建設業界は今、「2024年問題」という大きな変化をきっかけに、国を挙げて働きやすい環境づくりを進めています。
実は今、建設業界が求めているのは、異業種での経験で培われたコミュニケーション能力や段取り力といった、新しい視点を持つ人材です。
この記事では、未経験者に向けて建設業の仕事内容や給与、休日の実情、そして後悔しないための会社の選び方をご紹介します。転職活動を成功させるステップも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
- 「2024年問題」で変化した建設業界の働き方のリアル
- 未経験から挑戦できる具体的な仕事
- 後悔しない会社の選び方と転職を成功させるステップ
1.【建設業界への転職】未経験者でもチャンスを活かす

今、建設業界で起きているのは、単なる人手不足という現象ではなく、国も後押しする「業界全体の大きな変化」です。
その最大のきっかけが、2024年4月から建設業にも適用が始まった「時間外労働の上限規制」、いわゆる「2024年問題」です。
これにより、昔ながらの長時間労働は原則として法律で制限され、長く活躍してもらうための環境づくりが産業全体で推進されています。

つまり、未経験からでも法律に守られた安心の環境でキャリアをスタートできる機会が広がっているということです。
参考|厚生労働省:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制
2.【転職への不安解消】建設業界の「きつい・やめとけ」は本当?働き方のリアルQ&A

転職を考える上で、やはり気になるのは「働き方の実態」ではないでしょうか。
ここでは、多くの方が抱く疑問にQ&A形式でお答えし、今のリアルな状況を解説します。
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長時間労働や休日はどう変わった?
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法律の後押しもあり、大きく改善に向かっています。
2024年4月から、残業時間には罰則付きの上限が設けられました。このルールを守るため、多くの企業が週休2日制の導入やITツールを使った業務の効率化を急ピッチで進めています。
国も週休2日を強く推奨しており、業界全体で「しっかり休むのが当たり前」という文化が広まっています。
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いわゆる「3K」のイメージは今も同じ?
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「新しい3K」を目指す動きが活発です。
従来の「きつい・汚い・危険」というイメージをなくし、「給与が良い・休暇が取れる・希望が持てる」という「新3K」の実現が、業界全体の目標になっています。
特に給与面では、担い手の価値が高まっていることから、年々上昇傾向にあります。
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体力に自信がなくても大丈夫?
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職種により異なるため、自分にあったものを選べば心配ありません。
たとえば、現場全体をまとめる「施工管理」や、パソコンで図面を作る「CADオペレーター」などは、体力よりも周りとの調整や丁寧さが大切になる仕事です。
技術も進歩しており、性別や年齢に関係なく活躍できる仕事がたくさんあります。
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雨の日に給料が減るって本当?
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「月給制」の会社を選べば心配ありません。
日給制の場合、天候で作業が休みになると収入が不安定になることも。
正社員として働くなら、毎月決まった給料がもらえる「完全月給制」の会社を選ぶのが基本です。
求人票を見るときに、給与の支払い形式を必ずチェックしましょう。
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女性でも活躍できる?
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はい、活躍の場はどんどん広がっています。
国も「もっと女性が活躍できる建設業」を合言葉に、女性が働きやすい環境づくりを後押ししています。
現場の更衣室やトイレがきれいになったり、きめ細やかな視点が求められる施工管理や設計などの分野で、多くの女性が専門性を発揮して活躍しています。
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施工管理の仕事がきついと感じる理由やその対処法について詳しく知りたい方は、こちらの記事で6つの要因と効果的な乗り越え方を解説しています。
3.【職種理解】未経験から目指せる!建設業界の仕事紹介
建設業界の仕事
「専門職人」(大工、とびなど)
「施工管理」
「重機オペレーター」
「設計・CADオペレーター」
一口に「建設業」といっても、その仕事内容は様々です。
ここでは、未経験からでも挑戦しやすく、将来性のある代表的な4つの仕事をご紹介します。
ものづくりが好きなら「専門職人」(大工、とびなど)
実際に建物や道をつくる、建設現場の主役です。大工、とび、左官、塗装など、様々な専門家がいます。見習いからスタートし、先輩の指導のもとで技術を身につけていきます。
自分の手で大きなものが完成していく達成感は、格別。技術を極めれば、独立して自分の会社を持つことも夢ではありません。
現場のまとめ役!求人が多く将来性も高い「施工管理」
工事現場の「司令塔」として、スケジュールや安全、品質などを管理する仕事です。職人さんへの指示出しやお客様との打ち合わせなど、コミュニケーションが中心になります。
未経験向けの求人がとても多く、働きながら国家資格「施工管理技士」を取れば、キャリアも収入も着実にアップできるのが最大の魅力です。
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施工管理への未経験転職について、求人の実態や転職の7ステップ、志望動機の例文まで詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
機械好きなら「重機オペレーター」
ブルドーザーやクレーン車といった大きな機械を操縦する仕事です。
操作には資格が必要ですが、会社の支援制度で入社後に取らせてもらえることがほとんどです。
機械の操作に集中できるので、コツコツと作業するのが好きな方に向いています。
PCスキルが活かせる「設計・CADオペレーター」
CAD(キャド)という専門ソフトを使い、建物の図面をパソコンで作成・修正する仕事です。工事はすべて図面を基に進むため、非常に重要な役割のお仕事と言えます。
オフィスワークが中心で、正確さが求められるため、事務職などからキャリアチェンジする方にもぴったりです。
4.【自己分析】未経験でも異業種の経験は武器になる!強みの見つけ方

「自分には建設業界で活かせる経験なんてない」と思い込んでいませんか?業界や職種が変わっても通用するスキルこそ、未経験から転職する際の最大の武器になります。
建設業界、特に施工管理のような仕事では、多くの人と協力してプロジェクトを進めるため、たとえば以下のような力がとても高く評価されます。
高く評価されやすい強みの一例
- 周りの状況を見て、問題点を見抜く力:お客様の要望や現場で起きている事を正確に理解する力
- ゴールから逆算して、段取りを組む力:目標達成までの手順を考え、スケジュールを管理する力
- 多くの人を巻き込み、物事を最後までやりきる力:関係者に働きかけ、協力を得ながら計画を進める力

強みは、建設業界で活かせるスキルに「言い換え」てみるのがポイントです。
- 営業職の経験:お客様とのやり取りで培った「話を聞き、課題を見つける力」は、発注者や協力会社との調整でそのまま活かせます。
- 販売・サービス職の経験:チームで目標を達成した経験は、現場の職人さんたちをまとめる「リーダーシップ」としてアピールできます。
- 事務職の経験:複数の仕事を同時にこなした経験は、複雑な工事の段取りを考える「計画性」として評価されます。
過去の仕事を振り返り、「どんな場面で」「どう考えて行動し」「どんな結果につながったか」を書き出してみると、自分だけの強みが見つかります。
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自分が施工管理に向いているかどうか不安な方は、こちらの記事で20の特徴から適性診断ができます。代替職種の紹介もあるので参考にしてください。
5.【戦略立案】未経験からでも失敗しない!会社の選び方と転職成功の5ステップ
【建設業界】転職成功の5ステップ
将来の方向性を決める(管理職 or 専門職)
「資格取得のサポート」で会社のやる気を見る
応募書類で「活かせる経験」を伝える
面接でよく聞かれる質問の答えを準備する
給与や休日など、大事な条件を確認する
ここからは、具体的な転職活動の進め方を5つのステップで解説します。
このステップに沿って進めることで、ミスマッチを防ぎ、入社後に後悔しない転職を実現できます。
STEP1:将来の方向性を決める(管理職 or 専門職)
まず、将来的に現場全体を管理する「マネジメント(施工管理など)」に進みたいのか、それとも一つの技術を極める「スペシャリスト(専門職人など)」になりたいのか、大きな方向性を考えてみましょう。

この軸がはっきりすると、応募すべき会社やアピールする論点が明確になります。
STEP2:「資格取得のサポート」で会社のやる気を見る
未経験者にとって、入社後にしっかり教えてもらえるかはとても重要です。
特に、施工管理技士などの国家資格を取るために会社がどれだけ応援してくれるかは、社員を育てる意欲があるかどうかのサインになります。
求人票で「資格取得支援制度あり」の文字を探し、面接でも「どんなサポートがありますか?」と具体的に聞いてみましょう。
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施工管理技士補について、資格の概要や取得メリット、転職での活用方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事で年収アップの戦略まで解説しています。
STEP3:応募書類で「活かせる経験」を伝える志望動機と例文
職務経歴書では、ただ仕事内容を書くのではなく、先ほど見つけた「言い換え」たスキルが発揮されたエピソードを具体的に書きましょう。
「コミュニケーション能力があります」と書くより、「立場の違う人たちの意見を調整し、プロジェクトを成功させました」といったように、具体的な行動と結果をセットで伝えるのがポイントです。
STEP4:面接でよく聞かれる質問の答えを準備する
未経験者の面接では、「なぜ建設業界に?」「なぜうちの会社に?」という質問で、やる気の高さをチェックされます。
その場しのぎの答えではなく、「これまでの経験を、このように活かして貢献したい」という、自分だけのストーリーを語れるように準備しておくことが成功のカギです。
STEP5:給与や休日など、大事な条件を確認する
最後に、安心して働くための条件をしっかり確認しましょう。特に以下の項目は必ずチェックしてください。
- 給与の支払い形式:天候に左右されない「完全月給制」か
- 年間の休日数:最低でも110日以上、できれば120日以上あると安心
- 福利厚生:家賃の補助や家族手当などもあるか
- 研修制度:入社後にどんな研修があるか

これらの点をしっかり見て、長く安心して働ける会社かどうかを見極めることが大切です。
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6.未経験から「建設のプロ」を目指せる転職を実現しよう
この記事では、建設の仕事は未経験という方でも建築のプロになるための、転職活動の具体的なステップを解説しました。
建設業界は、社会の役に立っていると実感できる大きなやりがいと、一度身につければ一生モノのスキルを手に入れられる、とても魅力的な仕事です。
「2024年問題」をきっかけに、業界全体で未経験者を温かく迎え入れ、一人前のプロへと育てようという動きが活発になっています。
異業種で培った経験を「業界を問わず活かせる能力」として整理し、応募先の建設会社に響く自己PRを考えていきましょう。