。
現場の技能職から、現場全体を管理する「施工管理」へとキャリアアップします。そのためには、後述する「土木施工管理技士」の資格取得が不可欠です。 - 独立する(一人親方)
高い技術と経験、そして顧客からの信頼を得て、個人事業主の「親方」として独立する道もあります。
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3.【管理職】土木施工管理技士の平均年収とキャリアパス

次に、現場の「司令塔」ともいえる「土木施工管理技士(現場監督)」の年収とキャリアについて解説します。
土木施工管理技士の平均年収はいくら?
土木施工管理技士と日本の平均年収比較
土木施工管理技士の平均年収
約596万円
日本の平均年収
約477万円
厚生労働省の「job tag」によると、土木施工管理技士の平均年収は約596万円です。日本の平均給与(約477万円)と比較して、高い水準にあることがわかります。
これは、工事全体の管理(工程・品質・原価・安全)という重い責任を担う専門職であるためです。
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土木施工管理技士の年収をさらに詳しく知りたい方へ。年代別データや新3Kによる働き方の変化、将来性まで網羅的に解説した記事はこちらです。
【最重要】「1級」と「2級」で年収・仕事内容はどれだけ違う?
土木施工管理技士のキャリアを考える上で、1級と2級の違いを理解することは非常に重要です。
「1級」と「2級」で年収・仕事内容はどれだけ違う?
| 比較項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 主任技術者 | 監理技術者 |
| 年収の違い | 300万円~600万円 | 400万円~700万円超 |
| 企業の評価 | ー | 1級保有者がいると企業の評価点(技術力)が加算される |
- 仕事内容の違い
簡単に言えば、2級は小規模な工事の「主任技術者」、1級は大規模な公共工事などで必須となる「監理技術者」になれるという大きな違いがあります。
- 年収の違い
当然、1級保有者の方が責任範囲が広いため、年収も高くなります。2級が300万円~600万円、1級が400万円~700万円超といったように、明確な差があります。
- 企業の評価
企業にとっても、1級保有者は非常に価値があります。公共工事の入札に必要な「経営事項審査」において、1級保有者がいると企業の評価点(技術力)が加算されるためです。
これが、企業が資格取得を支援する大きな理由です。
参考:日建学院|土木施工管理技士の平均年収は?資格取得に必要なことや合格率を紹介
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1級土木施工管理技士の資格取得から年収アップの具体的な戦略まで、7ステップで解説しています。キャリアアップを目指す方は必見です。
他の施工管理(建築、プラント等)と比べて年収は高い?低い?
施工管理と一口に言っても、分野によって年収に差があります。
施工管理(分野別)の年収比較
プラント施工管理
約670万円
建築施工管理
約641万円
土木施工管理
約596万円
プラント施工管理(約670万円)が最も高く、次いで建築(約641万円)、土木(約596万円)と続く傾向が見られました。
参考:
施工のミチ|プラント施工管理の仕事内容とは|年収や必要な資格、求められるスキルも解説
厚生労働省|job tag「建築施工管理技術者」
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施工管理全体の年収をもっと詳しく比較したい方へ。地域別の給与相場データや、具体的な年収アップの方法をまとめた記事をご覧ください。
土木施工管理技士が年収を上げる3つの方法(上位資格・関連資格・転職)
施工管理技士としてさらに年収を上げるには、明確な戦略があります。
土木施工管理技士が年収を上げる3つの方法
1級土木施工管理技士を取得する
関連する資格を取得する
転職する
- 1級土木施工管理技士を取得する
最大の方法は、2級から1級へとステップアップすることです。
これにより、大規模工事の責任者(監理技術者)という法的に認められた立場になり、昇進や資格手当(毎月の給与に上乗せ)に直結します。 - 関連する資格を取得する
「技術士」(建設部門)、「測量士」、「建設機械施工技士」など、関連する国家資格を併せて取得することで専門性を高め、希少価値を上げることができます。 - 転職する
1級の資格と十分な実務経験があれば、より大規模なプロジェクト(公共工事など)を扱う元請け企業(ゼネコン)や、高い給与水準を提示する企業へ転職することも有力な選択肢です。
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4.土木業界の年収に関するよくある質問(FAQ)

最後に、土木業界の年収に関してよく寄せられる質問にお答えします。
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土木業界で年収1000万円は可能ですか?
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可能です。ただし、簡単な道ではありません。
土木作業員からスタートした場合、独立して事業を成功させる必要があります。
施工管理技士の場合、「1級土木施工管理技士」の資格は必須条件と言えるでしょう。
その上で大規模プロジェクトを任される現場所長クラスになるか、好待遇の企業へ転職することで、年収1,000万円の道が見えてきます。
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高卒・未経験からでも稼げますか?
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はい、土木業界は未経験者に広く門戸が開かれています。
特に「施工管理」の分野では、未経験者向けの求人が急増しており、業界全体で育成に力を入れています。
実務の観点からも、学歴(高卒)よりも、入社後の「実務経験」と「資格取得」がキャリアと年収を左右する業界です。
多くの企業が「資格取得支援制度」を設けており、働きながら国家資格を目指せる環境が整っています。
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「2024年問題」で、今後の年収や将来性はどうなりますか?
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「2024年問題」とは、2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間)が適用されたことです。
これは「きつい(長時間労働)」というイメージを払拭する大きな転換点です。法律によって、企業は働き方を見直さざるを得なくなりました。
これにより、週休2日制の導入や、ドローン・AIなどを活用した業務効率化(i-Construction)が急速に進んでいます。
短期的には労働時間が減ることで残業代が減る可能性もありますが、長期的には、労働環境の改善(「新3K:給料・休暇・希望」)が進み、人手不足の中で「選ばれる」ために、適正な賃金を支払う健全な企業が評価される流れが強まっています。
将来性は、働きやすさの面で改善していると言えます。
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5.土木業界の年収アップは「資格」と「キャリアパス」の設計が鍵
「土木作業員(技能職)」と「土木施工管理技士(管理職)」はどちらの職種からスタートするにしても年収を上げ、安定したキャリアを築くための共通の鍵は「土木施工管理技士」という国家資格です。
土木作業員にとっては、この資格が管理職へのキャリアアップの扉を開きます。
施工管理技士にとっては、2級から1級へのステップアップが、より大きな責任と高い収入を得るための明確な道筋となります。
土木業界は、学歴や過去の経験以上に入社後の「実務経験」と「資格」が公正に評価される分野です。自身の適性を見極め、計画的にキャリアを設計することが、希望する年収の実現につながります。
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