猛暑の常態化や建物の省エネ化(ZEB)に伴い、空調設備の需要はかつてないほど高まっています。
しかし、現場では「無資格でできる仕事」には限りがあり、キャリアアップには資格が不可欠です。
本記事では、未経験から空調設備の仕事に関わる人に向けて、資格の選び方と取得の流れを、初心者にも分かりやすく解説します。
- 空調設備業界で優先的に取得すべき国家資格とそれぞれの難易度
- 未経験から年収1,000万円を目指すための具体的なキャリアパス
- 資格手当や転職市場で高く評価される「市場価値の高い資格」の正体
1.なぜ今、空調設備の「資格」が最強の武器になるのか?

建設・設備業界は今、2024年問題による人手不足と、気候変動による空調需要の増大という大きな変化の時期を迎えています。
こうした中で資格を持つことは、できる仕事の幅を広げるうえで大切です。
とくに空調設備は電気工事士法などの法規制により、特定の資格がなければ作業が禁じられている業務(業務独占)が多く、対応できない業務もあります。
そのため、有資格者は現場や企業から必要とされやすく、中長期的なキャリアの安定に寄与します。
猛暑とZEB化が加速させる「空調ニーズ」の爆発
空調市場の拡大と有資格者の需要増
命を守る
インフラ化
出荷台数
前年比超え
ZEB化・
高効率システム
有資格者への
強い追い風
近年の記録的な猛暑により、エアコンは生活必需品から命を守るインフラへと変化しました。
家庭用・業務用ともに入れ替えの需要は堅調で、2025年度の出荷台数も前年比超えを記録しています。
さらに、脱炭素社会に向けたZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化の推進により、高効率な空調システムの導入・メンテナンスには、より高度な知識を持つ有資格者が求められています。
この市場の広がりは、資格取得者にとって長期的な追い風といえます。
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無資格では「できない」こと——法的リスクとキャリアの壁
空調設備の世界には、電気工事士法や建設業法に基づき資格がなければ絶対にやってはいけない作業が厳格に定められています。
たとえば…
室内機と室外機を繋ぐ配線作業には第二種電気工事士以上の資格が必須です。
これに違反すると罰則の対象となるだけでなく、事故の際に責任を問われます。
無資格のままでは補助作業に終始することになり、責任あるポジションや高待遇を手にすることは物理的に不可能です。

資格は法的な信頼を勝ち取るための第一歩なのです。
2.空調設備に関わる主要資格10選【カテゴリー別一覧】
管工事施工管理技士
電気工事施工管理技士
(電験三種)
管理技術者
電気工事士
冷凍機械責任者
取扱技術者
空調設備の資格は多岐にわたるため、自分の進みたい方向に合わせて選ぶことが大切です。
大きく分けると「現場を指揮するマネジメント系」「実務を支える技術系」「建物を守る管理系」の3つに分類されます。
ここでは、各カテゴリーで特に重要度の高い10個の資格を紹介します。
これらを組み合わせることで、担当できる業務が広がり、専門性を高めやすくなります。
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【現場の司令塔】施工管理・監督系資格
現場の4大管理(工程・品質・原価・安全)を担う司令塔を目指すなら、以下の資格が最優先となります。
とくに1級施工管理技士は、企業の受注能力に直結するため、高い市場価値を持ちます。
1級・2級管工事施工管理技士
空調・配管工事の施工計画作成や工程管理を行う、業界の最重要資格。
1級・2級電気工事施工管理技士
空調機に付随する電気設備の施工管理を担う。
管工事と併せ持つことで、ワンストップでの現場統括が可能。
建築設備士
建築士に対して、空調・電気などの設備設計のアドバイスを行う高度な専門家資格。
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【実務のパスポート】現場技術・作業系資格
実際に現場で工事や調整を行う技術者にとって、これらの資格は法的に作業を行うための許可証となります。
未経験者がまず初めに手にすべき領域です。
第二種電気工事士
調機の電源配線作業に不可欠な、設備職にとってのパスポート的資格。
第三種冷凍機械責任者
高圧ガス保安法に基づき、大型空調設備の製造・保守に必要な知識の証明。
第一種冷媒フロン類取扱技術者
環境保護の観点から、エアコンの冷媒(フロン)の充填や回収を適正に行うための必須スキル。
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【運用の要】施設管理・環境維持系資格
建物を長持ちさせ、快適な空間を維持するための資格です。
メンテナンス職やビルメンテナンス(ビルメン)分野を目指す方にとって、安定したキャリアの基盤となります。
建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士):
大規模ビルの環境衛生を統括する、施設管理のトップ資格。
エネルギー管理士
ZEB化が進む中、空調のエネルギー効率を最適化するスペシャリストとして需要が急増。
電気主任技術者(電験三種)
建物全体の電気設備の保安監督を行う難関資格であり、保有者は高年収が期待。
2級ボイラー技士
大規模な温熱源を持つ空調システムの運用管理に必要。
3.【目的別】未経験から目指すべき「資格取得の黄金ルート」
施工職ルート
(現場で稼ぐ)
メンテナンス職ルート
(安定業務)
管理職ルート
(年収1,000万/独立)
資格は「ただ取ればいい」というものではありません。
実務経験との兼ね合いを考え、評価につながりやすい順番で取得することが大切です。
未経験からスタートする場合、まずはどの現場でも重宝される基礎資格を取得し、その後に適性や希望に合わせて専門特化していくのが賢い戦略です。
将来を見据えて、長く安定して働ける資格の取得順を考えることが、結果的にキャリア形成につながります。
現場でバリバリ稼ぎたい人向けの「施工職ルート」
- 「まずは現場の第一線で技術を磨き、高収入を得たい」という方は、入社1年目に第二種電気工事士を取得しましょう。
これがあるだけで、配線作業などを任されやすくなり、現場での役割が広がります。
- 次に、冷媒フロン類取扱技術者を取得して空調の核心部分をマスターします。
- その後、3〜5年ほど実務経験を積んだタイミングで2級管工事施工管理技士に挑戦しましょう。
主任技術者として現場を任されるようになり、資格手当を含めた給与が大幅にもつながります。

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安定した管理業務を目指す人向けの「メンテナンス職ルート」
体力的な負担を抑えつつ、腰を据えて長く働き続けたいのであれば、建物の機能を守り続けるメンテナンス職が最適な選択肢です。
このルートでは、消防設備士やボイラー技士(2級)といった、比較的取得しやすい資格からスタートして自信をつけましょう。
その後、日々の実務経験を積みながら、空調管理の要となる第三種冷凍機械責任者の取得を目指します。
将来の独立や高年収1,000万円を目指す「管理職ルート」
将来的な独立や大手ゼネコンでの所長クラス、あるいは年収1,000万円超えを目指すなら、最初から1級管工事施工管理技士をゴールに見据えた逆算のキャリアが必要です。
未経験でもまずは施工管理アシスタントとして入社し、実務経験を証明可能な形で蓄積することから始めましょう。

このとき、自分の技能や経験を公的に記録できる建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用も欠かせません。
1級を取得し、かつ監理技術者として大規模プロジェクトを回せるようになれば、独立しても引く手あまたの状態になります。
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4.気になる「難易度・合格率・勉強時間」をマトリックスで比較
空調関連資格の合格率・難易度比較
第二種
電気工事士
1級管工事
施工管理技士
難関資格
(専門性高)
資格試験に挑む際、どの程度の難易度なのかを把握しておくことが大切です。
空調関連の資格は、合格率が50%を超えるものから、10%前後の難関まで幅広く存在します。
無理な計画は挫折の元ですが、適切な戦略を立てれば、働きながらでも十分に取得可能です。
たとえば…
・二種電気工事士
合格率は50~60%台で推移しており、未経験者が最初に取り組むべき資格として推奨されます。
・1級管工事施工管理技士
実務経験が受験要件となり、試験内容も専門性が高く、合格率は30〜40%程度です。
ただし、近年は試験制度の改正もあり、若手でも挑戦しやすい環境が整っています。

まずは難易度が低めから中程度の資格に挑戦し、経験を積むことで次のステップにつなげやすくなります。
参考|
一般社団法人 電気技術者試験センター:令和7年第二種電気工事士下期学科試験の結果について
一般社団法人 全国建設研修センター:技術検定試験 合格発表公表資料
■働きながら資格取得を目指せる環境
仕事と勉強の両立は大変ですが、残業時間が少なく勉強時間を確保しやすい職場も多数あります。カラフルスタッフィング建設では、ワークライフバランスを重視した求人もご紹介しています。
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5.資格取得を「お金」に変える戦略:手当の相場と転職のコツ

資格取得の最大のメリットは「収入」です。
多くの企業が資格手当を設けており、月額数千円から数万円が支給されます。
また、キャリアプランニングの視点では、資格は「転職時の交渉材料」として絶大な威力を発揮します。
企業が採用によって得られるメリット(受注可能金額のアップなど)を言語化できれば、年収交渉を有利に進めることが可能です。
ここでは、資格をお金に変えるための具体的な戦略を解説します。
企業の「資格取得支援制度」を賢く活用する
資格取得支援制度と企業の成長サイクル
手厚い
資格取得支援
経営事項審査
(経審)加点
公共工事の
受注競争力
自腹で受験料や講習費を支払うのは経済的な負担が大きく、挑戦をためらう原因になりがちです。
しかし、優良な企業の多くは資格取得支援制度を整えており、受験料の全額負担や、合格時のお祝い金、専門学校の学費補助などを行っています。
企業が支援を手厚くするのは、1級施工管理技士などの保有者が増えることで経営事項審査の点数が上がり、受注競争で有利になるという経営戦略があるからです。
社員を育てる会社は業績も安定しており、キャリアを長期的に支える最良のパートナーとなります 。
参考|
厚生労働省:雇用・労働教育訓練給付金
国土交通省:経営事項審査の審査基準の改正について
ポータブルスキルと資格を組み合わせて市場価値を最大化する
専門資格
コミュニ
ケーション
ITツール
活用力
資格だけでも強力な武器になりますが、そこにコミュニケーション能力やITツールを使いこなす力などのポータブルスキルを掛け合わせると、市場価値は唯一無二のものになります。
たとえば、難解な図面をタブレットで素早く共有し、現場の職人と円滑に調整できる有資格者は、現場監督として最高級の評価を受けます。
建設業界では現在、i-ConstructionやDXが加速しており、こうしたIT活用力は生産性を高めるために不可欠です。
専門知識というハードスキルと、対人能力などのソフトスキルの両輪を回すことが、変化の激しい業界で高年収を維持し続ける秘訣です。
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6.空調設備の資格は一生モノの資産!未経験から安定した未来を築く第一歩
空調設備の資格は、不確実な時代を生き抜くための「一生モノの資産」です。
2024年問題や猛暑といった外部環境の変化は、むしろ大きなチャンスとなります。
まずは進みたいルートを決め、パスポートとなる「第二種電気工事士」や「2級施工管理」から始めることが、着実なステップとなります。
一歩踏み出すその勇気が、10年後の安定した未来へとつながるでしょう。