ゼネコンへの就職・転職を考えた際、まず関心事となるのが年収ではないでしょうか。
建設業界、特にゼネコンは高年収のイメージがありますが、企業規模や職種、年代によってその実態は異なります。
この記事では、企業別年収ランキングだけでなく、業界の将来性、施工管理など職種別のリアルな給与体系、そして年収1,000万円を目指すためのキャリア戦略を解説します。
- スーパーゼネコン・準大手・中堅別の最新平均年収ランキングについて
- 「施工管理」をはじめとする職種別・年代別のリアルな年収実態について
- 年収を上げるために必要な資格や、年収1,000万円を目指すための具体的なキャリア戦略について
1.ゼネコンの年収は高い?建設業界全体の平均年収と将来性

建設業は全産業平均を超える給与水準にあり、特にゼネコンはその中核を担います。最新データから見える年収の実態と、働き方改革による将来性の変化を詳しく解説します。
建設業全体の平均年収は?(国税庁データ)
業種別の年間平均給与
令和5年分 民間給与実態統計調査結果
建設業
製造業
卸売業・小売業
宿泊・飲食サービス
金融業、保険業
電気・ガス・水道業
情報通信業
運輸業、郵便業
不動産・物品賃貸
学術・専門サービス
医療、福祉
複合サービス事業
農林水産・鉱業
全体平均
国税庁の調査によれば、賞与等を含めた建設業の平均年収は約548万円であり、これは全産業の平均年収約480万円を上回っています。
特にゼネコン(総合建設業)は、プロジェクトの規模が大きく、求められる技術水準も高いため、業界内でも給与水準は高い傾向にあります。
業界の将来性:「新3K(給料・休暇・希望)」と2024年問題の影響
かつて建設業界は「3K(きつい、汚い、危険)」と評されることもありました。しかし、現在は業界全体で働き方改革が急速に進んでいます。
2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(通称「2024年問題」)が適用され、長時間労働の是正が法的に義務化されました。
これに伴い、業界は従来の3Kから「新3K(給料・休暇・希望)」へと変化してきています。
週休2日制の導入やICT技術(i-Construction)の活用による生産性向上も進んでおり、給与水準の向上と働きやすさの両立が図られています。
参考|厚生労働省:建設業 時間外労働の上限規制わかりやすい解説
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2.【最新版】ゼネコン平均年収ランキング(有価証券報告書ベース)

ゼネコンの年収は、その企業規模によって大きく3つのグループに分類されます。ここでは、各社の有価証券報告書に基づいた最新の平均年収ランキングを見ていきましょう。
スーパーゼネコン5社の年収ランキングと特徴
| 順位 | 企業名 | 平均年収 | 各社の特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 鹿島建設 | 1,184万円 | 業界トップクラスの年収水準。土木・建築ともに国内最高峰の技術力を誇る。 |
| 2位 | 大林組 | 1,140万円 | 関西発祥で万博案件にも強い。歴史的な大規模プロジェクトの実績が豊富。 |
| 3位 | 大成建設 | 1,058万円 | 「地図に残る仕事。」を掲げ、超高層ビルやダムなど大型案件に強み。 |
| 4位 | 竹中工務店 | 1,032万円 | 非上場ながら建築の名門。意匠・設計へのこだわりが極めて強く、独自色が濃い。 |
| 5位 | 清水建設 | 1,011万円 | 神社仏閣の修復から最先端建築まで幅広く対応。建築部門の売上比率が高い。 |
スーパーゼネコンとは、一般的に売上高(単体)が1兆円を超える上位5社(鹿島建設、大林組、大成建設、竹中工務店、清水建設)を指します。
これらの企業は、国内外の大規模プロジェクトを手掛けており、平均年収も1,000万円を超える、あるいはそれに準ずる高い水準にあるのが特徴です。技術力、安定性ともに業界トップクラスと言えます。
参考|鹿島建設:第128期 有価証券報告書、大林組:第121期 有価証券報告書、大成建設:第165期 有価証券報告書、竹中工務店:第87期 有価証券報告書、清水建設:第123期 有価証券報告書
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スーパーゼネコン5社の平均年収や給与が高い理由をさらに深掘りしたい方は、各社の待遇比較や高年収の背景を詳しく解説したこちらの記事もご覧ください。
準大手ゼネコンの年収ランキング
| 順位 | 企業名 | 平均年収 | 各社の特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長谷工コーポレーション | 1,057万円 | マンション建設の国内トップランナー。企画・施工・管理の一貫体制による圧倒的シェアが強み。 |
| 2位 | 前田建設工業 | 1,023万円 | 「脱請負」を掲げ、有料道路の運営(コンセッション事業)や再エネなど、高収益な事業多角化に成功。 |
| 3位 | 安藤・間 | 1,005万円 | ダムやトンネルなど大型土木に強み。旧安藤建設と旧ハザマの融合により、建築・土木の両輪で安定。 |
| 4位 | 西松建設 | 975万円 | トンネル技術において業界屈指。近年は不動産開発や環境ビジネスにも注力し、収益基盤を強化中。 |
| 5位 | 戸田建設 | 941万円 | 医療・教育施設に強い「建築の戸田」。浮体式洋上風力発電など、環境・エネルギー分野の先駆者的存在。 |
準大手ゼネコンは、スーパーゼネコンに次ぐ規模を持ち、特定の分野(例:マンション建設、海洋土木など)に強みを持つ企業群です。
平均年収も900万円台から1,000万円を超える企業もあり、引き続き高い水準を維持しています。
参考|長谷工コーポレーション:第108期 有価証券報告書、前田建設工業:第4期 有価証券報告書、安藤・間:第12期 有価証券報告書、西松建設:第88期 有価証券報告書、戸田建設|有価証券報告書
中堅ゼネコンの年収ランキング
| 順位 | 企業名 | 平均年収 | 各社の特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 東亜建設工業 | 974万円 | 海洋土木のパイオニア。港湾・空港建設のほか、防災・減災対策にも強みを持つ。 |
| 2位 | 奥村組 | 973万円 | シールド工法の先駆者。「誠実な施工」を社是とし、免震技術など建築分野でも高い評価。 |
| 3位 | 鉄建建設 | 916万円 | 鉄道工事において業界トップクラスの実績。JR各社との協力関係が非常に強固。 |
| 4位 | 淺沼組 | 896万円 | 130年以上の歴史を誇る老舗。官公庁庁舎や教育施設など、高品質な公共建築に定評。 |
| 5位 | 熊谷組 | 849万円 | 「トンネルの熊谷」の異名を持つ土木の名門。超高層ビルや大規模な都市再開発にも実績。 |
中堅ゼネコンは、特定の地域や分野に密着し、安定した経営基盤を持つ企業が多いのが特徴です。
平均年収は800万円~900万円台が中心となりますが、中には準大手に匹敵する給与水準の優良企業も存在します。
参考|東亜建設工業:第135期 有価証券報告書、奥村組:第88期 有価証券報告書、鉄建建設:第81期 有価証券報告書、淺沼組:第90期 有価証券報告書、熊谷組|有価証券報告書
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中堅ゼネコン各社の売上や年収をより詳しく比較し、転職成功のポイントまで網羅した記事はこちら。企業選びの判断材料としてぜひ活用してください。
3.年収だけじゃない?「平均勤続年数」から見る安定性
転職や就職を考える際、年収と並んで重要な指標が「平均勤続年数」になります。
勤続年数が長い企業は、それだけ社員が定着しやすい環境(福利厚生、人事評価、職場の人間関係など)が整っている可能性が高いです。
上位のゼネコンの中には平均勤続年数が20年を超える企業も存在します。目先の年収だけでなく、長期的なキャリアを築ける「安定性」という軸でも企業を比較することが重要です。
参考|淺沼組:第90期 有価証券報告書、三井住友建設:第81期 有価証券報告書、大豊建設:第81期 有価証券報告書、竹中工務店:第87期 有価証券報告書、飛島建設:第81期 有価証券報告書
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4.【キャリアのリアル】ゼネコンの年収は何で決まる?職種別・年代別の実態

ゼネコンの年収は、企業規模だけでなく、「職種」と「年代」によっても大きく変動します。
最も重要:「施工管理」の平均年収と年代別モデル
ゼネコンのキャリアにおいて中核を担うのが「施工管理(現場監督)」です。
工事の4大管理(工程、品質、原価、安全)を担う現場の司令塔であり、その専門性と責任の重さから、全産業平均と比較しても年収は高い水準にあります。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の最新データによれば、建築施工管理技術者の平均年収は641.6万円です。
年代別では、経験と資格を積み重ねることで着実に上昇し、50代後半(55〜59歳)でピーク(約795万円)を迎えるという、安定した賃金カーブを描いています。

同データでは有効求人倍率が8.56倍(全国平均)と極めて高く、圧倒的な「売り手市場」であることも、高年収を維持している大きな要因です。
参考|厚生労働省:職業情報提供サイト(job tag)建築施工管理技術者
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施工管理の年収を地域別・年代別にさらに詳しく知りたい方はこちら。給与相場の全体像と具体的な年収アップの方法をデータとともに解説しています。
「職種別」の平均年収(営業・設計・管理職など)
施工管理以外にも、プロジェクトを受注するための「営業」、建物をデザインする「設計」、コストを管理する「積算」、そして本社機能(人事、経理など)の「管理部門」といった職種があります。
一般的に、プロジェクトの根幹に関わる技術職(施工管理、設計)の年収が高くなる傾向です。
「年代別」の平均年収(20代・30代・40代)
ゼネコンは年功序列の色合いが残る企業も多いですが、実力主義も浸透しつつあります。
- 20代
スタート時の年収は400万円~500万円台が多いですが、残業代や現場手当を含めると、同世代の平均より高くなることが一般的です。
まずは実務経験を積み、資格取得を目指す時期になります。
- 30代
現場の主担当者(主任クラス)となり、年収は600万円~800万円台に上昇することが多いです。
1級施工管理技士などの上位資格を取得すると、さらに評価が高まります。
- 40代
管理職(所長クラス)へと昇進すると、年収1,000万円を超えるケースが多くなります。
5.ゼネコンで年収1,000万円を達成するためのキャリア戦略
年収アップのための3つの戦略
戦略1 国家資格の取得
戦略2
実績を積んで
上位企業へ転職する
戦略3
キャリアパスの選択
(管理職ルート)
ゼネコンで年収1,000万円というラインを達成するためには、戦略的なキャリア構築が不可欠です。
戦略1:国家資格の取得(1級施工管理技士、一級建築士)
最も重要かつ明確な戦略が、上位の国家資格を取得することです。
特に「1級施工管理技士」(土木、建築、管工事など)は、公共工事の入札審査(経営事項審査)において企業の評価点を直接押し上げるため、企業にとって価値の高い資格になります。

資格手当だけで月数万円の収入アップが見込めるほか、昇進・昇格の必須条件となっている場合がほとんどです。
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施工管理の転職で有利になる資格を網羅的に知りたい方はこちら。人手不足の今だからこそ取得すべき7つの資格と、制度改正の最新情報を解説しています。
戦略2:実績を積んで上位企業へ転職する
現在の企業で年収アップが見込めない場合、実績を武器に、より給与水準の高い上位企業(中堅→準大手、準大手→スーパーゼネコン)へ転職するのも有効な戦略です。
その際、特定の分野での豊富な実務経験や、大規模プロジェクトを完遂させた実績が強力なアピール材料となります。
戦略3:キャリアパスの選択(管理職ルート)
現場のスペシャリストとして技術を極める道(専門職ルート)と、複数の現場を統括する管理職(マネジメントルート)に進む道があります。
一般的に、年収1,000万円以上を目指す場合は、現場の所長や、さらに上位のプロジェクトマネージャー、本社の管理職といったマネジメントルートに進むことが近道です。
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6.高年収ゼネコンへの転職を成功させるためのポイント
転職を成功させる3つのポイント
ポイント1
企業が求める
「ポータブルスキル」
ポイント2 優良企業の見極め方
ポイント3 転職エージェントの活用
企業が求める「ポータブルスキル」とは?
中途採用、特にキャリアアップ転職においては、専門技術(テクニカルスキル)だけでなく、「ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)」が重要です。
これは、業種や職種が変わっても通用する能力のことで、具体的には「課題設定力」「計画実行力」「コミュニケーション能力」などを指します。

前職での経験を、ゼネコンの業務(例:多くの関係者をまとめ、計画通りに現場を進める力)にどう活かせるかを整理することが重要です。
優良企業の見極め方(資格取得支援制度など)
年収だけでなく、その会社が社員の成長に投資しているかどうかも見極めたいポイントです。特に「資格取得支援制度」の充実度は、人材育成への姿勢を測るバロメーターとなります。
研修制度や受験費用の補助、合格祝い金などが手厚い企業は、入社後のキャリアアップも期待できるでしょう。
転職エージェントの活用
建設業界に特化した転職エージェントを活用することも有効です。
業界の動向や、求人票だけでは分からない各社の社風、具体的な年収交渉のノウハウなど、専門的な知見に基づいたサポートを受けることができます。
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施工管理に特化した転職エージェントの選び方を詳しく知りたい方はこちら。特化型と総合型の使い分けから年収交渉のポイントまで、12社を比較解説しています。
7.ゼネコンの年収は「キャリア戦略」次第で大きく変わる
ゼネコンの年収は、スーパーゼネコンを筆頭に高い水準にありますが、その内実は企業規模、職種、年代、そして保有資格によって大きく異なります。
単なる「年収ランキング」という点だけで企業を見るのではなく、業界の「新3K」への変化、施工管理という中核的な職務、そして資格取得という明確なキャリアパスを理解し、「立体的なマップ」として捉えることが重要です。
ぜひ、自身のキャリア戦略を描き、高年収の実現に向けた具体的な検討を進めることが重要になります。
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