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コンクリート温度の完全ガイド!35℃・38℃・4℃の基準解説

コンクリート工事において、外気温の影響を受ける「温度管理」は、ひび割れや強度不足を防ぐための最重要課題です。

特に暑中コンクリートにおける「35℃」の壁や、JASS 5改定で注目される「38℃」の許容条件、寒中コンクリートの「4℃」基準は、現場監督が必ず押さえるべきポイントです。

本記事では、季節ごとの明確な管理基準と、製造から養生に至るまでの具体的な温度対策について、最新の規定に基づき解説します。

この記事を読んでわかること
  • 暑中・寒中コンクリートの明確な温度管理基準と38℃許容条件
  • 温度ひび割れや初期凍害を防ぐための具体的な現場対策
  • 製造・運搬・打設・養生の各工程における温度管理のポイント

1.なぜコンクリートの「温度管理」が重要なのか?

なぜコンクリートの「温度管理」が重要なのか?

コンクリート構造物の品質、特に強度と耐久性を確保する上で、温度管理は避けて通れない課題です。

コンクリートはセメントと水が反応する「水和反応」によって硬化しますが、この化学反応は温度に強く依存します。

温度が品質(強度・耐久性)に与えるメカニズム

コンクリート温度が高すぎる場合

水和反応が急激に進行することにより、長期的には強度が伸び悩む可能性があるほか、水分の急激な蒸発や内部温度の上昇によって「温度ひび割れ」や「プラスチック収縮ひび割れ」のリスクが増大する

コンクリート温度が低すぎる場合

硬化反応が遅延し、所定の強度が出るまでに時間がかかるだけでなく、初期段階で水分が凍結すると組織が破壊される「初期凍害」を引き起こす

管理すべきは「打込み時の温度」と「養生温度」

現場管理において特に注視すべきは、アジテータ車から荷卸しされる際の「荷卸し時の温度」と、打設後の硬化期間中における「養生温度」の2点です。

これらを季節(外気温)に応じて適切にコントロールすることが、施工管理者の責務となります。

2.【夏】暑中コンクリートの温度基準と対策(35℃・38℃の壁)

暑中コンクリートの温度基準と対策

35℃の原則と、38℃の壁

暑中コンクリートとは? 日平均気温が25℃を超えると予想される期間に施工されるコンクリートのこと。
温度基準の比較
定義ライン (25℃)
25℃超
基本原則 (35℃)
35℃以下
条件付き許容 (38℃)
上限38℃
原則 35℃以下
基本ルール

品質保持の基本ライン。
土木工事(土木学会基準)では原則としてこの基準が厳格に維持されます。

特例 38℃以下
JASS 5 改定

近年の猛暑を考慮し、日本建築学会(JASS 5)にて規定。
一定の厳しい条件を満たす場合のみ許容されます。

日平均気温が25℃を超えると予想される期間に施工されるコンクリートは「暑中コンクリート」として扱われます。

基本原則は「35℃以下」。しかし「38℃」まで許容される条件とは?

日本建築学会の「JASS 5(鉄筋コンクリート工事標準仕様書)」では、近年の猛暑による外気温の上昇を受け、改定により一定の条件を満たす場合に限り、上限を「38℃」とする規定が設けられました。

※土木工事(土木学会基準)では原則35℃以下が維持されているため、適用される基準書(特記仕様書)の確認が必要です。

38℃が許容されるためには、以下の条件を検討し、品質に支障がないことを確認する必要があります。

  • コンクリートの計画供用期間の級に応じた耐久性が確保されること
  • 事前の検討により、所定の強度や流動性が確保できると確認されること
  • ひび割れ発生のリスクに対する適切な対策が講じられていること

単に気温が高いから緩和されるわけではなく、事前の試験練り配合計画による裏付けが必須となる点に留意が必要です。

現場でできる暑中温度対策

温度上昇を抑制するためには、製造から施工までの各段階での対策が求められます。

材料・製造時の対策

  • 使用する水や骨材(砂利・砂)をあらかじめ冷却する(チラー水の使用など)
  • 高炉スラグ微粉末など、水和熱の低い結合材を使用する

運搬時の対策

  • アジテータ車のドラムに遮熱塗料を塗布する
  • ドラムカバー(遮熱カバー)を装着し、直射日光による温度上昇を防ぐ
  • 待機時間を極力短縮し、速やかに荷卸しを行う

打設・養生時の対策

  • 打ち込み前の型枠や鉄筋に散水し、温度を下げておく
  • 直射日光を避けるため、日除けを設置する
  • 打設後は直ちに散水養生を行い、湿潤状態を保つと共に気化熱による冷却を図る

3.【冬】寒中コンクリートの温度基準と対策(4℃の境界線)

寒中コンクリートの温度基準と対策

4℃の境界線と初期凍害リスク

寒中コンクリートとは? 日平均気温が4℃以下になると予想される期間に適用される施工管理区分。
気温低下による強度の遅れや、水分の凍結を防ぐ必要があります。
温度とリスクの境界線
凍結リスク (0℃以下) 危険ゾーン
氷点下
寒中適用ライン (4℃) 管理開始
4℃以下
目標温度 (5℃以上) 対策目標
5℃以上を維持
❄️
初期凍害のリスク

コンクリートが十分な強度(約5N/mm²)を持つ前に凍結することで発生する損傷。

一度凍結すると強度は回復せず、耐久性が著しく低下します。これを防ぐことが最大の目的です。

🛡️
具体的な対策

初期凍害を防ぐため、以下の温度管理が必須となります。

打込み温度:5℃以上
(薄い部材などは10℃以上)

養生期間中:5℃以上
凍結しない温度を維持します。

日平均気温が4℃以下になると予想される期間は「寒中コンクリート」としての施工管理が求められます。

寒中コンクリートとは(日平均気温4℃以下)

気温が4℃を下回るとコンクリートの強度発現が著しく遅くなり、特に氷点下になると中の水分が凍結し始めます。

一度凍結したコンクリートは、融解しても強度が回復せず、耐久性が著しく低下するため、これを防ぐことが最大の目的となります。

なぜ「4℃」なのか?初期凍害のリスク

初期凍害」とは、コンクリートが十分な強度(一般に5N/mm²程度)を持つ前に凍結することで発生する損傷です。

これを防ぐため、寒中コンクリートでは、打込み時の温度を「5℃以上薄い部材などは10℃以上)」に保ち、養生期間中も凍結しない温度(5℃以上)を維持することが求められます。

参考:日本コンクリート工学会|コンクリートの基礎知識 凍害

現場でできる寒中温度対策

製造・運搬時の対策

  • プラントで練り混ぜ水や骨材を加熱し、打込み時の温度を確保する
  • 運搬中の温度低下を防ぐため、保温性の高いアジテータ車を使用するか、保温カバーを使用する

給熱養生と断熱養生

養生方法には、熱を加える「給熱養生」と、熱を逃がさない「断熱養生」があります。

  • 給熱養生:ジェットヒーターや練炭などを用いて、養生空間内の温度を強制的に上げる方法です。乾燥を防ぐため、加湿や散水を併用する必要があります。また、一酸化炭素中毒への十分な換気対策が不可欠です。
  • 断熱養生:コンクリート表面をブルーシートや断熱マットで覆い、セメントの水和熱を利用して保温する方法です。

積算温度による型枠脱型時期の判断

寒中コンクリートでは、外気温だけで判断せず、コンクリートの「積算温度」を用いて強度を推定し、型枠の取り外し時期(脱型時期)を決定することが推奨されます。

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4.コンクリート温度の正しい測定方法と管理記録

コンクリート温度の正しい測定方法と管理記録

適切な温度管理が行われているかを証明するためには、正確な測定と記録が欠かせません。

測定のタイミングと使用する温度計

コンクリートの温度測定は、主に以下のタイミングで行います。

  • 荷卸し時
    アジテータ車から排出された直後のコンクリートに「棒状温度計」を直接挿入して測定します。放射温度計は表面温度しか測定できない場合があるため、内部温度の管理には注意が必要です。
  • 養生中
    養生期間中は、最高温度と最低温度を記録できる温度計を使用し、養生囲いの中やコンクリート表面付近の温度を継続的に監視します。
  • 測定器の正当性
    使用する温度計(棒状温度計やデジタル温度計)は、事前に校正されたものを使用し、精度の狂いがないか確認します。

5.季節別のコンクリート温度管理で品質を守る

コンクリートの温度管理は、構造物の強度と耐久性を左右する極めて重要なプロセスです。

暑中の「35℃以下(条件付き38℃)」や寒中の「4℃以下での凍害防止」といった基準を正しく理解し、外気温に応じた適切な対策を講じることが求められます。

製造から養生までの一貫した管理体制と、JASS 5改定への対応が、ひび割れのない高品質なコンクリート施工を実現します。確実な温度管理が、信頼される構造物の構築につながります。

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