建設業界への転職・就職を検討している方にとって、ゼネコンの最新ランキング情報は企業選択の重要な判断材料となります。
本記事では、2025年3月期決算に基づく売上高ランキングTOP27社を詳細に分析し、各社の平均年収、事業特徴、将来性を徹底比較。
転職成功に向けた具体的な戦略と企業選びのポイントまで、建設業界転職のすべてを網羅的に解説します。
- 2025年最新のゼネコン売上高・年収ランキングTOP27社の詳細データ
- スーパーゼネコン5社の事業特徴と強み、転職メリットの比較分析
- 職種別おすすめ企業と転職成功のための実践的な戦略・対策方法
1.ゼネコンとは?業界基礎知識と分類体系
建設業界への転職を成功させるためには、まずゼネコンの基本的な定義と業界構造を理解することが重要です。ここでは、ゼネコンの役割から企業分類、そして2025年の最新業界動向まで、転職活動に必要な基礎知識を体系的に解説します。
ゼネコンの定義と役割
ゼネコンとは「General Contractor(ゼネラルコントラクター)」の略称で、日本語では「総合建設業者」と呼ばれます。
建設プロジェクトにおいて発注者から工事一式を直接請け負い、設計から施工、品質管理、安全管理まで、プロジェクト全体の統括管理を担う企業です。
ゼネコンの主要な役割は以下の4点に集約されます。
1. プロジェクト管理
「いつまでに(工期)」「いくらで(コスト)」「どのような品質で(品質)」「無事故で(安全)」を総合的に管理し、計画通りの完成となるよう指揮をとります。
2. 技術統括
電気、空調、内装など、各分野のプロである専門工事業者(サブコン)たちをまとめ、統括します。それぞれの工事がうまく連携できるよう、技術的な調整を行う重要な役割です。
3. 品質保証
完成した建物が、設計図通りの性能や安全性を満たしているかについて、最終的な責任を負います。
4. リスク管理
工事中の事故や、天候によるスケジュールの遅れなど、予期せぬトラブルを未然に防ぎ、万が一発生した際には迅速に対応します。
サブコンとの違いは明確で、ゼネコンが元請けとして発注者と直接契約するのに対し、サブコンは下請けとしてゼネコンから特定の専門工事を請け負います。例えば、電気設備工事や空調設備工事などの専門分野を担当するのがサブコンです。
スーパーゼネコン・準大手・中堅の分類基準
建設業界では、売上高規模によってゼネコンを3つのカテゴリーに分類しています。
スーパーゼネコン
年間売上高1兆円を超える最大手企業群で、現在日本では鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店の5社がこれに該当します。
これらの企業は国内外の超大型プロジェクトを手がけ、高い技術力と豊富な資金力を背景に業界をリードしています。
準大手ゼネコン
売上高3,000億円から1兆円未満の企業群で、長谷工コーポレーション、インフロニア・ホールディングス、五洋建設、戸田建設、フジタ、熊谷組、三井住友建設、安藤ハザマ、西松建設、高松コンストラクショングループの10社程度が含まれます。
地域密着型の事業展開や特定分野での専門性を武器に、安定した市場シェアを確保しています。
中堅ゼネコン
売上高1,000億円から3,000億円程度の企業群で、地方市場での競争力や特定の専門分野での技術力を強みとしています。
全国には約50社程度存在し、地域インフラ整備や民間建築工事において重要な役割を果たしています。
2025年建設業界の最新動向
2025年の建設業界は大きな転換点を迎えています。
国土交通省の発表によると、2024年度の建設工事受注総額は18兆9,558億円で前年度比5.3%増となり、4年連続のプラス成長を達成しました。特に民間部門ではサービス業や製造業からの受注が堅調に推移しています。
一方で、建設業界は深刻な人材不足という構造的な課題を抱えています。技能労働者の高齢化が進む中、2024年4月から働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が適用された(いわゆる「2024年問題」)ことで、労働力不足が一層深刻化しています。
国土交通省の推計では、2025年には約21万人の技能労働者が不足すると見込まれており、生産性の向上が急務となっています。
この課題解決に向けて、業界全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)化が加速しています。2024年12月からは特定建設業者や公共工事受注者に対してICTやDXの活用が努力義務化され、建設現場でのデジタル技術導入が本格化しています。
また、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みも活発化しており、各社とも環境配慮型建築や再生可能エネルギー関連事業への投資を拡大しています。これらの動向は、今後のゼネコン選択においても重要な判断材料となっています。
参考:国土交通省|令和6年度の建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)結果
参考:国土交通省|「最近の建設業を巡る状況について【報告】」
参考:内閣府|「令和6年高齢社会白書」
参考:国土交通省|建設業の価格転嫁、ICT活用、技術者専任合理化について
2.【2025年最新】ゼネコン売上高ランキングTOP20

2025年3月期決算データに基づく最新のゼネコンランキングを、スーパーゼネコン、準大手、中堅の3カテゴリーに分けて詳細に分析します。各社の売上高実績と事業特徴を把握し、転職先選択の参考材料としてご活用ください。
スーパーゼネコン5社(1~5位)の詳細データ
2025年3月期決算に基づく最新のゼネコンランキングでは、スーパーゼネコン5社が圧倒的な存在感を示しています。
鹿島建設:業界首位の技術力と海外展開力

1位:鹿島建設(2兆9,118億円)
売上高で業界首位を維持し、大幅成長を達成しました。海海外事業の拡大と国内大型プロジェクトの順調な進捗が寄与し、3兆円に迫る勢いを見せています。土木事業の強みを活かし、国土強靭化関連事業で確実に受注を伸ばしています。
海外事業での競争優位性が最大の特徴で、アジア、北米、欧州の主要市場で大型インフラプロジェクトを多数手がけています。特にシンガポールの都市開発や米国の高層ビル建設では高い技術力が評価されています。
技術開発力では、日本初の高さ100m超高層ビルを手がけた実績を持ち、現在も超高層建築技術や免震・制震技術の分野で業界をリードしています。特許保有数は業界最多レベルで、研究開発投資も積極的に行っています。
主要プロジェクト実績として、東京駅丸の内駅舎復原工事、新国立競技場の建設、リニア中央新幹線関連工事など、日本を代表する大型プロジェクトを数多く手がけています。
大林組:都市開発のパイオニアとしての強み

2位:大林組(2兆6,201億円)
前年比で大幅な成長を達成し、過去最高売上高を更新しました。都市再開発事業での強みを活かし、関西圏を中心とした大型プロジェクトが業績を牽引しています。建築技術の革新と環境配慮型建築への取り組みが評価されています。
関西圏での強固な基盤を持ち、大阪駅改札内地下通路や大阪城天守閣の復元など、関西を代表する建造物を多数手がけています。2010年まで大阪に本社があった歴史から、西日本での実績と信頼は他社を圧倒しています。
環境配慮型建築への取り組みでは業界最先端で、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の設計・施工実績が豊富です。また、カーボンニュートラル実現に向けた技術開発にも積極的に投資しています。
イノベーション創出への投資も特徴的で、スタートアップ企業との協業やオープンイノベーションの推進により、建設業界の枠を超えた新事業創出に取り組んでいます。
HP:https://www.obayashi.co.jp/
大成建設:インフラ整備での圧倒的実績

3位:大成建設(2兆1,542億円)
インフラ整備での実績を背景に安定した業績を維持しています。公共工事受注での優位性と土木技術力の高さが評価され、特に大型インフラプロジェクトでの存在感を強めています。
地下空間開発技術では業界トップクラスの実力を持ち、地下鉄や地下高速道路の建設技術に優れています。東京メトロの多くの路線建設を手がけており、都市部の限られた空間を有効活用する技術力は他社の追随を許しません。
防災・減災技術の開発にも力を入れており、津波・高潮・洪水に対応する防潮堤・堤防の技術開発では業界最先端の技術を保有しています。東日本大震災後の復興事業でもその技術力を如何なく発揮しました。
また、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事など、超長大トンネル工事の実績も豊富で、山岳トンネル技術では国内随一の技術力を誇ります。
清水建設:伝統技術と最先端技術の融合

4位:清水建設(1兆9,443億円)
伝統建築技術と最先端技術の融合により独自のポジションを確立。働き方改革の取り組みでも業界をリードし、持続可能な建設業界の構築に貢献しています。
宇宙開発事業への先駆的取り組みも特筆すべき点で、1987年から建設業界で初めて宇宙開発に参入し、月面基地建設構想「ルナリング」を発表するなど、未来志向の事業展開を行っています。
働き方改革では業界をリードし、スーパーゼネコン中で最も短い残業時間と高い有給消化率を実現しています。2025年3月期の従業員数は業界1位で、多様な人材が活躍できる職場環境を整備しています。
風力発電関連事業への参入も積極的で、洋上風力発電設備の建設や維持管理において独自の技術とノウハウを蓄積しています。
竹中工務店:木造建築技術の最高峰

5位:竹中工務店(約1兆6,001億円)
非上場企業として独自の経営スタイルを貫き、木造建築技術では業界最高水準を誇ります。関西圏での強固なブランド力が特徴です。
木造建築技術では業界最高水準を誇り、法隆寺五重塔の解体修理や明治神宮の再建など、日本の木造建築技術の粋を集めた工事を手がけています。現代においても木造超高層建築の技術開発に取り組んでいます。
関西圏での強固なブランド力も特徴的で、京都迎賓館、大阪城天守閣、神戸ポートタワーなど、関西を代表する建造物を数多く手がけています。関西の文化と伝統を理解した設計・施工能力は他社の追随を許しません。
伝統建築技術の継承と革新にも力を入れており、宮大工の技術を現代建築に活かす取り組みや、伝統工法とモダン建築の融合による新しい建築様式の創造に挑戦しています。
HP:https://www.takenaka.co.jp/
準大手ゼネコン10社(6~15位)の売上実績
準大手ゼネコンの中でも規模に大きな差があり、トップの長谷工コーポレーションはスーパーゼネコンに匹敵する売上規模を誇ります。特定の分野での高い専門性や、地域に特化した事業展開を強みとして市場での地位を確立しています。
長谷工コーポレーション:マンション建設のリーディングカンパニー

6位:長谷工コーポレーション(1兆1,773億円)
マンション建設に特化した独自の事業モデルで、準大手ゼネコンのトップに位置。住宅市場での圧倒的なシェアを背景に安定成長を続ける。
長谷工コーポレーションは「マンションのことなら長谷工」というブランドイメージ通り、マンション建設において他社の追随を許さない圧倒的なNo.1企業です。土地の仕入れから企画・設計、施工、販売、管理、リフォームまでを一貫して手掛ける独自のビジネスモデルを強みとしています。
特に、受注の多くを占める「特命受注」は、競争入札を経ずにデベロッパーから直接指名されるもので、同社の高い技術力と信頼の証です。 これまで施工したマンションの累計戸数は約70万戸にのぼり、日本の分譲マンションストックの約1割を供給してきました。この膨大な実績をデータベース化し、設計や施工の効率化、品質向上に活かしています。
近年ではマンション建設で培ったノウハウを活かし、ホテルや物流施設、高齢者向け住宅など、非住宅分野へも事業領域を拡大しています。
インフロニア・ホールディングス:総合インフラサービス企業への変革

7位:インフロニア・ホールディングス(8,475億円)
前田建設工業を傘下に持つ持株会社。建設事業の枠を超え、運営まで手掛ける「総合インフラサービス」で独自のポジションを築く。
インフロニア・ホールディングスは、前田建設工業、前田道路、前田製作所が経営統合して誕生した持株会社です。単なる建設請負にとどまらず、インフラの企画・運営から維持管理までを一貫して手掛ける「総合インフラサービス企業」を目指しています。
特に、公共施設を民間の資金やノウハウで運営するコンセッション事業(空港や有料道路の運営など)や、再生可能エネルギー事業に注力しており、建設業界における新しいビジネスモデルの先駆者となっています。
傘下の前田建設工業は、青函トンネルや香港の青馬大橋など、国内外で数々の高難度プロジェクトを手掛けてきた土木技術の名門です。この高い技術力と、グループ全体の運営ノウハウを融合させることで、持続可能な社会の実現に貢献するインフラ事業を展開しています。
HP: https://www.infroneer.com/
五洋建設:海洋土木のパイオニア

8位:五洋建設(7,274億円)
海洋土木(マリコン)の国内最大手。港湾、空港、エネルギー関連施設など、水辺のインフラ整備で世界を舞台に活躍する。
五洋建設は、その名の通り海洋土木工事を最大の強みとするゼネコンです。埋立・浚渫(しゅんせつ)技術を核に、港湾整備や海上空港の建設(関西国際空港、中部国際空港など)、海底トンネル工事で国内随一の実績を誇ります。
スエズ運河の拡幅工事やシンガポールの国土開発など、海外での大規模プロジェクトにも数多く参画しており、「世界のGOYO」として国際的に高い評価を得ています。 近年では、洋上風力発電施設の建設や資源開発関連の海洋工事など、脱炭素社会の実現に向けた新しい分野にも積極的に取り組んでいます。
海洋土木で培った高度な専門技術を活かし、国土保全からエネルギー創出まで、幅広い領域で社会基盤を支えています。
HP: https://www.penta-ocean.co.jp/
戸田建設:医療・福祉建築のスペシャリスト

9位:戸田建設(5,866億円)
医療・教育施設の建設に豊富な実績を持ち、特に病院建設は業界トップクラスのシェアを誇る。堅実な経営と高い技術力が特徴。
戸田建設は、140年以上の歴史を持つ中堅ゼネコンの名門であり、特に病院や学校といった医療・福祉・教育分野の建築で圧倒的な強みを発揮しています。
全国の大学病院や大規模医療センターの施工実績が非常に豊富で、複雑な設計要件や高度な衛生管理が求められる医療施設の建設において、業界内で高い信頼を得ています。
建築事業と土木事業のバランスが取れた事業構成も特徴で、堅実な経営を続けています。
近年では、再生可能エネルギー分野への取り組みも強化しており、洋上風力発電関連事業として、自社で浮体式洋上風力発電の実証機を建設するなど、未来に向けた技術開発にも積極的です。
フジタ:大和ハウスグループの中核建設会社

10位:フジタ(5,728億円)
大和ハウスグループの一員として、都市開発や物流施設、医療・介護施設など幅広い分野で事業を展開。グループ連携による総合力が強み。
フジタは、住宅業界最大手である大和ハウスグループの中核を担う総合建設会社です。
グループの豊富な情報網や開発力を背景に、都市再開発、商業施設、物流倉庫、医療・介護施設など、多様な建築プロジェクトを手掛けています。
特に、大和ハウスグループが注力する物流施設開発においては、企画から設計、施工までを担う重要な役割を果たしています。
海外事業にも長い歴史を持ち、特に中南米での実績が豊富です。また、独自技術の開発にも力を入れており、免震・制震技術や環境配慮型の建設技術で高い評価を得ています。
グループ内の連携を活かした安定した事業基盤と、国内外で培ってきた高い技術力が融合している点が最大の強みです。
熊谷組:トンネル技術の熊谷組

11位:熊谷組(4,985億円)
「トンネルの熊谷組」として知られ、シールド工法をはじめとする土木技術に定評。国内外のインフラ整備で豊富な実績を持つ。
熊谷組は、特にトンネル工事において世界的な技術力を持つことで知られています。世界初のシールド工法による海底トンネル(関門トンネル)を手掛けた歴史を持ち、以来、国内外の地下鉄や道路、水路トンネルなど数々の難工事を成功させてきました。
台湾の高速鉄道建設プロジェクトでは、その高い技術力が大きく貢献しました。 もちろん建築分野でも、超高層ビルや商業施設などで多くの実績を持っています。堅実な社風と誠実なものづくりを信条とし、顧客からの厚い信頼を得ています。
近年では、再生可能エネルギー事業や環境事業にも注力し、社会インフラ整備で培った技術を新しい分野に応用しています。
HP: https://www.kumagaigumi.co.jp/
三井住友建設:PC技術を核とする都市・インフラ創造企業

12位:三井住友建設(4,629億円)
プレストレスト・コンクリート(PC)技術を強みとし、橋梁や超高層マンションで高い技術力を発揮。三井住友グループの信用力が背景。
三井住友建設は、三井建設と住友建設が合併して誕生したゼネコンです。同社の最大の特徴は、PC(プレストレスト・コンクリート)技術における高い専門性です。PC技術を用いた長大橋梁の建設では国内トップクラスの実績を誇り、高速道路や新幹線の橋梁を数多く手掛けています。
また、この技術は超高層マンションの建設にも応用されており、しなやかで耐久性の高い建物を実現しています。 三井住友グループの一員としての安定した経営基盤とブランド力も大きな強みです。建築と土木のバランスの取れた事業ポートフォリオを持ち、都市インフラ整備から都市再開発まで幅広く社会に貢献しています。
安藤ハザマ:土木と建築の融合による総合力

13位:安藤ハザマ(4,251億円)
土木の名門である間組(ハザマ)と、建築に強みを持つ安藤建設が統合。両社の伝統と技術を融合させ、総合力で難工事に挑む。
安藤ハザマは、ダムやトンネルといった大規模な土木工事で名を馳せた間組と、高品質な建築作品で評価の高かった安藤建設の強みを併せ持つ会社です。
特に、間組時代から受け継がれる山岳土木技術は業界でも高く評価されています。 建築分野においても、オフィスビル、医療施設、教育施設など多岐にわたる実績を持ち、顧客のニーズに細やかに応える設計・施工能力に定評があります。
土木と建築、両方の現場で培われた豊富な経験と技術力を融合させることで、複雑化する社会の要請に応えています。
西松建設:社会基盤を支える土木技術の名門

14位:西松建設(3,668億円)
創業150年近い歴史を持ち、ダムやトンネル、空港など大規模な社会インフラ整備で実績を重ねてきた技術者集団。
西松建設は、特に大規模な土木工事、中でもダムやトンネルといった水力・電力関連のインフラ整備で高い技術力と実績を誇る老舗ゼネコンです。国内の多くのダム建設に携わり、国土開発と電力の安定供給に貢献してきました。
また、シンガポールの地下鉄工事など海外での実績も豊富です。 堅実な経営と現場主義を重んじる社風で知られ、長年にわたり安定した事業運営を続けています。
近年では、環境分野や海外の都市開発事業にも力を入れており、伝統的な土木技術を基盤としながら、新たな事業領域への挑戦を続けています。
HP: https://www.nishimatsu.co.jp/
高松コンストラクショングループ:顧客第一主義を貫く建設事業グループ

15位:高松コンストラクショングループ(3,466億円)
中核企業である高松建設などを傘下に持つ持株会社。民間非住宅建築に強みを持ち、顧客との長期的な信頼関係を重視した事業を展開。
高松コンストラクショングループは、髙松建設や青木あすなろ建設などを傘下に持つ純粋持株会社です。
グループの中核である髙松建設は、工場、倉庫、賃貸マンションといった事業用建物の建設に特化しており、特に土地を所有する法人や個人を顧客とし、企画提案から設計、施工までを一貫して手掛けることで高い評価を得ています。
「非同族世襲」を掲げ、専門経営者による透明性の高い経営を行っている点も大きな特徴です。投機的な開発は行わず、顧客の事業を第一に考えた堅実な経営スタイルを貫いています。各事業会社がそれぞれの得意分野で専門性を発揮するグループ経営により、安定した成長を続けています。
HP: https://www.takamatsu-cg.co.jp/
中堅ゼネコン12社(16~20位)の業績分析
中堅ゼネコンは売上高1,000億円から3,000億円程度の企業群で、地方市場での競争力や特定専門分野での技術力を強みとしています。
東亜建設工業:港湾・空港建設をリードするマリコン

16位:東亜建設工業(3,304億円)
海洋土木(マリコン)の準大手。埋立・浚渫技術に定評があり、国内外の臨海部インフラ整備で高い技術力を発揮する。
東亜建設工業は、五洋建設と並ぶ海洋土木(マリコン)の専門企業です。特に、土砂を浚渫し、陸地を造成する埋立工事において国内トップクラスの技術と実績を誇ります。
東京国際空港(羽田)の再拡張事業や、国内外の港湾整備、物流拠点開発など、国の重要プロジェクトに数多く関わってきました。 建築分野においても、臨海部に建設される大型倉庫や工場、エネルギー関連施設などを得意としています。
また、海外事業にも積極的で、東南アジアや中東を中心に港湾インフラの整備に貢献しています。長年培ってきた海洋土木技術を基盤に、防災・減災事業や環境事業にも力を入れているのが特徴です。
HP: https://www.toa-const.co.jp/
奥村組:免震技術のパイオニア

17位:奥村組(2,982億円)
関西を地盤とする中堅ゼネコンの雄。「免震の奥村」として知られ、地震対策技術で業界をリードする存在。
奥村組は、大阪に本社を構える関西地盤の中堅ゼネコンです。最大の特徴は、独自に開発した「免震構法」であり、この分野のパイオニアとして業界内外で高い評価を確立しています。
自社の技術研究所に世界最大級の大型振動台を保有し、地震に強い建物づくりに関する研究開発を続けています。 誠実な経営と堅実な施工を信条とする「堅実経営」を貫き、顧客からの信頼が厚い企業です。
土木分野では、山岳トンネルやシールド工法で高い技術力を持ち、建築分野ではオフィスビルからマンション、医療施設まで幅広く手掛けています。近年では、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)など環境配慮型建築にも注力しています。
HP: https://www.okumuragumi.co.jp/
東急建設:渋谷を創り、未来を拓く東急グループの中核

18位:東急建設(2,931億円)
東急グループの中核を担う建設会社。渋谷の再開発をはじめ、鉄道関連工事や都市開発で圧倒的な強みを持つ。
東急建設は、東急グループの一員として、鉄道事業と密接に連携した都市開発を最大の強みとしています。
特に、拠点である渋谷では「100年に一度」といわれる大規模再開発プロジェクトの中心的な役割を担い、渋谷ヒカリエや渋谷スクランブルスクエアなどの施工を手掛けてきました。鉄道関連工事のノウハウが豊富で、駅舎の改良や線路の高架化など、運行中の鉄道インフラを止めない難易度の高い工事を得意としています。
グループ外からの受注も積極的に拡大しており、マンションや医療施設、海外でのインフラ整備など、幅広い分野で実績を伸ばしています。東急グループの安定した事業基盤と、渋谷開発で培った最先端の都市創造ノウハウが同社の競争力の源泉です。
HP: https://www.tokyu-cnst.co.jp/
鉄建建設:鉄道技術を基盤とするインフラ整備の担い手

19位:鉄建建設(1,851億円)
旧国鉄の関連工事部門をルーツに持つ建設会社。鉄道関連工事、特に線路の保守・改良工事でトップクラスの実績を誇る。
鉄建建設は、その名の通り鉄道関連工事を最大の強みとするゼネコンです。
JR各社を主要顧客とし、新幹線の高架橋や駅舎の建設、在来線の連続立体交差事業(線路を高架化して踏切をなくす工事)など、専門性の高いプロジェクトで豊富な実績を持っています。
鉄道の安全運行に不可欠な線路のメンテナンス技術は、同社の中核技術です。 鉄道工事で培った土木・建築技術を活かし、道路やマンション、オフィスビルなど一般の建設事業も幅広く展開しています。
特に、線路と道路を同時に整備するような複雑な都市インフラプロジェクトにおいて、その専門性を発揮しています。
東洋建設:海上工事で未来の国土を築く

20位:東洋建設(1,726億円)
関西を拠点とする海洋土木(マリコン)の有力企業。港湾整備や人工島の造成などで豊富な実績を持つ。
東洋建設は、関西国際空港の造成工事をはじめ、国内外で数々の大規模な海上工事を手掛けてきたマリコンです。浚渫・埋立技術に強みを持ち、港湾や航路の整備、工業用地の造成などを通じて国の産業基盤づくりに貢献してきました。
海外では、エジプトや東南アジアなどでの港湾プロジェクトに長く携わっています。 陸上の土木・建築事業もバランスよく展開しており、物流倉庫や工場、エネルギー関連施設の建設などを得意としています。
近年では、洋上風力発電施設の建設など、再生可能エネルギー分野への参入を積極的に進めており、海洋土木で培った技術を次世代のエネルギーインフラ構築に活かしています。
HP: https://www.toyo-const.co.jp/
中堅ゼネコンの特徴分析
地域密着型の強み:
奥村組、淺沼組、錢高組などの関西系企業は、地域での長年の実績と信頼関係を基盤に安定した受注を確保しています。
専門技術による差別化
- 東亜建設工業:海洋土木・港湾工事
- 青木あすなろ建設:PC(プレストレスト・コンクリート)技術
- 鉄建建設:鉄道関連工事
- 東洋建設:海洋・港湾工事
市場ポジション
中堅ゼネコンの平均売上規模は約1,800億円で、準大手ゼネコンとの格差は約2.6倍となっています。しかし、特定分野での技術力や地域密着型のサービス提供により、安定した市場地位を確保しています。
これらの企業は、大手との差別化を図るため、DX技術の導入や環境配慮型建築への取り組みを積極的に進めており、今後の成長ポテンシャルが注目されています。業界環境の変化への対応が求められる中、地方市場においては重要な役割を果たし、地域インフラ整備の中核を担っています。
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ゼネコンと密接に連携するサブコンについても詳しく解説。電気設備系・空調系企業の売上・年収データと転職のポイントを紹介しています。
3.ゼネコン平均年収ランキングと福利厚生

転職を検討する際に最も重要な判断材料の一つである年収情報について、最新データを基に詳細に分析します。職種別の年収レンジから働き方改革の取り組み状況まで、転職活動に直結する情報をお届けします。
高年収企業TOP10の詳細分析
2025年最新の有価証券報告書に基づく平均年収ランキングでは、スーパーゼネコン5社が上位を独占し、1,000万円前後の高年収を実現しています。
年収ランキングTOP10:
順位 | 企業名 | 平均年収 |
1位 | 鹿島建設 | 約1,177万円 |
2位 | 大林組 | 約1,066万円 |
3位 | 大成建設 | 約1,024万円 |
4位 | 竹中工務店 | 約1,012万円 |
5位 | 清水建設 | 約982万円 |
6位 | 長谷工コーポレーション | 約963万円 |
7位 | インフロニアHD | 約967万円 |
8位 | 高砂熱学工業 | 約944万円 |
9位 | 五洋建設 | 約889万円 |
10位 | 戸田建設 | 約841万円 |
スーパーゼネコンの平均年収は、準大手ゼネコン平均を大きく上回ります。昇進・昇格制度は各社とも年功序列を基本としながら、近年は成果主義の要素も取り入れています。
職種別年収の実態とキャリアパス
1. 施工管理職
現場の進行を管理する重要なポジションです。経験年数と資格が年収アップの鍵となります。
経験年数 | 年収相場 |
3年目 | 450万円~600万円 |
10年目 | 700万円~900万円 |
20年目 | 900万円~1,200万円 |
- ポイント: 「一級施工管理技士」の資格を取得することで、さらなる年収アップが期待できます。
2. 設計職・技術開発職
高い専門性が求められ、初任給から優遇される傾向にあります。
- モデル年収:
- 入社5年目(一級建築士保有): 600万円~800万円
- キャリアアップ:
- 管理職に昇進することで、年収1,000万円を超えることも可能です。
3. 営業職・管理部門
個人の実績や担当範囲によって、年収が大きく変動するのが特徴です。
- 特徴:
- 営業成績や担当する管理範囲によって年収に大きな差が生じます。
- 成功例:
- 大型プロジェクトの受注に成功した場合など、インセンティブ(報奨金)の支給により年収1,500万円を超えるケースもあります。
昇進ルートは「現場経験→係長→課長→部長→取締役」が一般的で、現場での実績が重視されます。海外駐在経験者は優遇される傾向があります。
働き方改革の取り組み状況
建設業界全体で働き方改革が進んでおり、残業時間削減への取り組みが活発化しています。
スーパーゼネコン5社 月平均残業時間の比較
会社名 | 月平均残業時間 | データ年度 |
竹中工務店 | 22.1時間 | 2024年度 |
清水建設 | 23.7時間 | 2024年度 |
鹿島建設 | 30.5時間 | 2024年度 |
大林組 | 32.8時間 | 2024年度 |
大成建設 | 33.7時間 | 2024年度 |
参考:鹿島建設株式会社: 人事データ | サステナビリティ
参考:清水建設株式会社: データブック | ダイバーシティ&インクルージョン
参考:大成建設株式会社: ダイバーシティ,エクイティ&インクルージョン推進方針
参考:株式会社竹中工務店: ESG DATA BOOK 2024 (社会)
参考:株式会社大林組: 人材マネジメントの取り組み | サステナビリティ
スーパーゼネコン5社の有給休暇取得率
2024年度の実績に基づいたスーパーゼネコン5社の最新の有給休暇取得率の平均は約60.1%です。
会社名 | 有給休暇取得率 |
鹿島建設 | 62.8% |
清水建設 | 65.3% |
大成建設 | 64.0% |
竹中工務店 | 61.2% |
大林組 | 52.9% |
参考:鹿島建設株式会社: 人事データ | サステナビリティ
参考:清水建設株式会社: データブック | ダイバーシティ&インクルージョン
参考:大成建設株式会社: ダイバーシティ,エクイティ&インクルージョン推進方針
参考:株式会社竹中工務店: ESG DATA BOOK 2024 (社会)
参考:株式会社大林組: 人材マネジメントの取り組み | サステナビリティ
テレワーク・フレックス制度
コロナ禍を契機に本社管理部門でのテレワーク導入が進み、現在は週2〜3日のハイブリッドワークが定着しています。フレックス制度も設計部門を中心に導入が拡大しています。
2025年4月から、3歳未満の子どもを養育する労働者の育児短時間勤務の代替措置として在宅勤務等(テレワーク)が追加され、制度活用が促進されています。
建設業界では現場での作業が中心となるため、施工管理や現場監督業務のリモートワーク化には限界があります。
しかし、ICTやDXの活用による効率的な現場管理が努力義務化されたことで、遠隔監視システムやデジタル施工管理ツールの導入が進んでおり、現場業務の一部テレワーク化も検討されています。
ゼネコン各社の導入例
鹿島建設
フレックスタイム制と短時間勤務制を組み合わせた「フレックス短時間勤務制度」があり、テレワーク制度とともに両立支援を推進しています。
大林組
場所を問わない柔軟な働き方を目指すテレワーク制度と、始業・終業時刻を2時間までずらせる時差出勤制度があります。育児や介護など、それぞれのライフスタイルに合わせて、従業員が働きやすい環境を整えています。
清水建設
「今こそ!『アタリマエ』を変える」を全体テーマに掲げ、働き方改革WEEK2020を開催し、柔軟な働き方の推進を図っています。「在宅勤務を進め必要最小限の人数で運営」として、管理部門での在宅勤務を推進。
今後は、法規制の変化と技術革新により、建設業界においても更なる働き方の多様化が進むと予想されます。
参考:厚生労働省|育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
参考:リコー|2025年4月に何が変わる?働き方関連の法改正と必要な対応を解説
参考:労働政策研究・研修機構|テレワークの現状:ビジネス・レーバー・トレンド 2024年12月号
参考:鹿島建設|November 2023:特集 柔軟な働き方 | KAJIMAダイジェスト
参考:大林組|福利厚生
参考:清水建設|働き方改革へのチャレンジ
福利厚生制度
- 住宅支援:借上社宅制度、住宅購入支援融資
- 教育支援:資格取得支援金、MBA留学制度
- 健康支援:人間ドック全額補助、メンタルヘルスケア
- 家族支援:託児所完備、介護支援制度

各社とも従業員満足度向上に向けた制度拡充を継続しており、働きやすい職場環境の整備が進んでいます。
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施工管理職の年収について地域別の詳細データと年収1,000万円を実現する具体的な方法を解説。ゼネコン以外の選択肢も含めて比較検討できます。
4.ランキングから研究!転職成功のためのゼネコン選び方
数多くのゼネコンの中から最適な転職先を選ぶための具体的な判断基準と選択方法をお伝えします。将来性の見極め方から職種別のおすすめ企業まで、転職成功に直結する実践的な情報を提供します。
将来性で選ぶべき成長企業の見極め方
将来性の高いゼネコンを見極めるには、DX(デジタルトランスフォーメーション)、海外事業、新規事業、そしてESG/SDGsへの取り組みという4つの視点が重要です。
1. DX投資と取り組み:未来の現場の競争力
建設業界の将来を左右するのがDX投資額と取り組み度合いです。人手不足が深刻化する中で、自動化・効率化は企業の生命線となります。
- DX投資額の目安:
- 鹿島建設: 年間100億円超
- 大林組: 年間80億円超
- チェックすべき具体例:
- ドローン: 測量や進捗管理の自動化
- AI: 品質の検査や危険予知への活用
- IoT: 現場の重機や作業員の状況をリアルタイムで監視・管理
これらの技術導入に積極的な企業は、生産性が高く、将来の競争で優位に立つ可能性が高いです。
海外事業展開:グローバルな視点と成長市場
国内市場が縮小傾向にある中、海外事業展開の積極度も重要な判断材料です。
- 海外売上比率20%超の企業:
- 鹿島建設
- 大林組
- これらの企業は特にアジアや北米市場で高い競争力を持ち、グローバルなキャリアを積みたい人に適しています。
- 国内市場重視の企業:
- 清水建設
- 竹中工務店
- 国内の安定した基盤で専門性を深めたいキャリア志向に合致します。
3. 新規事業開発:未来への投資と新たな可能性
建設技術を応用した先進的な新規事業は、企業の未来の成長ポテンシャルを示します。これらの事業は、全く新しいキャリアの機会を生み出す可能性も秘めています。
- 注目の新規事業:
- 清水建設: 宇宙開発事業(月面基地建設など)
- 大成建設: 地下空間の利用技術(リニア新幹線の駅建設など)
- 大林組: 環境・エネルギー事業(再生可能エネルギーなど)
4. ESG・SDGsへの対応:持続可能な社会への貢献
ESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))やSDGsへの取り組みは、企業の社会的責任と持続可能性を示す指標です。
特に脱炭素社会の実現に向けた技術開発が重要視されています。
- 先進的な取り組み:
大林組、清水建設: 環境配慮型建築の分野で業界をリードする技術を保有しており、カーボンニュートラル実現に向けた動きを加速させています。
職種別おすすめゼネコンランキング
施工管理職志望者におすすめTOP5
会社名 | 主な特徴・魅力 |
---|---|
鹿島建設 | 大型プロジェクト豊富、海外展開機会あり |
大成建設 | インフラ工事の豊富な経験を積める |
大林組 | 都市開発プロジェクトで最新技術を習得可能 |
長谷工コーポレーション | マンション建設のプロフェッショナルになれる |
戸田建設 | 医療・教育施設の専門性を身につけられる |
設計・技術開発職向けの最適企業
会社名 | 主な特徴・魅力 |
---|---|
竹中工務店 | 木造建築・伝統技術の最高峰 |
清水建設 | 宇宙開発・先端技術開発への参画機会 |
大林組 | 環境技術・都市開発の最新設計手法 |
鹿島建設 | 超高層建築・免震技術の開発 |
営業職でキャリアを積みたい場合
会社名 | 主な特徴・魅力 |
---|---|
大成建設 | 公共工事営業での豊富な実績 |
鹿島建設 | 海外営業でグローバルな経験 |
長谷工コーポレーション | デベロッパー営業の専門性 |
本社管理部門の狙い目企業
会社名 | 主な特徴・魅力 |
---|---|
大林組 | 戦略企画・新事業開発の機会豊富 |
清水建設 | 働き方改革先進企業でワークライフバランス良好 |
竹中工務店 | 安定した非上場企業での長期キャリア形成 |

各社とも異なる強みと専門分野を持っているので、ご自身のキャリア目標に合わせて選択されると良いでしょう。
転職活動で重視すべき3つのポイント
1. 企業文化と働き方の適合性確認
面接では必ず現場見学や先輩社員との面談機会を設定してもらい、実際の働き方を確認しましょう。特に残業時間、有給取得率、転勤頻度などは企業発表データと現実に乖離がある場合があります。清水建設のように働き方改革に積極的な企業と、従来型の企業では大きく環境が異なります。
2. 将来の成長性とキャリア展望
自身が希望するキャリアパスと企業の事業展開方向性の整合性を確認します。
海外で活躍したいなら鹿島建設や大林組、最先端技術に関わりたいなら清水建設、伝統技術を極めたいなら竹中工務店というように、明確な方向性を持って企業を選択することが重要です。
3. 給与・待遇条件の比較検討方法
基本給だけでなく、諸手当(現場手当、資格手当、住宅手当)、賞与係数、昇給率、退職金制度まで総合的に比較しましょう。
スーパーゼネコンでは年収1,000万円超が期待できますが、準大手でも専門性次第で同等の待遇を得られる場合があります。
5.ゼネコンへの転職を成功させる戦略
ゼネコンへの転職を成功させるための具体的な戦略を、求められるスキルから面接対策まで実践的に解説します。建設業界特有の選考プロセスと評価基準を理解し、効果的な転職活動を展開しましょう。
求められるスキルと有利になる資格
転職で必須級となる有利な資格
施工管理技士(1級・2級)
建設業界、特に施工管理職への転職において最も重要視される資格です。
有資格者は専門性と信頼性の証明となり、企業によっては月額5万円〜10万円の資格手当が支給されるなど、年収面でも大きく優遇されます。
1級が望ましいですが、2級保有者や取得予定者も、その意欲をアピールすることが重要です。
一級建築士
設計職はもちろん、施工管理や営業職においても高く評価される最高峰の資格の一つです。
管理職への昇進要件としている企業も多く、長期的なキャリア形成を見据える上でとても強力な武器となります。
不可欠な技術スキル
BIM・CADスキル
建設業界のDX化が急速に進む現在、AutoCAD、Revit、ArchiCADといったツールの操作スキルは必須です。
特に、従来の2次元図面だけでなく、BIMを用いた3次元での設計や施工管理の経験は、他の候補者との大きな差別化要因となります。
資格以上に重視される実践能力
現場での調整・コミュニケーション能力
建設プロジェクトは、発注者、設計者、多数の専門工事業者(サブコン)、職人など、さまざまな関係者との連携で成り立っています。
複雑な利害関係を調整し、プロジェクトを円滑に推進する能力は、技術スキル以上に重視される最重要スキルです。
安全・品質管理への意識と経験
建設現場では、一つのミスが大きな事故や品質問題につながります。
安全管理や品質管理に対する高い意識と、それを徹底してきた具体的な経験は、面接で必ず問われるポイントです。
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未経験からでもゼネコンの施工管理職への転職は可能です。資格なしでもスタートできる転職の7ステップと志望動機の書き方を詳しく解説しています。
採用担当者に響く職務経歴書の書き方
責任範囲を具体的に
成果で示す
詳細に
伝える
① プロジェクト規模と責任範囲を具体的に数値と役割を明確に記載
単に「施工管理を担当」と書くのではなく、「誰が読んでも規模感がわかる」ように数値で示します。
例
「総工費150億円、地上35階建て、延床面積8万㎡のオフィスビル新築工事において、建築施工管理の担当責任者として品質・工程・安全・原価管理の全てを統括」
② 技術力やマネジメント力を「成果」で証明する
どのような工夫をし、その結果どうなったのかを具体的に記述します。
例
30社以上の協力業者との密な工程調整とBIM活用による手戻り削減を徹底し、プロジェクト全体の工期を2週間短縮することに成功。
③業界特有の経験(工法・建物用途など)を詳細に記述する
あなたの専門性が伝わるように、担当した建物の種類や用いた特殊な工法などを具体的に記載します。
PC(プレストレスト・コンクリート)工法を用いた大規模物流倉庫や、免震構造を採用したデータセンターなど、特殊な技術要件が求められるプロジェクトの経験が豊富です。
④ 前向きな転職理由でキャリアアップへの意欲を伝える
現職への不満ではなく、将来への成長意欲をアピールします。
例
貴社が強みを持つ海外での大規模インフラプロジェクトに参画し、自身の施工管理技術をさらに高めたいと考えております。
内定を勝ち取るための面接対策
理解を深める
徹底的に研究する
貢献イメージを提示する
キャリアビジョンを示す
企業文化と働き方のミスマッチを防ぐには
入社後の後悔を避けるため、企業の「リアル」を掴むことが重要です。
面接の場では、「現場見学」や「若手・中堅の社員との面談」を依頼できないか打診してみましょう。
企業の公表データだけでなく、現場の雰囲気や社員の働き方を肌で感じることで、本当に自分に合った環境かを見極めることができます。
自身のキャリアと企業の将来性を結びつける
「なぜこの会社でなければならないのか」を論理的に説明することが重要です。
そのためには、自身の経験・スキルと、応募先企業が今後注力していく事業(DX、海外展開、脱炭素、新規事業など)を結びつけ、「自分が入社したら、このように貢献できる」という具体的なイメージを提示します。
例
私が前職で培ったBIMマネジメントの経験は、現在貴社が全社的に推進されている建設DXの取り組みにおいて、特に現場レベルでの生産性向上に直接貢献できると考えております。
給与・待遇の交渉で失敗しないために
年収は、基本給だけで判断してはいけません。
現場手当、資格手当、住宅手当といった各種手当、賞与の算定基準(昨年度実績は何ヶ月分か)、昇給率、そして退職金制度まで含めた「生涯年収」の視点で比較検討しましょう。
希望年収を伝える際は、自身の経験・スキル市場価値と、企業の給与水準をリサーチした上で、具体的な根拠と共に提示することが交渉成功の鍵です。
長期的なキャリアビジョンを示す
長期的なキャリアビジョンの明確化も重要で、入社後の具体的な目標と、そのための行動計画を伝えます。
例: 「5年後には現場所長として大型プロジェクトを統括し、10年後には海外事業部で国際プロジェクトをリードしたい」
志望動機で差をつける企業研究のポイント
どの候補者も企業ウェブサイトは見ています。差がつくのは、IR情報(決算説明資料、中期経営計画など)まで読み込んでいるかです。
そこから企業の経営課題や将来の方向性を読み解き、「その課題解決のために、自分のスキルが活かせる」という視点で志望動機を語ることで、熱意と分析力の高さをアピールできます。

企業の「ファン」ではなく、事業に貢献できる「パートナー」としての視点を示しましょう。
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6.ゼネコン転職で理想のキャリアを実現するために
建設業界は2025年に大きな転換期を迎える中、ゼネコン各社は技術革新と働き方改革を通じて新たな成長段階に入っています。
本記事で紹介したランキング情報と転職戦略を活用し、自身のキャリア目標に最適な企業選択を行うことで、建設業界での成功と充実したキャリア形成が実現できるでしょう。今後も業界動向を注視しながら、戦略的な転職活動を進めていくことが重要です。
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