施工管理者として働く際、正社員と派遣社員という2つの選択肢があります。近年、働き方改革の影響もあり、派遣という働き方を選択する施工管理者が増加しています。
それぞれの働き方には独自のメリット・デメリットがあり、自分のライフスタイルやキャリア目標に合わせて選択することが重要です。
本記事では、施工管理における派遣と正社員の違いを詳しく解説し、どちらがあなたに適しているかを判断するための情報を提供します。給与面、労働条件、キャリア形成の観点から徹底比較し、失敗しない選択をするためのポイントをお伝えします。
- 施工管理の派遣と正社員の雇用形態・給与・労働条件の具体的な違い
- 派遣4つのメリット・3つのデメリットと正社員4つのメリット・3つのデメリット
- 自分に向いている働き方の判断基準と派遣から正社員になる方法
1.施工管理の派遣と正社員の基本的な違い

施工管理において、派遣と正社員では働き方の根本的な部分で大きな違いがあります。この違いを理解することが、自分に最適な働き方を選択する第一歩となります。
雇用形態の違い
最も大きな違いは、誰と雇用契約を結ぶかという点です。
派遣社員は、登録している派遣会社と雇用契約を結び、そこから紹介された建設現場で働きます。給与や福利厚生は派遣会社から受け取り、日々の業務指示は派遣先の現場で受けるという形になります。
一方、正社員は、勤務先の建設会社と直接雇用契約を結びます。そのため、給与や福利厚生は、その建設会社から直接提供されます。
| 比較項目 | 派遣社員 | 正社員 |
| 雇用契約を結ぶ相手 | 派遣会社 | 勤務先の建設会社 |
| 給与・福利厚生の提供元 | 派遣会社 | 勤務先の建設会社 |
| 業務指示の提供元 | 派遣先の現場(勤務先) | 勤務先の建設会社 |
勤務先の決まり方の違い
働く場所を自分で選べるかどうかも大きなポイントです。
派遣社員は、派遣会社から紹介される複数の案件の中から、自分の希望に合った現場を選択できる場合が多くあります。勤務地・労働時間・残業の有無といった希望条件を事前に確認して決められるため、ライフスタイルを重視した働き方が可能です。
それに対して正社員は、会社が受注したプロジェクトへ配属されるのが基本です。そのため、勤務地や担当する現場を自分で選ぶ自由度は限定的と言えるでしょう。
契約期間の違い
雇用期間にも明確な違いがあり、安定性や自由度に直結します。
派遣社員は、3ヶ月や半年といった有期契約で働くのが一般的です。一方で正社員は、定年まで働き続けることを前提とした無期雇用であり、長期的な雇用の安定性が最大の魅力です。
| 項目 | 派遣社員 | 正社員 |
| 契約期間 | 有期契約(3ヶ月〜1年) | 無期雇用契約 |
| 契約更新 | 期間終了時に判断 | 定年まで継続 |
| 柔軟性 | 働く期間・場所の自由度高 | 雇用の安定性高 |
この違いにより、派遣社員は働く期間や場所の自由度が高く、正社員は雇用の安定性が高いという特徴があります。
2.施工管理の派遣で働く4つのメリット
守られる労働環境
「選べる」自由
積むことができる
チャレンジしやすい
派遣として施工管理に従事することで得られるメリットは多岐にわたります。特に働き方の柔軟性や労働環境の改善を求める方にとって魅力的な選択肢となります。
「サービス残業なし」で守られる労働環境
派遣社員には派遣会社と派遣先企業との間で交わされる契約に基づいて働くため、サービス残業は原則としてありません。労働基準法に基づいた適正な労働時間管理が行われ、残業が発生した場合は必ず残業代が支給されます。
2024年4月から建設業界にも適用された「時間外労働の上限規制」により、派遣社員はこれらの法規制の恩恵を受けやすい立場にあります。休日出勤についても事前に条件が明確化されており、ワークライフバランスを保ちやすい環境が整っています。
参考:厚生労働省|建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制
勤務地や業務内容を「選べる」自由
自分の希望条件を最優先にできるのが、派遣の大きなメリットです。自宅から通いやすい現場、残業が少ない現場、特定の工事種別など、様々な条件を考慮して案件を選べるため、プライベートを重視した働き方が実現できます。
また、現在の派遣先での勤務が困難になった場合、派遣会社に相談して契約更新のタイミングで別の現場へ移ることが可能です。
家族の事情や個人的な都合に合わせて柔軟に勤務地を調整できる点は、正社員にはない大きなメリットです。
多様な現場経験を積むことができる
契約ごとに現場を変えられる派遣ならではの働き方は、短期間で多彩な実務経験を積める絶好の機会です。様々な工事種別や規模のプロジェクトを経験できます。マンション建設、商業施設、インフラ工事など、様々な種類や規模の実務経験を通じて、幅広いスキルと知識を身につけることが可能です。
また、複数の企業の施工方法や管理スタイルを学べるため、対応力や問題解決能力が格段に向上します。この多様な経験は、将来的に正社員転職を目指す際の強力なアピールポイントとなります。
未経験でもチャレンジしやすい
建設業界の人手不足により、多くの派遣会社が未経験者向けの研修やサポート制度を充実させています。基礎的な建設知識から実務に必要なスキルまで、体系的に学べる環境が整っています。
派遣先企業も即戦力を求める一方で、派遣会社の教育を受けた人材であれば未経験者でも積極的に受け入れる傾向があります。
背景には、建設業界の深刻な人手不足があります。国土交通省の「建設労働需給調査」によると、多くの職種で労働者が不足している状況が続いており、企業は未経験者であっても人材を確保し、育成する必要に迫られています。
この「売り手市場」の状況が、未経験者にとっての追い風となっています。

正社員として就職するよりも挑戦のハードルが低く、業界への入り口として派遣という働き方を選ぶ人が増えています。
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3.施工管理の派遣で働く3つのデメリット
機会が限定的
対する不安
任されにくい
派遣として働くことには多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。これらを理解した上で選択することが重要です。
ボーナスや昇給の機会が限定的
派遣社員は基本的に時給制または月給制での雇用となり、正社員のような定期的な昇給や賞与は基本的にありません。そのため、同じ現場で長く働き続けても、収入が上がりにくいという側面があります。
もちろん、専門性や経験が評価されて時給が高く設定されたり、残業代が確実に支払われたりすることで、月収ベースでは正社員に見劣りしないケースも少なくありません。
しかし、年収単位で見た場合や、長期的な昇給を望む方にとっては、物足りなさを感じる可能性があります。長期的な収入の安定性や増加を重視する方にとっては、この点はデメリットとなります。
ただし、2020年4月から施行された「同一労働同一賃金」の原則により、派遣社員であっても、同じ業務を行う正社員との間で不合理な待遇差を設けることは法律で禁止されています。
これにより、派遣社員の待遇は法的に保護されており、かつてのような大きな格差は是正される傾向にあります。
雇用の安定性に対する不安
派遣社員は有期契約であるため、常に「契約終了」のリスクが伴います。経済情勢の悪化や建設需要の減少など、自分自身の評価とは関係ない理由で契約が更新されない可能性はゼロではありません。
また、派遣先企業の都合による急な契約変更や終了もあり得るため、正社員と比較して雇用の安定性に不安を感じる方も多いでしょう。
ただし、現在の建設業界は慢性的な人手不足状態にあるため、スキルのある派遣社員への需要は高く、実際には継続的に仕事を確保できる環境にあります。それでも、無期雇用の正社員と比べると安定性に欠ける点は事実です。
責任ある業務を任されにくい
派遣社員は契約期間が限定されているため、長期的な視点が必要な重要業務や、機密性の高いプロジェクトから除外される場合があります。管理職的なポジションに就くことも難しい傾向があります。キャリアアップの機会が制限される可能性があります。
施工管理者としてより高いレベルの責任を持ちたい方や、将来的に独立を目指している方にとっては、経験の幅が狭まるデメリットがあります。ただし、派遣先企業との関係性や実績次第では、重要な業務を任されることもあります。
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4.施工管理の正社員で働く4つのメリット
福利厚生
昇進の機会
キャリア形成
スキル開発支援

正社員として施工管理に従事することで得られる安定性とキャリア形成の機会は、多くの人にとって魅力的な選択肢となります。
安定した雇用と福利厚生
正社員は定年まで雇用が保証される「無期雇用」が基本です。景気の変動に左右されにくく、収入が途絶える心配が少ないため、長期的なライフプランを立てやすい環境にあります。
また、社会保険完備、退職金制度、住宅手当、家族手当など、充実した福利厚生を受けられます。これらの福利厚生は実質的な収入増加となり、生活の安定に大きく貢献します。有給休暇も法定日数以上に設定されている企業が多く、プライベートの充実も図れます。
ボーナスと昇進の機会
多くの企業では、年2回の賞与が一般的に支給され、会社の業績や個人の頑張りが収入に直接反映されます。また、定期的な昇進の機会があり、主任、係長、課長といった管理職へのキャリアアップが可能です。
昇進に伴い基本給の増額や役職手当の支給があり、長期的な収入向上を期待できます。成果次第では若手のうちから重要なポジションに抜擢される可能性もあり、やりがいのあるキャリア形成が実現できます。
責任ある業務を通じたキャリア形成
正社員は会社の中核的な業務を担当し、プロジェクト全体を統括する立場として成長できます。予算管理、人員配置、品質管理など、裁量権の大きな業務に携わることで、施工管理としての総合的なスキルを深く磨くことができます。
これらの経験は将来的な独立や転職の際に大きなアドバンテージとなり、施工管理者としての市場価値を高めます。
長期的なスキル開発支援
正社員は会社の将来を担う人材として、長期的な視点で教育投資を受けられます。特に「一級建築施工管理技士」などの難関国家資格の取得に向けては、受験費用の補助や研修といった手厚いサポートが用意されていることがほとんどです。
また、社内研修や外部セミナーへの参加により、最新の技術や法規制について学ぶ機会が提供されます。会社によっては海外研修や他社との交流プログラムも用意されており、幅広い視野を身につけることができます。会社からのバックアップを受けながら、常に専門性を高め、キャリアを切り拓いていくことが可能です。
5.施工管理の正社員で働く3つのデメリット
サービス残業の可能性
選べない
可能性
正社員として働くことの安定性は魅力的ですが、一方で制約となる面も存在します。これらのデメリットを理解することも重要です。
長時間労働やサービス残業の可能性
建設業界では工期の制約や天候の影響により、長時間労働が発生しやすい環境にあります。正社員の場合、プロジェクトの責任者として工事の完成まで責任を持つため、工期の遅れや予期せぬトラブルに対応するための残業や休日出勤が避けられない場合があります。
2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されましたが、依然として建設業界の長時間労働が完全に解消されたわけではありません。災害復旧工事などでは規制の適用外となる場合もあります。
管理職になると裁量労働制が適用され、残業代の支給対象外となることもあり、労働時間に対して収入が見合わないと感じる場面も出てくる可能性があります。
参考:厚生労働省|建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制・厚生労働省|時間外労働の上限規制わかりやすい解説
勤務地や現場を選べない
会社が受注したプロジェクトに配属されるのが基本のため、勤務地や現場の種類を選択することは困難です。自宅から遠い現場への配属や、希望しない工事種別の現場に配属される可能性があります。
また、会社の方針により突然の配置転換も珍しくありません。家族の事情で特定の地域にとどまりたい場合でも、個人の希望より会社の都合が優先されることが多く、プライベートとの両立が困難になる場合があります。
転勤や異動の可能性
全国展開する大手建設会社の場合、数年単位での全国的な転勤や異動はキャリアの一環として組み込まれていることが多くあります。様々な現場を経験できるという側面はありますが、家族がいる場合は単身赴任を余儀なくされたり、子どもの転校が必要になったりと、家族のライフプランに大きな影響を及ぼします。
また、異動により新しい環境に適応する必要があり、人間関係の構築や業務の習得に時間を要します。転勤を拒否することは困難で、キャリアに悪影響を与える可能性もあるため、会社の方針に従わざるを得ない状況が生まれます。
6.給与・待遇面での違いを徹底比較
サービス残業なし
施工管理における派遣と正社員の選択において、給与・待遇面の違いは重要な判断材料となります。それぞれの特徴を詳しく比較してみましょう。
月収・年収|月収は同等でも年収では差がつく
月収だけで見ると、派遣と正社員で大きな差がない場合も少なくありません。
- 派遣社員の月収は約25万~50万円が相場で、残業代が確実に支払われるため、多忙な現場では正社員の月収を上回ることもあります。
- 正社員の月収は、基本給は20万円〜40万円程度からスタートし、各種手当を含めて約30万~60万円が目安です。
しかし、年収で比較すると、ボーナスの有無によって差が生まれます。一般的に、派遣社員の年収が300万~600万円であるのに対し、正社員は400万~800万円の水準となり、正社員の方が有利な傾向にあります。
これらの年収はあくまで目安です。実際の給与は、勤務地、企業規模、個人のスキルや経験によって大きく変動します。
より具体的な職種別の賃金データについては、厚生労働省が提供する職業情報提供サイト(job tag)なども参考にすると良いでしょう。
ボーナス・賞与|年収を大きく左右する決定的な差
両者の年収に最も大きな差を生むのが賞与(ボーナス)の有無です。
- 派遣社員には、基本的にボーナスの支給はありません。
- 正社員は、年2回(基本給の2~4ヶ月分)のボーナスが支給されるのが一般的です。企業の業績によっては、これを大きく上回ることもあります。
年収の2~3割を占めることもあるボーナスは、正社員の大きな経済的メリットと言えるでしょう。
福利厚生|見えにくいが重要な「生活の安定」に関わる差
日々の働きやすさや生活の安定に直結するのが福利厚生です。
- 派遣社員は、登録している派遣会社の福利厚生が適用されます。社会保険は完備されていますが、住宅手当や家族手当、退職金制度などがないケースがほとんどです。
- 正社員は、勤務先の企業が提供する手厚い福利厚生を受けられます。各種手当や退職金制度に加え、充実した健康診断や慶弔見舞金など、金銭面以外のサポートも充実しています。
これらの福利厚生の差は、金額に換算すると年間50万~100万円にもなると言われており、見過ごせない大きなポイントです。
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7.派遣に向いている人の特徴
重視したい人
積みたい人
こだわりがある人
派遣という働き方は、特定の価値観やライフスタイルを持つ人にとって理想的な選択となります。以下のような特徴を持つ方に特に適しています。
ワークライフバランスを重視したい人
家族との時間を大切にしたい、趣味や副業に時間を割きたい、プライベートを充実させたいと考える方には派遣が適しています。派遣は労働時間が明確に管理されており、サービス残業がないため、定時での帰宅が可能です。
また、現場選択の際に勤務時間や休日出勤の頻度を事前に確認できるため、自分の理想とするワークライフバランスを実現できます。有給休暇も取得しやすく、長期休暇を利用した旅行なども計画しやすい環境にあります。
多様な現場経験を積みたい人
様々な工事種別や企業での経験を通じて、施工管理者としてのスキルアップを図りたい方には派遣が最適です。マンション、オフィスビル、工場、インフラなど、異なる現場での経験を短期間で積むことができます。
各現場で異なる工法や管理手法を学べるため、幅広い知識と経験を身につけられます。この多様な経験は、将来的な正社員転職や独立の際に大きなアドバンテージとなり、市場価値の向上につながります。
勤務地にこだわりがある人
自宅から通いやすい範囲で働きたい、特定の地域でのみ働きたいという希望がある方には派遣が向いています。
派遣は案件選択の自由度が高く、勤務地を限定して働くことが可能です。家族の介護が必要、子どもの学校の関係で引っ越しができない、地元を離れたくないなど、様々な事情で勤務地に制約がある場合でも、希望に合った現場を見つけやすくなります。
また、通勤時間の短縮により、プライベートの時間を確保しやすくなります。
8.正社員に向いている人の特徴
重視したい人
目指したい人
チャレンジしたい人
正社員という働き方は、安定性と長期的な成長を重視する人にとって最適な選択となります。以下のような志向を持つ方に特に適しています。
安定性を重視したい人
長期的な雇用の安定を求める方、将来への不安を最小限に抑えたい方には正社員が適しています。無期雇用契約により定年まで働き続けることができ、経済情勢の変動があっても雇用が保護されやすい環境にあります。
また、福利厚生の充実により、病気やケガの際のサポート、退職後の生活保障なども手厚く、人生設計を立てやすくなります。住宅ローンなどの長期借入れの際も、正社員の方が金融機関からの信用を得やすく、有利な条件で融資を受けられます。
長期的なキャリア形成を目指したい人
施工管理者として継続的にスキルアップし、管理職や経営陣を目指したい方には正社員が最適です。会社内での昇進機会があり、段階的にキャリアアップできる仕組みが整っています。
また、資格取得支援や研修制度により、専門性を高めることができます。長期的な視点でプロジェクトに関わることで、企画から完成まで一貫した経験を積めるため、施工管理者としての総合的な能力を向上させられます。将来的に独立を目指す場合も、正社員としての豊富な経験が大きな財産となります。
責任ある業務にチャレンジしたい人
プロジェクト全体の責任を持ち、やりがいのある業務に従事したい方には正社員が向いています。正社員は会社の中核的な業務を担当し、重要な意思決定に参加する機会があります。予算管理、人員配置、品質管理など、施工管理の全般的な業務を経験できるため、専門性と管理能力の両方を向上させられます。
また、顧客や協力業者との重要な交渉を任されることもあり、ビジネススキルの向上にもつながります。これらの経験は個人の成長につながり、キャリアに対する満足度も高まります。
9.施工管理の派遣から正社員になる方法
派遣として経験を積んだ後に正社員を目指す方法は複数あります。それぞれの特徴を理解して、自分に最適なルートを選択しましょう。
紹介予定派遣を利用する

紹介予定派遣は、一定期間派遣として働いた後に正社員として直接雇用されることを前提とした制度です。
最大6ヶ月間の派遣期間中に、派遣先企業と派遣社員の双方が適性を判断し、合意に至れば正社員として採用されます。
この制度のメリットは、実際の職場環境や業務内容を十分に理解した上で正社員になれることです。
企業側も派遣期間中に人物像や能力を把握できるため、採用後のミスマッチが起こりにくくなります。施工管理においても、現場での実務能力や協調性を評価してもらえるため、面接だけでは伝えきれない魅力をアピールできます。
派遣先での直接雇用を目指す
派遣先企業での実績が認められ、直接雇用のオファーを受けるケースも多くあります。派遣期間中に優秀な成果を上げ、職場の人間関係を良好に保つことで、正社員登用の可能性が高まります。
特に建設業界では人手不足が深刻なため、優秀な派遣社員を正社員として引き抜きたいと考える企業が増えています。直接雇用を目指す場合は、積極的に業務に取り組み、改善提案を行うなど、会社に貢献する姿勢を示すことが重要です。
また、派遣会社との契約条件を事前に確認し、正社員転職が可能な案件を選択することも大切です。
技術者派遣で経験を積む
技術者派遣として高度な技術を身につけ、その専門性を武器に正社員転職を目指す方法もあります。BIMやICT施工など、最新技術を活用できる派遣案件で経験を積むことで、市場価値の高い人材になることができます。
これらの技術は多くの建設会社が導入を検討しており、専門知識を持つ人材への需要が高まっています。技術者派遣で培った専門性は、正社員転職の際の強力なアピールポイントとなり、好条件での採用につながる可能性があります。
また、派遣期間中に取得した資格や経験は、履歴書や面接でのアピール材料として活用できます。
10.失敗しない派遣会社・就職先の選び方

派遣または正社員として働く際の会社選びは、その後のキャリアに大きな影響を与えます。失敗しない選択をするためのポイントを詳しく解説します。
派遣会社選びのポイント
実績と専門性
資格取得支援
フォロー体制
福利厚生
優良な派遣会社を選ぶためには、まず建設業界に特化した実績と専門性を確認することが重要です。以下の点をチェックしましょう。
- 施工管理の案件数が豊富で、様々な工事種別や企業規模の案件を取り扱っている
- 未経験者向けの研修制度が充実している
- 資格取得支援制度がある
- 派遣社員へのフォロー体制(定期面談、相談窓口、トラブル対応)
- 基本的な福利厚生(社会保険完備、有給休暇制度、健康診断)
正社員就職先選びのポイント
安定・成長性
スキルアップ
バランス
評価制度
正社員として就職する企業を選ぶ際は、長期的な安定性と成長性を重視しましょう。財務状況が健全で、継続的に受注を確保している企業を選ぶことで、雇用の安定性を確保できます。
また、教育制度や研修制度が充実している企業では、継続的なスキルアップが可能です。働き方改革への取り組み状況も重要で、労働時間の管理や有給休暇の取得推進、ワークライフバランスの向上に積極的な企業を選ぶことで、健全な労働環境を期待できます。
昇進の機会や評価制度の透明性、給与体系の明確さなども、長期的なキャリア形成において重要な要素となります。
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転職エージェントの活用方法
エージェント
転職サポート
非公開求人
選択肢を増やす
建設業界に特化した転職エージェントを活用することで、効率的な転職活動が可能になります。エージェントは業界の動向や各企業の詳細な情報を把握しており、求職者の希望に合った案件を紹介してくれます。
また、履歴書の添削や面接対策など、転職活動のサポートも受けられます。非公開求人の紹介も受けられるため、一般には公開されていない好条件の案件に出会える可能性があります。
エージェントとの面談では、自分の希望や条件を明確に伝え、長期的なキャリアプランについても相談することで、最適な転職先を見つけやすくなります。複数のエージェントに登録することで、より多くの選択肢を得ることができます。
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11.施工管理の派遣と正社員選択で失敗しないための最終判断ポイント
施工管理における派遣と正社員の選択は、個人のライフスタイルとキャリア目標によって最適解が変わります。派遣はワークライフバランス重視、正社員は安定性と長期キャリア形成を重視する方に適しています。
重要なのは、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の将来像と照らし合わせて判断することです。派遣から正社員へのキャリアチェンジも可能なため、まずは派遣で経験を積むという選択肢もあります。
どちらの働き方を選択するにしても、継続的なスキルアップと専門性の向上を心がけることで、充実したキャリアを築くことができるでしょう。
自分に最適な働き方を見つけるために、まずは情報収集から始めて、必要に応じて転職エージェントや派遣会社に相談することをお勧めします。