「建築業界は体力的にきつい」「長時間労働が当たり前」そんなイメージから、選択肢として除外していないでしょうか。
確かに、過去の建設業界にはそうした側面がありました。
しかし、その常識は今、大きな転換期を迎えています。「2024年問題」と呼ばれる法規制により、業界の働き方は否応なく変わり始めています。
この記事では、客観的なデータを基に建築業界の「今」を解き明かし、本当に働きやすい「ホワイト企業」を見極めるための具体的な方法を解説します。
- 建築業界が「ブラック」と言われてきた客観的な理由
- データで見る「本当の働きやすさ」の変化(週休2日や女性の活躍)
- 優良な「ホワイト企業」を自力で見分ける4つの具体的な指標
1.建築業界が「ブラック」「きつい」と言われる3つの理由
「建設業界」と聞くと、「ブラック」や「きつい」といったイメージを思い浮かべる方も少なくないかもしれません。長時間労働や休日の少なさなど、漠然とした不安があるかと思います。
まず「なぜ」そのように言われてきたのか、その背景にある具体的な理由3つを、客観的なデータや調査結果に基づいて整理していきます。
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理由1:長時間労働のイメージ
建築業界への就職や転職を考えるとき、「長時間労働のイメージが強いから」という点は、大きな不安要素かもしれません。
実際、このイメージは単なる思い込みではなく、過去の厚生労働省の調査においても、建設業の技術者で「月45時間を超える」残業をしている方が一定数存在するなど、データとしても示されていました。
「月45時間」というのは、法律で定められた時間外労働の上限(原則)のラインです。
これまでは、決められた工期(納期)に間に合わせるため、どうしても時間外労働に頼らざるを得ないという、構造的な課題が業界全体に存在していたことは事実です。
参考:
国土交通省|「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和4年度)」の結果
国土交通省| Ⅱ.時間外労働上限規制に向けた取組と残された 課題について
厚生労働省|我が国における時間外労働の現状 ①年間総実労働時間
一般財団法人 建設業技術者センター|地域建設業の時間外労働の現状と削減の取り組み
理由2:体力的な負荷と休日の少なさ
体力的な負荷と休日の少なさも「ブラック」や「きつい」と言われる理由の一つです。
体力的な負荷
「体力的に厳しそうだから」という理由は、特に若い世代が建設業界を避ける非常に大きな要因となっています 。
炎天下や寒さの中での作業、重い資材の運搬などを想像してしまうかもしれません。
休日の少なさ
さらに、この体力的な厳しさに拍車をかけていたのが、「休日が少ない」というイメージです。
建設現場は工期を守るため、土曜日も稼働するのが当たり前という従来の慣習が根強くありました。
実際、他の産業と比べると、完全週休2日制の導入が遅れていたことは事実であり、この点も「きつい」という印象を強める一因となっていました。
参考:
厚生労働省:建設業における時間外労働の上限規制について
一般財団法人 建設業技術者センター:地域建設業の時間外労働の現状と削減の取り組み(概要版)
理由3:高い離職率のデータ
厚生労働省の統計データを見ると、建設業の(特に若年層の)離職率が他産業より高い傾向にあったことも、業界の厳しさを裏付ける一つの要因とされてきました。
早期に離職する人が多いという事実は、「何か働きにくい理由があるのではないか」という印象を与えていたのです。客観的なデータも、業界のイメージに影響を与えていました。
厚生労働省の統計を見ると、過去には建設業、特に若い世代の離職率が他の産業よりも高い傾向が示されていました。
この「入社してもすぐに辞めてしまう人が多い」という事実は、業界の厳しさや働きにくさを裏付ける一つの要因と見なされてきたのです 。
これから働こうと考える人にとって、離職率の高さは「何か働きにくい特別な理由があるのではないか」「自分も続かないかもしれない」という、直接的な不安を感じさせる要因となっていたことは否めません。
参考:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します
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施工管理の離職率が高い背景や若手が辞める理由、2024年問題への対策について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
2.「ブラック」は過去?建設業界を変える”2024年問題”という強制力

これまでお話ししたようなネガティブな状況は、今まさに変わらざるを得ない大きな局面を迎えています。その最大の原動力が、メディアなどでも耳にする「2024年問題」です。
これは、2024年4月から建設業にも適用が開始された、法律に基づく「強制力」を持ったルールであり、業界の体質改善を強力に後押ししています。
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2024年4月施行「時間外労働の上限規制」とは
2024年4月1日、建設業界にとって大きな転換点となるルールが施行されました。それが、働き方改革関連法に基づく「時間外労働の上限規制」です。
もちろん、予期せぬトラブルなどで忙しくなる「特別な事情」がある場合も想定されていますが、その場合でも守らなければならない年間・月間の上限が別に定められています。
最も重要なのは、これが単なる「目標」ではなく、違反した企業には罰則が科されるという「法律」である点です。
参照:厚生労働省:建設業従事者の長時間労働改善に向けたポータルサイト
「変わりたい」ではなく「変わらざるを得ない」構造変化
この法規制が持つ最大のポイントは、その「強制力」にあります。これまでの業界改革が、どちらかといえば各企業の自主的な「努力目標」に頼っていた面がありました。
しかし、今回の規制は「守らなければ罰せられる」という、明確な法的拘束力を持っています。これにより、企業は「変わりたくない」と現状維持を望むことが許されなくなりました。
具体的には、従来の「人々の長時間労働に頼って、厳しい工期を守る」という旧来のビジネスモデルが、根本から成り立たなくなったのです。
企業は生き残るために、業務の効率化や適切な工期設定、休日の確保などを真剣に進めざるを得ません。この「構造的な変化」こそが、建設業界の働き方改革を本質的に進める最大の原動力となっています。
参照:厚生労働省:建設業従事者の長時間労働改善に向けたポータルサイト:建設事業者向け
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建設業界の将来性や2024年問題がキャリアにどう影響するか、より詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてお読みください。
3.データで見る「本当の働きやすさ」の変化

「2024年問題」のような強力な法規制や、国を挙げた後押しを受けて、建設業界全体は、働きやすい環境へと大きく変わりつつあります。
かつてのイメージを覆す変化は、特に「休日の確保」や「女性の活躍の場」といった、働き方の根幹に関わる部分に、注目すべき形で現れ始めています。
国の取り組み:週休2日制の推進状況(国土交通省データ)
「休みが少ない」という建設業界の長年の課題に対し、国土交通省は強力な対策を進めてきました。
国が発注する「公共工事」において、週休2日制の確保を原則とする取り組みを強力に推進。
これは「2024年問題」による時間外労働規制と表裏一体の重要な施策であり、その成果はデータとして明確に表れています。
週休2日制実現の具体例
国が直接管理する「直轄工事」においては、令和4年度の時点で、週休2日(4週8休)を達成した現場の割合が、実に99.6%という極めて高い水準に達しました。
公共工事という業界の「お手本」が示すこの大きな流れは、業界全体のスタンダードを変えつつあり、民間企業が発注する工事現場へも、週休2日制を確保する動きが確実に広がっています。
参照:
国土交通省:Ⅱ.時間外労働上限規制に向けた取組と残された課題について
国土交通省:働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業
現場の実態:「女性の68%が働きやすい」という調査結果
「体力勝負で女性には無理」というイメージも、現場の実態とは異なってきています。
ある調査結果によれば、実際に建設業界で働く女性従事者のうち、68.1%もの人が「現在仕事をしていて働きやすい」と回答しているのです。
例えば、未経験からのキャリアとしても注目される「施工管理(現場監督)」や「設計」といった職種は、現場で重いものを運ぶような体力仕事ではありません。
むしろ、多くの職人さんや関係者と円滑にやり取りするコミュニケーション能力や、工事全体を計画通りに進める管理能力、図面作成などのデスクワークが業務の中心となります。
さらに、ドローンでの測量やタブレットでの図面管理といったIT化の進展も、性別や体力に関わらず、知識やスキルを活かして活躍できる環境づくりを後押ししています。
参照:SpiderClass:2025年4月版 建設業従事者の「働きやすさ」「働きがい」に関する調査レポート
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女性が施工管理職として活躍するためのポイントや、未経験から転職を成功させるコツについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
4.「建築ホワイト企業」を自力で見分ける4つの指標
建設業界全体は、働きやすくなろうと大きく変わっています。とはいえ、その変化のスピードや、どれだけ本気で取り組んでいるかは、会社によって残念ながら差があるのも事実です。
そこで、本当に働きやすい、いわゆる「ホワイト企業」を自分自身で見分けるために役立つ、4つの指標を紹介します。
指標1:残業時間と有給消化率(定量データ)
最も客観的に働きやすさを判断できるのが、企業が公開している「数字」です。
求人票や企業の採用サイト、可能であれば就職四季報などで、「月平均残業時間」や「有給休暇の平均取得日数・取得率」といった定量データを確認しましょう。
特に注目すべきは残業時間です。「2024年問題」で定められた法律上の上限(原則月45時間)に対し、企業の実績値がどれだけ下回っているかは重要です。

例えば「月平均20時間」など、上限より大幅に少ない実績を具体的に公開している企業は、それだけ労働時間の管理が徹底されており、法律遵守への意識が高いと判断できます。
有給休暇の取得率も同様で、高い数値は休みを取りやすい職場環境であることの証拠となります。
指標2:福利厚生と「新3K」への取り組み
かつての「3K」イメージを払拭するため、国や業界は「給料・休暇・希望」を重視する「新3K」の実現を推進しています。この「新3K」への具体的な取り組みが、福利厚生に表れます。
「給料」の安定性に関わる住宅手当や家族手当、現場手当といった諸手当や、「休暇」の充実はもちろんですが、特に注目したいのが「希望(キャリアアップ)」への投資です。
具体的には、「資格取得支援制度」がどれだけ充実しているか(受験料の補助、合格時のお祝い金、毎月の資格手当など)を確認しましょう。
社員のスキルアップに投資する企業は、それだけ人材を大切にし、長期的な成長を考えている優良企業である可能性が高いです。
参照:国土交通省:新3Kを実現するための直轄工事における取組
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施工管理のホワイト企業を具体的に見極める方法や、転職時のチェックポイントについてはこちらの記事も参考にしてください。
指標3:勤務時間の柔軟性(フレックス制度など)
建設業は、現場の作業時間が決まっているため、柔軟な働き方は難しいと思われがちです。しかし、優良企業ほど「できるところから効率化しよう」という工夫を始めています。
もちろん現場での作業は時間を合わせる必要がありますが、例えば「施工管理」の仕事は、現場の巡回だけでなく、事務所に戻ってからの書類作成や計画業務なども多く含まれます。
こうしたデスクワーク業務に対して、フレックスタイム制度(コアタイム以外は出退勤時間を調整できる制度)や、一部テレワーク(在宅勤務)を導入している企業も増えています。
旧来の「全員が同じ時間に出社する」という慣習にとらわれず、柔軟な働き方を模索している姿勢は、社員の働きやすさを真剣に考えている証拠と言えます。
指標4:IT化・デジタル化への投資姿勢
建設業界の長時間労働の背景には、アナログな情報共有や手作業による「非効率」が根本的な原因として存在していました。この課題を解消しようとする本気度は、IT・デジタル化への投資姿勢に明確に表れます。
国土交通省が推進する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」と呼ばれる取り組みがその代表です。
具体的には、ドローンを使った測量、BIM/CIMと呼ばれる3Dモデルでの設計、タブレットや専用アプリを使った現場管理などが挙げられます。
これらのデジタル技術に積極的に投資している企業は、単に「流行りを追っている」のではなく、生産性を向上させ、現場の手戻りや無駄を減らし、結果として社員の労働負担を軽減しようとする、優良企業である可能性が高いです。
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5.ホワイト企業(スーパーゼネコン・設計事務所等)の具体的な探し方
労働環境比較
「隠れ優良企業」
転職エージェントの活用
業界全体が変わりつつある中で、具体的に「働き方改革」に本気で取り組んでいる優良企業は、どのように見つければよいのでしょうか。
スーパーゼネコンや大手設計事務所といった有名企業から、高い技術力を持つ優良な中小企業まで、選択肢は幅広いです。
やみくもに探すのではなく、効率的に「自分に合った」職場を見つけるための、具体的な探し方を3つのステップで紹介します。
ステップ1:スーパーゼネコン各社の労働環境比較
企業研究の第一歩は、業界をリードするスーパーゼネコンの比較です。これらの大手企業は、社会的な注目度も高く、働き方改革や法令遵守(コンプライアンス)の取り組みを積極的に進めています。
スーパーゼネコン
まずは各社の採用サイトやIR情報(投資家向け情報)を確認し、公開されている平均年収、月平均残業時間、有給休暇の取得率といった客観的なデータを比較検討してみましょう。
参照:
大林組:人材マネジメントの取り組み
鹿島建設:人事データ
清水建設:有価証券報告書・四半期報告書(2024年)、データブック
大成建設:目標と推進状況
竹中工務店:有価証券報告書、数字でみる働く環境
ステップ2:設計事務所やサブコンの「隠れ優良企業」
建設業界のキャリアは、ゼネコン(総合工事業者)だけが選択肢ではありません。
例えば、電気や空調、内装といった特定の分野で高い技術力を持つ専門工事会社(サブコン)、優れたデザイン性で知られる設計事務所(アトリエ系や組織系)など、これらも重要な選択肢です。

大手でなくても、特定の分野で圧倒的な強みを持ち、安定した経営と働きやすい環境を両立させている「隠れ優良企業」は多数存在します。視野を広く持って探すことが重要です。
ステップ3:建築業界に特化した転職エージェントの活用
自力での情報収集と並行し、建築業界に特化した転職エージェントを活用するのも有効な手段です。専門エージェントは、業界動向や「2024年問題」への各社のリアルな対応状況を把握しています。
そのため、求人票の数字だけでは分からない「本当の働きやすさ」に関する情報を提供してくれる可能性があります。
一般には公開されていない「非公開求人」を紹介してもらえるケースもメリットです。
▼あわせて読みたい
建設業界に特化した転職エージェントの選び方や活用術について、おすすめの10社を比較しながら詳しく解説しています。
6.法改正の今こそ、データで建築業界のホワイト企業を見極める時
「建築業界=ブラック」というイメージは、「2024年問題」という法規制によって、確実に過去のものとなりつつあります。
業界全体が、長時間労働に依存しない持続可能な働き方へと、大きな構造変化を迫られているのです。
この変革期において大切なのは、古いイメージに捉われることなく、公開されている客観的なデータや法改正の事実に基づき、自らの目で「ホワイト企業」を見極めることです。
この記事で紹介した4つの指標や3つのステップを参考に、ご自身のキャリアにとって最適な一社を見つける一助となりますように。
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