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電気・空調・管工事の設備工事会社ランキングとキャリア戦略

ビルや施設のインフラを担う設備工事会社。そのランキングは、単なる企業の規模を示すデータではなく、キャリア形成やビジネス判断を左右する客観的な指標です。

労働法務の知見に基づき、電気、空調、管工事の分野別にランキングを徹底解説します。会社選びの客観的な基準と、労働法務の観点から見た2024年問題への対応を含めたチェックリストを提供します。

この記事を読んでわかること
  • 最新の売上高と平均年収に基づいた、専門分野別(電気・空調・管)の企業ランキングとその特徴
  • 転職や発注の目的に合わせた、失敗しない会社選びの具体的なチェックリスト
  • 「2024年問題」や「月給制」など、労働法務の観点から見た業界の働き方の現状と未来

1.設備工事会社(サブコン)とは?ゼネコンとの違いを解説

設備工事会社(サブコン)とは?ゼネコンとの違いを解説

設備工事会社、すなわちサブコンSub-Contractor)は、建設業界における非常に重要な役割を担っています。

建物本体の躯体工事を担うゼネコンGeneral Contractor:総合建設会社)に対し、サブコンは「インフラの専門企業」として機能します。

簡単に言えば、ゼネコンが「建物の骨格」を造るのに対し、骨格に命を吹き込む「臓器・神経系を造るという役割の違いがあります。

  • ゼネコン:建築プロジェクト全体の管理(設計、工程、品質、原価、安全)と、基礎・躯体工事を担う現場の司令塔
  • サブコン:ゼネコンの管理のもと、電気、空調、給排水など、専門性の高い各種設備工事を一手に担う専門企業

特に転職を検討する際、サブコンでは特定の設備分野におけるより深い専門知識と実務経験を積むことができるという違いを理解しておくことが重要です。

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2.専門分野別ランキングと各社の特徴

専門分野別ランキングと各社の特徴

設備工事会社は、その得意とする専門分野によって大きく企業群が分かれます。自身のキャリアや発注目的に合致する分野から企業を絞り込むことが、成功への最短ルートです。

①電気設備系 企業ランキングと各社の紹介

電気設備系は、建物に電力インフラを供給する基幹分野であり、電力会社系の企業が強く、大規模なインフラ事業や都市開発プロジェクトに参画することが多いのが特徴です。

電気設備系 企業ランキング

順位企業名売上高平均年収主な事業領域
1位きんでん5,959億円888万円総合設備、電力関連、情報通信
2位関電工5,831億円906万円総合設備、配電線、情報通信
3位クラフティア(九電工)3,986億円712万円総合設備、リニューアル
4位ユアテック2,572億円734万円電力設備、建築設備、情報通信
5位トーエネック2,438億円753万円電力流通設備、一般電気設備、情報通信
6位住友電設1,855億円882万円建築設備、情報通信、プラント
7位中電工1,778億円789万円配電線工事、一般設備工事、情報通信
8位日本電設工業1,557億円811万円鉄道電気工事、一般電気設備
9位東光電気工事1,104億円926万円ビル設備、産業設備、電力設備
10位富士電機E&C1,036億円798万円産業プラント設備、環境設備、内線・建築

出典:[各社有価証券報告書、業界調査レポートより抜粋]

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電気設備系 主要10社の紹介

1位 きんでん
きんでん

電力会社系の基盤を持つ電気設備業界のリーディングカンパニー。送変電設備、発電所といった大規模な電力インフラから、情報通信まで幅広く手掛け、売上高トップクラスを誇ります。

きんでん

参考:きんでん|有価証券報告書

2位 関電工
関電工

東京電力系のバックグラウンドを持ち、首都圏を中心とした大規模建築物やインフラの電気設備工事に強み。安定した事業基盤と高い平均年収水準が魅力です。

関電工

参考:関電工|有価証券報告書

3位 クラフティア(九電工)
クラフティア(九電工)

九州電力系の総合設備企業。電気設備をコアとしつつ、空調管リニューアル事業にも注力し、西日本を中心に事業を展開しています。

クラフティア

参考:クラフティア|有価証券報告書

4位 ユアテック
ユアテック

東北電力系の総合設備企業。電力設備工事建築設備情報通信など多岐にわたる事業を展開し、地域社会のインフラを支えています。

ユアテック

参考:ユアテック|有価証券報告書

5位 トーエネック
トーエネック

中部電力系の総合設備企業。電力流通設備工事の安定的な受注を基盤に、一般電気設備情報通信など事業を拡大しています

トーエネック

参考:トーエネック|有価証券報告書

6位 住友電設
住友電設

住友グループの一員で、建築設備工事、特に情報通信設備やプラント工事に強みを持っています。技術力が高いことから平均年収も高水準です。

住友電設

参考:住友電設|有価証券報告書

7位 中電工
中電工

中国電力系の総合設備企業。配電線工事を強みとしつつ、一般設備工事や情報通信事業を通じて、中国地方を中心に安定した事業展開を行っています。

中電工

参考:中電工|有価証券報告書

8位 日本電設工業
日本電設工業

JR東日本グループに属し、鉄道電気設備工事の分野では圧倒的なシェアを誇ります。安全性が最優先される特殊な工事に携わることで、高い技術力を身につけられます。

日本電設工業

参考:日本電設工業|有価証券報告書

9位 東光電気工事
東光電気工事

ビル設備産業設備電力設備工事をバランスよく手掛ける独立系の大手。平均年収は今回提示した中でも非常に高い水準にあり、技術者への投資に積極的です。

東光電気工事

参考:東光電気工事|有価証券報告書

10位 富士電機E&C
富士電機E&C

富士電機グループの一員として、産業プラント設備、環境設備、内線・建築設備を手掛けています。特にプラント分野での技術力が強みです。

富士電機E&C

参考:富士電機E&C|有価証券報告書

②空調衛生設備系 企業ランキングと各社の紹介

空調衛生設備系は、人々の快適性(温度・湿度・空気質)と衛生(給排水)を守る分野です。特に、環境技術や省エネ技術の開発競争が激しい、技術革新の激しい分野です。

空調衛生設備系 企業ランキング

順位企業名売上高平均年収主な強み・事業領域
1位高砂熱学工業2,742億円1,129万円空調・熱源技術のパイオニア、環境技術・省エネ技術に定評
2位三機工業2,247億円1,078万円総合設備工事会社として、空調衛生分野で強固な基盤を持つ
3位大気社1,446億円1,181万円産業空調(自動車塗装ブースなど)と海外事業に強み
4位新日本空調1,110億円985万円クリーンルーム、研究施設など、高度な環境制御技術に強み
5位朝日工業社896億円1,089万円空調・給排水衛生設備工事を中心に幅広い設備工事に対応

出典:[各社有価証券報告書、業界調査レポートより抜粋]

空調衛生設備系 主要5社の紹介

1位 高砂熱学工業
高砂熱学工業

空気調和技術の歴史が長く、空調衛生設備分野のリーディングカンパニーです。

特に省エネ性能を高めるための高度な熱源システム構築に高い技術力を持ち、病院やデータセンターなど、高度な空調制御が求められる施設に実績があります。

高砂熱学工業

参考:高砂熱学工業|有価証券報告書

2位 三機工業
三機工業

総合設備工事会社として、空調衛生分野で強固な基盤を持つ老舗企業です。建築設備、環境設備、プラントエンジニアリングなど、幅広い技術領域で安定した事業を展開しています。

三機工業

参考:三機工業|有価証券報告書

3位 大気社
大気社

産業分野、特に自動車産業における塗装プラントの空調技術では世界的な強みを持ちます。海外での売上比率も高く、グローバルなプロジェクト経験を積むチャンスが豊富です。

大気社

参考:大気社|有価証券報告書

4位 新日本空調
新日本空調

一般的なビル空調に加え、半導体工場や医薬品工場に不可欠なクリーンルームの設計・施工に圧倒的なノウハウを持ち、高い専門性を有しています。高度な環境制御技術を極めたい方に適しています。

新日本空調

参考:新日本空調|有価証券報告書

5位 朝日工業社
朝日工業社

空調・給排水衛生設備工事を中心に、幅広い設備工事に対応しています。オフィスビルや商業施設など、生活に身近な施設の設備工事を通じて、安定した技術力を提供しています。

朝日工業社

参考:朝日工業社|有価証券報告書

■設備工事業界への転職をお考えの方へ

カラフルスタッフィング建設では、電気・空調・管工事などの設備工事分野で施工管理の求人を多数取り扱っています。未経験の方には充実した研修制度を、経験者の方にはスキルや資格を活かせる高待遇案件をご紹介。正社員待遇の派遣で月給60万円・賞与ありの案件も多数ございます。業界専門のキャリアアドバイザーが、あなたに最適な企業選びを全面サポートいたします。

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③管工事・総合設備系 企業ランキングと各社の紹介

管工事を中核としつつ、電気や空調も含めた総合的な設備工事を提供できる企業が上位に位置しています。独立系の大手が多く、高い技術力と総合的な管理能力が求められます。

管工事を中核としつつ、電気や空調も含めた総合的な設備工事を提供できる企業が上位に位置しています。独立系の大手が多く、高い技術力と総合的な管理能力が求められます。

管工事・総合設備系 企業ランキング

順位企業名売上高平均年収主な強み・事業領域
1位ダイダン2,486億円1,066万円空調・衛生・電気設備を総合的に手掛け、大規模な建築設備工事に実績
2位須賀工業562億円オフィスビル、病院など多岐にわたる施設の管工事・空調衛生工事を展開
3位斎久工業383億円独立系大手
管工事をコアに、総合設備工事の技術力に定評がある

出典:[各社有価証券報告書、損益計算書、業界調査レポートより抜粋]

管工事・総合設備系 主要3社の紹介

1位 ダイダン
ダイダン

総合設備企業として、電気、空調、給排水をトータルで設計・施工できる強みを持ち、大規模な建築プロジェクトにおける効率的な設備導入に貢献しています。

ダイダン

参考:ダイダン|有価証券報告書

2位 須賀工業
須賀工業

オフィスビルや病院、研究所など、人々の生活に直結する施設の設備工事を得意としています。きめ細やかな設計・施工技術に定評があります。

須賀工業

参考:須賀工業|損益計算書

3位 斎久工業
斎久工業

特定の電力会社系列などに属さない独立系でありながら、高い技術力と総合力を背景に大型プロジェクトを担います。管工事・空調衛生工事を中心に、幅広い分野で実績があります。

斎久工業

参考:斎久工業|損益計算書

3.目的別に見る!設備工事会社の選び方と重要チェックリスト

設備工事会社の選び方

転職を目的とする場合

重視する点: どのような実務経験を、証明可能な形で積ませてくれるか

発注を目的とする場合

重視する点: その企業が持つ専門性と実績を照らし合わせる

単にランキング上位だからという理由だけで会社を選ぶのは危険です。目的を達成するため、ランキング情報を戦略的に活用する必要があります。ここでは、目的別のチェックリストを提供します。

転職を目的とする場合の選び方

キャリアパスを確固たるものにするためには、入社後の給与以上に、「どのような実務経験を、証明可能な形で積ませてくれるか」を重視すべきです。

主要な国家資格の受験には、例外なく一定期間の実務経験が必須となるためです。特に未経験から転職する場合、以下の項目を重点的にチェックしてください。

  • 資格取得支援制度の充実度:1級・2級施工管理技士の取得は、市場価値を高める重要な要素です。受験費用の補助だけでなく、専門講師による講習や、勤務時間内での学習時間確保など、具体的な支援策があるかを確認しましょう。
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施工管理技士補は実務経験の証明に役立つ重要な資格です。取得メリットや最短取得法、転職での活用方法について詳しく解説しています。

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施工管理技士補で転職成功!年収アップ実現の5つのメリットと最短取得法解説。建設業界特化の転職戦略で理想のキャリアを実現しませんか。
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  • プロジェクトの専門性と多様性:特定の分野(電気 or 空調)に特化しているか、それとも両方を幅広く経験できるか。自身の目指す専門性を深められる企業を選ぶ必要があります。
  • 建設キャリアアップシステムCCUSの活用:国が推進するCCUSの導入に積極的か。これにより、就業履歴やスキルが客観的に証明され、転職しても公正な評価を受けやすくなります。
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設備工事会社への転職を検討している未経験者の方は、資格なしでもチャレンジできる具体的なステップと志望動機の例文をこちらで確認できます。

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未経験から施工管理への転職成功ガイド。求人の1/3が未経験歓迎、年収500万円も可能。転職の7ステップと志望動機例文を解説。
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発注を目的とする場合の選び方

発注者として最適なパートナーを選ぶ際は、「規模」だけでなく、その企業が持つ「専門性」と「実績」を照らし合わせることが重要です。

  • 実績工種の確認:発注したい工事と、その企業の得意とする工種が一致しているか確認します。例えば、病院やクリーンルームなど、高度な衛生管理が求められる空調設備の実績が豊富か、などです。
  • 地域密着型か全国対応型か:大手サブコンは全国規模のプロジェクトに対応可能ですが、地域密着型の優良なサブコンは、きめ細やかな対応力や、緊急時の迅速な対応に強みを持つことがあります。
  • 技術革新への投資: BIM/CIMなどの最新技術やDXへの取り組みを積極的に行っている企業は、コスト効率と品質において高いレベルを提供できる可能性が高いです。

4.設備工事業界の現状と未来|不安を解消する働き方改革とDX

設備工事業界の現状と未来|不安を解消する新3KとDX

建設業界には、かつて「きつい、汚い、危険」という旧「3K」のイメージがつきまとっていました。

しかし、今はそのイメージを払拭し、「給料が良い休暇が取れる希望がもてる」という「新3K」の実現に向けて、歴史的な変革期を迎えています。労働法務の実務に基づき、この変革を解説します。

「2024年問題」がもたらす働き方の変化と新3K

建設業界における最も大きな変化は、2024年4月から適用された罰則付きの「時間外労働の上限規制」です。これは通称「2024年問題」と呼ばれています。

これまでは事実上青天井だった長時間労働に対し、法律によって明確な上限(原則月45時間年360時間)が設けられました。

この法改正は、従来の「きつい」労働環境を是正し、「休暇が取れる」環境を法的に後押しするものです。企業は業務の効率化i-ConstructionDX)を急務としています。

転職を検討する際は、企業が具体的な残業削減策や週休2日制の導入状況を公開しているかを確認しましょう。

参考:厚生労働省|建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

雨の日でも給与が安定する「月給制」の重要性

建設業界の現場職人や技能労働者は、日給月給制(日給制だが月払いで支給)を採用している企業が多く、雨天や悪天候で現場が休みになると、その日の賃金が発生しないリスクがありました。

しかし、働き方改革が進む中で、大手サブコンを中心に、現場職であっても「完全月給制」を導入する動きが加速しています。

月給制であれば、天候に左右されず、毎月一定の給与が保証されるため、家計や生活設計の安定性が向上します。

転職先を選ぶ際は、給与額だけでなく、雇用形態を必ず確認し、安定したキャリア基盤を築く視点を持つことが重要です。

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設備工事会社への転職を本格的に検討する際は、業界に精通した転職エージェントの活用が成功の鍵です。特化型と総合型の使い分けについて解説しています。

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■働きやすい環境で設備工事のキャリアを築きませんか?

カラフルスタッフィング建設では、2024年問題に対応した労働環境が整った企業の求人を厳選してご紹介しています。完全月給制で天候に左右されない安定収入、週休2日制の導入企業、資格取得支援が充実した企業など、「新3K」を実現できる職場をお探しします。設備工事業界で長く活躍したい方、ワークライフバランスを重視したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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5.ランキング情報を戦略的に活用する方法

設備工事会社(サブコン)のランキングは、業界の勢力図を知るための強力なツールですが、真の価値は、その情報を目的に合わせていかに活用するかにかかっています。

単に企業の規模を示すデータとして捉えるのではなく、売上高から安定性を、専門分野から自身のキャリアの方向性を、そして資格支援や月給制の有無から将来の労働環境を見極めることが重要です。

建設業界は現在、働きやすさと将来性を両立させる転換期を迎えています。

本記事で解説した客観的なデータとチェックリストに基づき、自身のキャリア形成やビジネス戦略に最も合致する企業を論理的に選定することが、成功への鍵となります。

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